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塩対応のクラス委員長が俺の嫁になるらしい。  作者: 白ゐ眠子
第四章・隠れ〇〇が多すぎると思う。
118/118

第118話 文化祭デートは騒がしいね。

 ちょっとした騒ぎが女子校内で起きたあと、


「このお店とかどう?」

「そ、そうだな、一杯飲んでいくか」


 私は(あき)君と校内を巡った。


「おっけー。よろしくね」

「承りました」


 勿論、背後には私と瑠璃(るり)の友達も同伴しているけどね。

 同伴に至った理由は(あき)君が変態教師を発見して報告した事が発端だ。

 まさか学年主任があのような行為に手を染めているなんて誰も思わないよね?


「何気に本格的な喫茶店か?」

「そうかもね。ここにはメイド科もあるから」

「メ、メイド科?」

「家政婦になるための学科かな。副会長はそちらに通っていたそうだよ」

「そ、そうなのか」

「そうそう。たまにはこういう空気も悪くないよね」

「そうだな。あ、このサンドウィッチ、美味いな。ソースの酸味が絶妙だわ」

「ふふっ。美味しいって!」

「「「きゃー!」」」


 (あき)君、大人気だね。

 女子の黄色い声援が凄まじいよ。

 これは(あき)君が創立者の一族と判明した結果なんだろうけど。

 それはともかく、


(まさか、私が覗き見された事に腹を立てて、守るための行動に出ていたなんてね)


 (あき)君が更なる問題に気づいて怒りを抑えつつ行動に移していた事が判明した。

 当初は何故私と別行動を取ったのか疑問に思ったけどね?

 動き回る警備員から事情を聞いて真実を知って怖気が走った。

 (あき)君でも遠慮するトイレや脱衣所。

 私生活を変態教師から録画され覗き見されていたのだ。

 結果、変態教師は通報されて警察に連行されていった。

 ちなみに、学生向きの周知では急病による自主退職とした。

 事実を知る私達に対しては、お口チャックを願われた。

 だが、厄介な事に文化祭の期間、校内に溢れる黒い虫。

 それらが訪れる遠因が変態教師にあった事まで判明した。

 変態教師の私室にあったとされる企業の名刺。

 企業名が我起(わだち)だったので遠い目をした私達。


『黒い虫、我起(わだち)の残り香、ゴミ虫と』


 (あき)君も川柳を詠んで過去として流していた。


「ごちそうさま」

「精算お願いね」

「承りました!」


 学校側も監督責任を問われる事になったが、運営方針として教職員の私生活までは関与しない取り決めを改善し、不審物の持ち込みを禁止する運びとなった。

 唯一、許されるのはエッチな本まで。

 映像関連は禁止扱いになったそうだ。


「結局、男性教師の行動制限だけが酷くなったか」

「それは仕方ないよ。目と鼻の先は女の子だから」

「一人がバカをやると大多数が迷惑を被るな」

「本当にね。この学校も少しは懲りて成長すればいいね」

「そうだな」


 生徒達に媚びを売る事はせず、常に威厳ある態度で臨んでほしいね。

 勿論、奨学生だからと下に見ることはせずに、だけど。


「今回は瑠璃(るり)の立場が一変したしね」

「貧乏学生と思えば創立者の一族と。(さき)は知っていたのか?」

「私は知らなかったかな? 会長から聞くまではね」

「なるほどな」


 本当に知らなかったからね。

 父さん達からも聞いていないし。

 仮に表沙汰になったとしても私の価値観は変化しないと思う。

 私が愛しているのは(あき)君で凪倉(なくら)ではないから。


「私も瑠璃(るり)への認識が変わったしね」

「ああ、私の方が可愛いとか言っていたあれか?」

「うん。考えが改まったっていうか」

「そうか」


 お陰で瑠璃(るり)が本当の意味で親友だと判明した。

 それもあって今後とも瑠璃(るり)とは仲良くしようと思った。

 だって、私の代わりで触られていたのに、それを一切明かしていなかったからね。

 それを瑠璃(るり)に問えば『親友を変態に売る真似は出来ない』と言っていた。

 なので、誘蛾灯の件をあえて問うと『私の方が可愛いのに失礼よ!』と自信満々で言われて頬が引き攣ったよね。


「その可愛い瑠璃(るり)はともかく、妹達はどうするつもりかね?」

琥珀(こはく)ちゃんはウチに来ると思うよ」

「一般中学だもんな。そうなると、あと一人か?」

瑪瑙(めのう)ちゃんが受験するかもね、きっと」

「ああ、だから?」

「多分、妹さんが居るなら是非って言われているのかも」

「ま、問題教師が校内から居なくなったし、いいか」

「いいと思うよ」


 で! 肝心の瑠璃(るり)は元クラスメイトとお茶会に出ている。

 創立者の一族と知った途端、御挨拶で溢れかえったからね?

 私達の会話にもある通り、末妹の扱いが問われているかもね、きっと。

 一方、私達の背後を付いてくるのは生徒会役員の友達だね。

 ニコニコと笑顔で付いてくる様は少々恐い。

 すると(あき)君が思い出したように、


「ところで会場はどうする?」


 時計を見ながら私に問いかけた。

 時刻はギリギリだけど、まだ間に合うかな?

 私は(あき)君の左腕を抱き込んだ。


「ああ、そうだったね。案内するよ」


 背後からの「「「きゃー!」」」がうるさいけど、無視して会場まで歩んでいった。


「せ、羨望の視線が痛い」

「分かるけど我慢しよう」

「そうだな。そうするか」


 羨望の視線は前方から訪れる頭の黒い虫と背後から刺さっている。

 黒い虫は私の胸の谷間に。

 背後は(あき)君の背中に。


「「「ちっ」」」


 すれ違いざまに舌打ちされたし。


(誰に対しての舌打ちなんだか?)


 すると今度は前方から(あおい)李香(りか)ちゃんが歩いてきたのだけど、他校生だというのにナンパに励む黒い虫が両脇に居た。

 (あおい)は侮蔑の表情で毒を吐き、


「君、顔が可愛いね。身体は寸胴だけど」

「死ね」

「い、今なんて?」

「目障り」

「えっ?」

「君も俺達とお茶」

「廊下の姿見と相談して下さい」

「は?」


 李香(りか)ちゃんは御嬢様然とした態度で応じていた。

 意味不明な反応を返していたけど顔が悪いって意味だよね。

 私達は前方の様子を眺めつつ柱の陰に隠れた。


「身体は寸胴って酷い言い草だな?」

「だね。あの中にとんでもない凶器が隠れているのにね」

「ああ。見ただけで野郎共を瞬殺する特大級のショットガン、がな」

「「「特大級のショットガン?」」」

「「……」」


 私達の横を素通りして(あおい)李香(りか)ちゃんは歩んでいく。

 二人の意識は黒い虫達に向いているから私達には気づいていないね。


「邪魔」

「い、いや、だからね」

「消えて」

「い、いや」

「視界から消えて」

「「……」」


 (あおい)の猛攻にナンパ君は諦めたのか離れていった。

 李香(りか)ちゃんへと纏わり付いていたナンパ君と共に。

 その様子を見ていた(あき)君が信じられない一言を吐いた。


(あおい)(さき)と同じくらいの塩対応に出ているわ」


 確かにそれっぽい会話をしていたとは思うけど、


「え? 私ってあんな感じだったの?」


 愛しの(あき)君にそんな一言は吐いていないと思う。

 (あおい)の場合は毒舌癖があるだけだしね。


「無自覚かよ。結構キツい一言があったぞ」

「えっと、マジ?」

「マジ」

「な、何を言っていたの?」

「目障り、消えて、邪魔、退け、大嫌い」


 う、嘘でしょ?

 えっと、本当に吐いていたの?

 あ、本気の顔だ。

 何をやっているのよ! 去年の私!


(大嫌いなんて絶対に言ったらダメだよぉ!)


 大好きだから、私は(あき)君が誰よりも大好きなの!


「幸い、死ねは無かったけどな」


 あまりのショックに(あき)君の苦笑すら目に入らない。

 終いには申し訳ない気持ちが言葉に出てしまった。


「そ、そうなんだ。ごめんね」

「過去の事だから気にするな」


 (あき)君はそう言いつつ私の頭を優しく撫でる。


「そう、なんだけどね。ホント、ごめん」


 ちょっと過去の自分を殴りたくなったね。


(いくらなんでも(あき)君にその一言は無いよ!)


 これは本格的なお詫びが必要かもしれない。

 私は一人反省会を行いつつ、(あき)君と交流会の会場に到着した。


「へぇ〜。本当に(・・・)迷路になっているのか」

「うん、迷路だね」

「おい、大丈夫か?」

「うん。大丈夫」


 本当は大丈夫じゃないけど。


(塩対応をしていた私のバカァ!)


 すると(あき)君が何を思ったのか、


「はいはい。元気出せよ」

「え? え? え?」


 困惑する私を抱き上げた。

 これには背後に居た友達も呆然となった。


「歩き疲れているみたいだから」

「えっと、うん。ありがとう」


 本当は違うけど、素直に受け入れた私だった。


「お、お、お姫様抱っこですって!」

「う、羨ましいぃ!」

「私も、お相手が、欲しいです!」


 背後はそれだけで大騒ぎになったけど。

 が、欲しいと発した瞬間、黒い虫が何処からともなく湧いた。


「「「呼んだ?」」」


 それこそ一匹居れば、百匹は居るとされるアレみたいな。


「「「呼んでません!」」」

「呼んでいたよな?」

「相手が欲しいって」

「今なら俺達が優しくリードするが?」

「「鏡と相談して下さい!」」

「相談って。俺達、顔だけはいいぞ?」

「「顔だけって」」


 中身はゲスだという自覚があるのね。

 ゲス共の反応に友達は溜息を吐いた。


「はぁ〜。来年度は招待制に変えますか」

「それがいいですわね」

「会長に進言致しましょう」

「「「招待制?」」」


 例の企画物が遠因で訪れた黒い虫達。

 言葉通り、今後は招き入れる相手は選んだ方がいいかもね?

 私達は彼女達を眺めつつ呆れていた。


「なんだ? あのコント?」

「あれが例の虫だよ」

「あれが、か? 聖地巡礼のつもりか?」

「聖地巡礼?」

「ここが企画物の舞台って意味で」

「なる。まぁ、あれが三日間、校内を巡るのよ」

「三日間。殺虫剤が必要に思えるな?」

「警備が常駐する意味が分かるよね」


 大半が女漁り。

 聖地巡礼という見方は初めて知ったが。


「来年度は招待制と言っているし、私達には届くんじゃない」

「届くかもしれないな」


 届いても参加しないかもしれない。

 私達も生徒会役員として忙しい時期に入るからね。

 すると(あき)君が背後の騒ぎを一瞥しつつ、少しずつ距離を取る。


「折角のデートなのに空気読めよ」


 呟きながら迷路に入って友達を振り切った。


「虫を引き連れて離れていったな?」


 (あき)君に抱かれていた私は地面へと降ろされた。

 私は名残惜しい気持ちのまま(あき)君へと問いかけた。


「もしかして撒くために庭園に来たの?」

「それもある。丁度良い迷路だったしな」


 でも、迷路になっているなんて私は一言も……あっ!


「まさか会長に聞いたの?」

「会議室でな。元々案内する約束もあっただろ?」

「それはそうだけど」


 私が先に教えたかったんだよ、それ?


「ようやく二人きりになれたんだ。気にするな」

「うん」


 若干、腑に落ちないけど。

 二人きりの時間が出来たし、いっか!




少数の問題児の所為で大多数が影響を喰らうアレかぁ(´・ω・`)

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