表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塩対応のクラス委員長が俺の嫁になるらしい。  作者: 白ゐ眠子
第四章・隠れ〇〇が多すぎると思う。
114/131

第114話 未来を語るも不確定だよな。

 新学期が始まって数日後。

 いつも通りの授業を終えた俺達は、


「明日の午後。顔合わせに向かうから準備しておいてね」


 生徒会室に遅れて入ってきた会長が翌日の予定を伝えてきた。

 それは次期生徒会長かもしれない(あおい)と女子校の面々との顔合わせだ。


「ついにこの日が来たね。(あき)君」

「この日というと女子校の文化祭か?」

「そうそう。私との文化祭デートも含むけど」

「こらこら。本題は(あおい)ちゃんを紹介する事にあるからね」


 来年の交流会は(さき)や会長達が中学時代を過ごした女子校で行われる。

 その日だけは敷地外にて男子生徒を含む、各校の生徒会を招く事になるそうだ。

 一応、開催場所は明日にでも(さき)から教えてもらう事になっている。


「ところで会長。私に紹介して下さる相手は決まっているので?」

「決まっているよ。先ずは理事長、学校長、教頭、生徒会顧問だね」

「わ、わざわざ上役が出てくるんですね」

「そうでもない。そこらの有象無象だと簡単には出てこないよ」

「「有象無象って」」


 いや、(あおい)の立場を考えれば納得出来るか。

 (さき)が入学した時もそれなりの好待遇だったらしいから。

 一方の瑠璃(るり)に関しては奨学生だっただけで、(さき)ほどの待遇は無かったらしい。

 これも寄付金を多く納めた者が優遇されるヨイショなのだろう。

 ヨイショされた(さき)は正直に言えば嫌だったそうだが。

 そういう面は変化せず在校生の友達に問いかけて引き攣っていた。


「それが白木(しらき)の、由緒ある家柄が作用するって事だね」

「それを聞くと気が重くなりました」

「あくまで他校生だからそこまで面倒な対応には出ないと思うよ」

「思う、ですか?」

「腑に落ちないと?」

「希望的観測が過ぎていて、ちょっと」

「言いたい事は分かるけど、それがあの学校の最大級の特徴だから」


 ヨイショが最大級って相当だな?

 仮に、俺と(さき)との間に娘が生まれた場合、


(女子校に入学させたいかって問われると?)


 俺は無いを選択するな、絶対。

 大人達が女子中高生相手に盛大な媚びを売る。

 相手によっては絶対に媚びを売らない等を示されると信じられなくなるからな。

 人によっては男性不信になる。

 最悪は人間不信にもなってしまう。

 男親として愛娘にそんな思いなどさせたくない。

 これは仮の話だから今から考える話ではないが。


「俺はその学校に一時期でも通っていた瑠璃(るり)を尊敬するわ」


 大人達の嫌な面を見ても拗れず、あっけらかんと対応していたらしいから。

 好きにすればと受け流していたとかなんとか。


「そうだね。瑠璃(るり)の父はともかく、今は(あおい)と同格だし」


 ウチの実家というか爺さまの権力は白木(しらき)に匹敵するというしな。

 むしろ命綱でもあるから白木(しらき)以上の扱いにもなるのか。


瑠璃(るり)さんの件もそれとなしに伝えておくよ」

「学年主任がジャンピング土下座してきそうですね。瑠璃(るり)を連れて行けば」

「わ、わざわざ瑠璃(るり)を相手に土下座かよ」

瑠璃(るり)に土下座はすると思うよ。これは確定だね」

「うへぇ」


 それを聞くと相当な対応に出ていた事が分かるな。

 貧乏母子家庭出身が時期を経て令嬢へと返り咲く。

 実際は叔母が返り咲いた事で娘も必然的に令嬢か。


「界隈では割と有名な話になっているから、知っている教師は謝罪すると思うわ」

「そうなると挨拶に学年主任も追加ですか?」

「追加はないね。個人で行くなら話は変わるけど」


 すると(さき)がスマホの画面を覗き見て、


瑠璃(るり)も行くって。懐かしいから学年主任に挨拶するって」


 瑠璃(るり)の予定を伝えてきた。

 つまり、明日の午後は一緒に向かう事になると。


「あ、あえてジャンピング土下座を求めてきたか」

「本音では相当嫌だったみたい。謝罪を求める事はせず皮肉だけ言うみたいだね」

「そうなると名字が変わった事を伝えるのですね」

「私から伝えるよりも本人から伝える方がいいね」


 (かしわ)瑠璃(るり)改め、凪倉(なくら)瑠璃(るり)ですって?

 事前に俺と(さき)が婚約している事を明かさないと面倒になりそうだな。

 放火の実行犯で捕まった涌田(わだ)を含む五人のような面倒とか最悪だし。


(この際だからアレクも呼ぶか? いや、瑠璃(るり)が嫌がるからダメだな)


 彼氏をかつての同級生達に奪われたくないとか思っていそうだし。

 アレクとの関係は爺さまに伝えているが公式に婚約者の体裁は整っていないのだ。

 本人達が婚約の意思を示していても、アレクの両親と爺さまの面会が両者の仕事の都合で今月末になっているから。

 ここで別れさせようとする間女達が大量に現れると困る。

 ウチの学校はともかく、アレクを文化祭に呼ぶのは止めた方がいいだろう。


(俺一人で未知の女子達を相手にするか。(さき)に任せて沈黙を選ぶか)


 言質を取られる事が無いように。

 二人の時以外は沈黙する事を決意した俺だった。



 §



 何はともあれ、翌日の午後を迎えた俺達は爺さまが手配したハイヤーに乗って女子校へと向かった。

 ハイヤーが学校の校門前に止まった瞬間、何事かと思ったがな。


「爺さまはマジで孫娘に甘すぎる」

「まぁまぁいいじゃないの。お陰で楽して向かえるし」

「それはそうだがな。いきなりリムジンとか」

「ホント、財力の象徴そのものだよね。コレ」

白木(しらき)本家の令嬢と関係する令嬢が乗ってきたと思えば」

「社章が凪倉(なくら)でしたね。姉さん?」

「ええ。お出迎え勢が驚愕する事案よね、コレ」

「胃が痛かったのにコレを見たら痛みが引きました」


 本日の参加者は生徒会役員の全員と瑠璃(るり)だけになっている。

 本来なら(あかり)達も呼ぶ必要があったが部活を優先していた。

 他校からの練習試合を申し込まれた以上はどうしようもないよな。

 (あおい)も本音では(あかり)を応援したかったようだが、こちらも大切と認識して今回は我慢したらしい。

 一応、ビデオカメラを補欠の(ひかり)に手渡しているので試合風景は記録されるだろう。


「で、令嬢として返り咲いた瑠璃(るり)はどうするんだ?」

「私? 一応、学年主任に挨拶したら旧友に会いに行くかな?」

「それがいいかもね。あの子達も会いたがっていたし」

「そうなの? 今、何組だって言ってた?」

「三組に所属してるとか言ってたよ」

「三組ね。りょーかい」


 (さき)瑠璃(るり)は勝手知ったる場所でもあるから、気にせず行き来しそうだよな。

 (さき)の言うあの子達とは生徒会役員の女子達の事だろう。

 それ以外とも連絡を取り合っていそうだが、


「ま、余程の事が無い限り内外の連絡は取れないしね。あそこ」

「陸の孤島そのものだもんね。教育を施すための隔離とか、良く過ごせたよね」

「そうね。私も今だから言えるけど、とんでもない場所だったわね」

「ええ。とんでもない僻地でしたね」

「隔離されているのに、界隈の情報だけは筒抜けでしたけど」

「「「そういえばそうだった」」」

「私は入学前から(あき)君が居たから気にしていなかったけどね」


 否、連絡すら取れない割に一部分だけが伝わる微妙な場所でもあるらしい。

 この場合、教職員があえて漏らしていそうだよな。


「それを知ると入学していなくて正解でしたね」

「「ほんそれ!」」

「令嬢だから通わなければならないという決まりはありませんしね」

「たまたま地域に存在する女子校がそこだけって話よね」

「教職員も全員寮生活ですしね」


 ああ、隔離生活は教職員も含むのか。

 そうなると一種の娯楽として漏らしていそうだな。

 やはり娘が生まれたら公立に通わせる方がいいか。

 教職員の娯楽の種にされるのは気分の良いものではないし。


(さき)

「どうかした?」

「娘が生まれたら公立に通わせような」

「娘? あ、うん。そうだ、ね?」


 何故困った顔で頬が引き攣るのか?


(そうか、まだだったな……)


 一応、昨日の晩は鼻血自体は収まった。

 その代わり(さき)が痛みで気絶して以下略。

 当分の間は無理をさせず労る事にした。


「なんていうか、気が早い旦那さんね?」

「ですね。まだ開通すらしていないのに」

「聞きました? 凪倉(なくら)君の言葉」

「聞いた聞いた。娘を欲する旦那さんとか羨ましいわ。私なんて男が欲しいだもの」

「私も同じですね。男が先とか言っていますし」

「私もいい加減、相手が欲しいです」

「それは父に相談する事だね」

「ですよね」


 というか思いつきで言う事ではなかったな。

 お陰で(さき)が揶揄われてしまった。


(さき)、すまん。配慮が無かった」

「い、いいよ。気にしていないし」

「それは本音か?」

「うっ。ごめん、本当は気にしてる」

「そうか、ごめんな」

「うん。許すよ」


 こういう会話は二人きりの時がいいな。

 幸い、車内はほぼ身内なのでこれくらいで済んだが。

 すると(さき)が咳払いし笑顔で問いかけた。


「ところで会長はどちらがほしいので? 男の子です? 女の子です?」


 それは揶揄いの矛先を会長に向けたのだ。

 問われた会長は咳き込んでしまった。


「ゴッホ、ゴッホ、ゴホゴホ。きゅ、急に、何を?」

「いえ、兄さんとの夜戦で感じたのかなと?」

「そ、それはノーコメント」


 この反応は相当感じたのか?

 腰が抜けたとか言っていたもんな。


「兄さんは男の子が欲しいとか言っていましたが」

「うっ。そ、それでもノーコメントよ」


 そのつもりで宿でもハッスルしていたのか。

 会長も直ぐに直ぐ懐妊は出来ないのにな。


「私の願望としましては」

「なんでそこで(さき)さんが願うのよ?」

「男男女の一卵性がいいですね?」

「む、無茶を言わないで!」


 会長が素になるほどのお願いをする(さき)

 男女の三つ子とかどんな確率なんだか?


「でも、願えば叶いそうな気がしたので」

「それは(しゅん)次第だから私からは何も言えないわ」

「そうなので?」

「そうなのよ!」


 それはそうだろうな。

 願って叶うならこの世は願った通りの子供だらけだ。

 実際は願ってもいないとか捨てる親とか、虐待する親が多いけどな。


「やっぱり男の子を欲する男性が多いのね」

(さき)の旦那が特殊と」

「あくまで俺の希望だ。大体、産まれた赤子と(さき)が無事であれば赤子の性別は問わないぞ。命は一人に一つだからな」

「「「「「「ほほう」」」」」」

「な、なんだよ?」

「いや、私達の相手に聞かせてあげたい答えと思ってね」

「やっぱり(あき)君はそう思うよね」

「母子共に無事を祈る男性が増えて欲しいですね」


 俺が本音で語ったら何故か全員から同意された件。




例え綺麗事でも命あっての物種だよね(´・ω・`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ