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84話 天使の武 人間の武

「では、手合わせお願いするっす」


 俺の『力』では止められないかもしれない。

 そう呟いた直後、クオンはフッと笑って構える。


 そのクオンを見て、驚いて目を見張るケアニス。

 天使の武装というものを教えても、まだやると言うのか、と思っているのがありありとわかった。


「だめっすか? ケアニス殿」


「いや。こちらこそよろしく」


 ケアニスは承諾し、クオンを正面に両手を前に出すような構えをとる。


 天使と人間の差を見せつけたケアニスから、ほんの少しだけ警戒している様子が見て取れる。

 クオンが真力を攻略できる何かを持っている、かもしれない。

 そう考えているに違いない。


 だが、クオンの技は、あくまで人の体に触れることで発揮されるもののはず。

 それとも俺も知らない、真力に通じる力がある?


「お、おいクオン、いけるのか?」


「戦士殿。よく見ててくださいっす。真力がどういうものか、一部解き明かしてみせるっす」


 まるで真力を知っているかのように、クオンは突っ込んでいく。


 その場から弾かれたように前へと跳ぶクオン。

 対してケアニスは、一歩も動かず、腕すら動かさない。

 飛んでくるクオンの体を、受け止めるような格好のままだ。


「ぐっ!?」


 そこにクオンは体当たりを入れた。


 うめき声を上げたのは、クオンだ。

 衝突した音も、まるで頑丈で分厚い鉄にでもぶつかったかのような音だった。


「なるほど。まさに武装ですね」


「まだやりますか?」


「隙あり」


 俺には速すぎてちゃんと見えないが、クオンがケアニスの上腕を取ろうとする。

 が、腕に届く前に手が、見えない何かに弾かれた。


「ありませんよ、隙は」


 距離をとって再び構えるクオンに、当たり前なことを話す態度のケアニス。

 全身を邪魔している様子もないフルプレートの鎧を来た戦士……それが天使の武装だ。


 全てが鋼鉄に覆われた鎧を前に、クオンの格闘術は不利すぎる。


「おいクオン。まだ続けるのか?」


「当然っす、アイ様」


 クオンはそう言って、さらに攻める。

 組み付きメインから、打撃に切り替え、拳や掌底、さらには蹴りや体当たりも含めて、ケアニスを攻める。

 しかし、ケアニスはその場から一歩も動かず、軽く腕を動かすだけで全て防いだ。

 見えない大きく分厚い盾でも装備しているかのように見える。


「ウルシャ、あれって俺の鬼でもだめか?」


「見ている限りですが、単純な力では攻略は無理でしょう」


「なら魔法?」


「それしかないでしょう」


「いや、無理だ」


 アイが俺たちの会話を受けて応えた。


「魔法の力すら、作用しない。真力の力の現れ方が魔法に似ている。もしかしたら単純な力よりも効かない可能性がある」


 そうなってくると、もしかしたら本当に、女の子にしたような『力』すら通じない可能性がある。


「だがあれは外の『力』を持ってくるものと違い、この世界の内側の力を蓄えたもので消耗するはずだ」


 そうは言うが、クオンの高速の打撃を前に、あの真力というものが減っている様子はない。


「本来は減るのだろう。だから天使たちはそう簡単に使わない。ここぞという時に使う武装だ。だからケアニスのあれは……特別だ」


 ケアニスは言った。

 この武装を自力で用意できる、と。


「使いながら補給もできる?」


「そういうことだろう」


 使いながら補給ができる。

 俺はそういう『力』を知っている。


「気付いたか?」


 アイもすでに気付いたようだ。


「ああ。あれはハイエースのガソリンと同じだ」


「天使の真力。おぬしの力は、あれと同じものかもしれないな……」


「魔法じゃない?」


「魔法と天使の武装の合わせ技かもしれない」


 アイはケアニスを食い入るように見ている。

 クオンが作ってくれたこの機会を逃さぬように、分析しながら観察している。


 俺も、魔法についてはわからないが、同じような技だとするなら感覚的にわかるものがあるかもしれないから、真剣に観察することにした。


 すると、ほんの少し変化が見てとれた。


「ん?」


 余裕のあったケアニスの表情が少し険しくなる。


「おっと、気付いたっすか?」


 ひたすら真剣に打撃を繰り出していたクオンが、不敵に笑った。


「アイ様にご助力くださるケアニス殿へのサービスっす。無敵の真力の隙、今からお見せするっす」


 ひょっとして、クオンが初見で真力を攻略する?


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