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101話 帝都の『竜』

「それってつまり『竜』を女の子にする?」


「そうです! さすがイセさん、話が早い!!」


 早いも何も、話の流れ的にそんな話だったでしょ。

 ハイエースはいくら魔法とはいえ、積載量の多いただの自動車だし。

 鬼たちだって、いくら強くてもカウフマンには対応されたし、武装した天使たちにだって勝てるとは思えない。

 ましてや、『竜』なんて大層な名前がついたものに対抗できるとしたら、流れから言っておにゃのこ化能力しかないだろう。


 って思ったのだが、アイとウルシャとクオンがギョッとしていた。


「マジか」


「本気で言っているんですか」


「マジっすか」


 それぞれがそれぞれ、信じられないって顔でケアニスを見ている。


「はい。イセさんのその『力』、私の目算が正しければ『竜』攻略にうってつけです」


「どの辺が?」


「天使の影響下にあったカウフマンに通じる『力』は、『竜』といえども持っていなかったのが一点」


 ケアニスはさらに続ける。


「イセさんの『力』は、相手の体ごと変化させるもの。これが二点目」


 その体ごと変化させるというのは、ケアニスが言っているだけで俺もアイもわからない。


「そして三点目は、イセさんの『力』を広く世に示すことができる。キルケさんたちも認めざるを得なくなります」


「なるほど……で、どう思う?」


「「「…………」」」


 3人は押し黙る。

 なになに? そこまでのことなの?

 考えるまでもなく、無理って顔してる。


 そこまで深刻なほどってことは……


「はい、質問」


「どうぞ」


「『竜』ってどんなやつ?」


「あ。イセさんは『竜』を知らなかったんですね」


「竜ってあれでしょ。トカゲとか蛇とか爬虫類を大きくした風貌で、火を噴く」


「あってるが、なんかずいぶんと雑な理解だな」


 アイたちは苦笑し、俺に『竜』について説明してくれた。


 帝都の『竜』。

 伝承上に出てくる、ありとあらゆる『力』を保持した獣。

 鋼鉄を物ともしない牙と爪を持ち、あらゆる攻撃を防ぎきる硬い鱗を持ち、鎧や剣や城壁をも溶かす火炎を吐く恐ろしい怪物。

 その強さ故に、神に挑んだとも言われている。


 その『竜』が今は帝都に居座っている。


「何故に?」


「わからん。ケアニスは?」


「私も、天使たちの間でも何故あそこに居座っているのか分かってません」


 帝都を住処とした『竜』。

 当然、人間たちにとって最大の帝国の首都を取られたからには取り返さねばと『竜』に挑んだ。


 もちろん人間たちの力では太刀打ちできず、さらには天使たちの真力ですら通じなかったという。


「通じはしました。しかし、『竜』の生命力は真力でつけた傷などものともしなかったんです」


 伝承にあるように、神のごとき力は、人間たちの武器も魔術も、天使たちすらどうすることもできず放置している状態だということだ。


「なるほどなるほど。ドラゴンっぽい」


「ぽいっておぬし……またおぬしの世界にもいたってやつか?」


「いやいないよ。伝承とかそういう類のもので聞いたことある」


「やはりイセさんのいた世界は多種多様ですね」


「そんな伝説の『竜』が復活して、みんな困っているってことか」


「いえ。復活ではありません」


 ケアニスが言い、それを引き継ぐような形でアイが言う。


「召喚されたんだ。『神器』によって」


「それってつまり……俺と同じ?」


 ケアニス、アイ、そしてウルシャとクオンが、肯定するようにうなずいた。


 異世界の竜が、在来種を上回る力を有し、大きな被害を与えている。

 一方その竜と同じくらい危険な存在として上がっているのが俺。


 つまり……異世界の者同士をぶつけてやろうという魂胆?


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