6、愛を
妻に...というか横で歩いている優菜は。
前世で俺を裏切って浮気した。
そのお陰で俺は死ぬぐらいショックを受けた。
それから自殺した、のだが。
まさかまたこうして野外を妻と歩くとはな。
不思議な...というか。
本当に心底複雑だ。
「ねえ」
「...なんだ。優菜」
「今日の小テストどうだった?」
「ああ。テストか。散々だったよ」
「だよねぇ。いきなりクラスごとにテストするんだもん。最低」
「...だな」
俺は複雑な眼差しで13年前の高校生の妻を見る。
そして俺は背後に居る鏡花を見た。
鏡花は嬉しそうについて来る。
俺はそんな姿を見ながら苦笑した。
すると鏡花が「お兄」と声をかけてきた。
俺は振り返りながら「なんだ?」と聞いた。
「今の関係が好き」
「今の関係...」
「私、お兄、優菜お姉ちゃん、花蓮お姉ちゃん。この関係図が好き」
その言葉に俺は複雑になる。
それから「...そうか」とだけ返事をした。
この関係図が壊れない様にどうにかしたいもんだ。
そう考えながら居ると優菜が「私も」と言った。
そして空を見上げながら柔和な表情を浮かべながら俺達にはにかんだ。
「私も今が好きだよ。この一瞬の今がね」
「...優菜...」
「だから私も大切にしたい。今を」
そう優菜は言いながら笑みを浮かべた。
俺はその顔に...フラッシュバックが起きる。
どうしてなのだろう。
何故...コイツは。
考えながら複雑な思いで居ると優菜が、鏡花が。
俺の手を握ってきた。
「お兄。大丈夫?」
「大丈夫?優」
俺はその言葉に2人を見る。
2人は笑みを浮かべながら俺を見ていた。
俺はそんな2人の笑顔にハッとした。
そうか。
今浮気してないなら。
浮気する前に止めれば良いのだ。
「...優菜。鏡花。ありがとうな」
「ん。大丈夫」
「大丈夫だよ」
そんな2人の言葉に俺は「ああ」と返事をした。
それから2人は顔を見合わせてから歩き出す。
そして帰宅した。
☆
それから翌日になり。
俺は目を覚ましてゆっくり起き上がる。
すると驚愕した。
何故なら...花蓮が居たから、だ。
「おはよ。おにーちゃん」
「あ、ああ。何やってんだお前は」
「モーニングサービス」
「...いや。モーニングサービスて」
俺は「ったく」と言いながら起き上がる。
見ると花蓮は赤面していた。
何故赤面している?
意味が分からないまま聞く。
「花蓮?なんで赤面しているんだ」
「おにーちゃんのエッチ」
その言葉に俺は前を見る。
布団がかなり大きくもっこりしていて...花蓮はそれに赤面していた。
仕方がないだろうこれは。
朝だし...。
「花蓮。すまないが朝は男はこんなもんだ」
「女の子が部屋に来るのに酷くない?」
「いやいや。お前が来るのは予想外だったんだが」
「ま、まあそうだけどさ。どんな夢を観ていたのか知らないけど。すけべ」
花蓮はそう言いながら口をへの字にする。
それから「まあ良いや」と切り出した。
そして俺を見る。
「ね。おにーちゃん。朝食作ったんだ」
「ああ。そうなのか。...ってかお前どうやってこの場所に入って来たんだ?鍵をかけている筈だぞ」
「あ。叔母様がくれたよ」
「は!?」
「うん。叔母様が鍵をくれた。朝」
「母さん...何をしてんだか」
俺はゆっくり起き上がる。
それから盛大に溜息を吐き出す。
すると花蓮はニコニコしながら「えへへ。花蓮ちゃん奥さんみたいだねって...うへへ」と喜ぶ。
俺はその姿に「お前な」と苦笑い。
奥さん、か。
「なあ。花蓮は好きな人は居るのか?」
「ふあ?ふあ!?」
「いや。何となく知りたくてな」
「いやいや?!」
花蓮は真っ赤になる。
それから首を振ってから「...」と俯き無言になる。
俺は「?」を浮かべながら「どした?」と聞く。
すると花蓮は「どうしても知りたい?」と話した。
「あ、ああ。いや。言うのは無理しなくて大丈夫だぞ」
「...」
花蓮は俺にゆっくり近付いて来る。
それから俺の胸にしゃがんでから手を添えてきてから頭をコツンと置いた。
そして顔を上げる。
「やっぱ言えないや」
「...!」
「えへへ。時が来たら言うね。お返しするから」
それから花蓮はパタパタと去って行く。
その姿に俺は「...」と顎に指を添えてから考える。
何だったんだろうか。
まさかな。




