7、美味しいからこそ評価が出来ない
花蓮が俺に朝食を作ってくれて...準備してからその朝食を食べた。
鮭とか味噌汁とか茄子と油揚げのお浸しとか。
全部美味しかった。
何というか...充分にお嫁さんに行けそうだが。
しかしさっきの。
「...」
俺は目の前を歩いている花蓮を見る。
花蓮はニコニコしながら嬉しそうに歩いている。
俺はその花蓮を見て周りの景色を見ていると花蓮が「ねえ。おにーちゃん」と言った。
その言葉に「ああ」と返事をしながら花蓮を見る。
花蓮は「さっきの言葉があったじゃん」と言う。
俺は「!」となりながら花蓮を見た。
「私さ。...状況が整ったら話すから」
「状況ってなんだ」
「今の部活動とかが...落ち着いたら」
そして剣道の為の道具を見せてくる。
俺は「...」となりながら「ああ」と返事をした。
花蓮はニコッとした。
そんな姿を見てから俺は「今日は鏡花達は先に行ったのか」と聞いてみる。
花蓮は「うん。先行った」と答えた。
「...そうか」
「どうしたの?」
「いや。なんでもない」
それから俺は再び止めていた足を動かす。
そして学校に登校し始めた。
花蓮は「そうだ。今度さ。勉強教えて」と言ってきた。
俺は「?」となりながら「勉強か?」と聞く。
すると花蓮は「そ。勉強。私...馬鹿だから」と苦笑した。
「...」
「だからさ。勉強教えて。家事が、部活がこれだけ出来ても勉強出来ないんじゃ意味無いし」
「そうか」
「...その。鏡花に教わっても良いんだけどさ」
「分かった。約束は守る」
すると花蓮はぱぁっと顔を明るくしてから「約束!」と笑顔になる。
そしてはにかんで八重歯を見せる。
俺はその姿を見ながら「...笑っている顔が素敵だな。お前は」と言う。
花蓮は目をパチクリした。
それから「は?」となって顔を赤くする。
「お前は可愛いよ。...はにかんでいるその顔とかもさ。だから自信持てよ」
「...おにーちゃん...」
「...な?」
「アハハ...おにーちゃんってば...もう」
真っ赤になってから耳まで赤くする花蓮。
そして花蓮は自らの唇に指を添える。
それから唇から指を離した。
それを...俺の唇に接触させてくる。
え?
「おにーちゃん。...おにーちゃんは鈍感だから...いつかまた」
「...花蓮...」
「私は絶対に諦めない」
俺も少しだけ赤くなりながら唇に手を添える。
そして花蓮は「じゃあ行こうか」と言う。
俺は「...花蓮。お前...」と直ぐに話しかける。
だが...俺は首を振った。
「...分かった。行こうか」
それから俺達は歩いてから高校に登校する。
そして俺は歩いてから教室に行く。
すると天満が「おはよーさん」と声をかけてきた。
俺の顔を見てから「ん?何かあったか?」と目を丸くする。
その言葉に「いや。ろくでもない話だ」と苦笑した。
☆
一時間目は体育だった。
それから二時間目は数学。
そんな感じでこなしていき俺は四時間目を迎える。
俺は立ち上がってから天満と一緒に外に出る。
すると「あ」と声がした。
俺は背後を見る。
そこに優菜が居た。
「あ、えっと。どこ行くの?」
「ああ。天満と一緒に何かを買いに行こうってな」
「そ、そうなんだ」
紙袋を隠す優菜。
俺はその紙袋をチラ見してから溜息を盛大に吐く。
それから「優菜。弁当でも作ったか」と聞く。
優菜は泣きそうな顔をしていたが明るくなった。
「そ、そう」と急いでする。
俺は天満を見た。
天満は苦笑しながら「行って来い」と背中を叩いてくれた。
「宜しくな。優菜さん」
「...ありがとう。鈴木くん」
天満は手を振りながら去って行く。
俺はその姿を見届けながら「今度なんか奢るわ」と大声を発してから優菜を見る。
それから優菜は嬉しそうに俺と一緒に中庭に来た。
優菜は早速と弁当袋を開ける。
「はい」
「...ああ。...ん?これは?」
「オムライス」
「...ああ。マジか」
「これはね。デミグラスソースは別のタッパーに」
黄色の卵が美味しそうなオムライス。
しかしソースが無かったがそういう事か。
そう思っていると小さなタッパーをから優菜はデミグラスソースを黄色の卵に。
そして卵をスプーンで割る。
するとまだ半熟の卵が見えた。
「...美味しそうだな」
「お、美味しかったら良いけどね」
「しかしお前も弁当を作ってくれるとはな」
「まあね」
それから優菜からオムライスを受け取り食べる。
そして自然と涙が溢れた。
それが頬を伝う。
涙がコンクリートに落ちていく。
美味しいんだけど...駄目だ。
泣いてしまう。
「うぇえぇ!?そ、そんなに...」
「美味しいよ。...お前、料理上手だよな」
「あ...う、うん。え?私が料理しているの知っているの?これが初めて言ったし、料理は初めての披露だと思うけど」
「あ...いや。まあな」
「えへ、えへへ、そか。泣く程なんだ」
赤くなってモジモジする優菜の傍で俺は複雑な感情で...目の前のオムライスを見る。
食卓、二人、結婚...浮気。
どうしたものか...いや。
どう表現したら良いのだろうこの靄は。
美味しいんだけど美味しいとは言えないこの靄を...どう晴らせば良いのか。




