21、お前ならどうする?
鏡花が朝食を作ってくれた。
朝食の内容は目玉焼きにカリカリのベーコンなど。
パン、野菜、飲み物。
俺は台所に取りに行き会釈した。
「...すまないな。鏡花。いつもありがとうな」
「いえいえ。大好きなお兄の為ですから」
「大好きは余計かもだが...分かった。ありがとうな」
「余計じゃないですよ。お兄」
投げキッス。
俺は苦笑しながら鏡花から料理を受け取り椅子に座る。
鏡花の分も並べた。
それから手を合わせて合図をする。
そして食べ始め...美味しい。
流石は鏡花だ。
「花蓮お姉ちゃんも料理の練習しています」
「...成程な。...それでか。料理を作りたかったのは」
「そうですね。お料理作りたくて」
「...鏡花。美味しいぞ」
「ありがとうございます。お兄」
それから鏡花は俺に笑みを浮かべる。
俺はその姿に苦笑しながらゆっくり食べ進めた。
そうしていると鏡花が「お兄」と顔を上げる。
「...どうした?」
「私は優菜お姉ちゃんの記憶が...戻れば良いなって思ってる」
「...」
「例えば状況が幾ら最悪でもね」
「...そうか。それは...お前らしいな。優しい所は変わりない」
「前世の私もこうだったのかな」
「変わらなかったよ。...何も。優しいお前だった」
「そうなんですね。嬉しいです」
「...俺さ。鏡花。...恐ろしいって思ってんだ」
「何がですか?」
その言葉に俺は手を止める。
それから「...優菜が記憶を取り戻したとして。どうなるのかが不安でな」と答える。
すると鏡花は「成程ですね」と俺を見た。
鏡花は「私は...お姉ちゃんに記憶を取り返してもらいたいです。それは悪意を持って言っている訳じゃないです。...あくまで...優菜お姉ちゃんが前世で何をしたのか。それを知りたい」と俺を強く見る。
「...絶望的だったら彼女をサポートします。私」
「お前はそういう心優しい部分が...前世の頃からすげーと思っていたよ」
「でも私、怒る時は怒ってます。だって...お兄を裏切ったんですから」
「...」
「私は許しません。絶対に。だけど怒りだけじゃ何も知れないから」
「...鏡花らしいな。俺だったら切れて終わりだ」
「えへへ」
それから俺は手を動かして食事をする。
そして「そうだな。俺も記憶を取り返してもらいたいかもしれない」と言う。
すると鏡花は「...ですね。先は長いかもですが」と苦笑した。
俺も「だな」と苦笑する。
洗い物、お皿を片付けてから俺達は学校に向かった。
☆
学校に着くなり俺は勉強道具を取り出して机の中を片した。
それから俺は整理していると「よお」と声がした。
手を挙げている天満だった。
俺は「よお。天満」と言った。
「...その。彼女の調子はどうだ」
「ああ。...優菜なら病院だが元気だぞ」
「そうか。...大変だったな」
「まあ大変って程じゃねーよ。...だけど記憶を現に失っているからな」
「だなぁ。記憶喪失...大変だな」
「...」
天満は納得しながら頷く。
俺はその姿を見ながら「...」と考える。
確かに大変だ。
記憶を取り返した後の事が気になる。
優菜が自殺をする可能性もある。
だからゆっくりサポートしなければ。
「天満」
「どうした?」
「お前なら...その。今の状況どうする?どう見る?」
「あー。俺だったらか?そうだな。...まあ大切な人が傷付かないように行動するかもな」
「そうかー。だよな」
「だな。...お前大変だな」
「ああ。いや。大変なのは優菜だ」
それから俺は教科書を、ノートを整理する。
すると天満が「宿題やったか?」と聞いてきた。
俺は「いや。手が付けられなかったな。怒られるかもしれねぇ」と返事をする。
すると天満は「そうかー。...まあ俺も怒られるかもな」と言う。
は?
「いや。野球の練習していて忘れていたんだ」
「いやいやお前な。何をしてんだよ」
「という事でさ。一緒に怒られようぜ」
「お前な...」
「良いんでねぇの?どうせお前も宿題やってないんだろ?」
「お前と一緒に怒られるのが嫌だわ」
「はぁん?」
そして俺は肩をすくめる。
天満は「ったくな」と苦笑する。
それから「お前最高だよ」と言う。
俺は「お前もな」と話した。
で、俺達は3時限目の数学のハゲに怒られた。
☆
俺は昼休みに教室でスマホを弄る。
そして優菜と通信をした。
優菜はレインアカウントに(元気だよ)と投稿する。
俺は(良かったよ)と書いた。
すると優菜は(今日はね。ハンバーグの昼食だった)と書いてくる。
「お兄」
「...鏡花か」
「何しているの?」
「ああ。ちょっと...優菜と通信をな」
「あ、そうだったんですね。邪魔でしたか?」
「邪魔じゃないぞ。...昼飯か?」
「そうですね。いつも通りに」
「...じゃあ行こうか。またどっかに」
「はい」
それから移動を開始する。
そして俺達は屋上にやって来た。
鏡花は紙袋を片手に中からお弁当箱を取り出す。
そのお弁当箱を俺に手渡した。
「...自信無いですけどね」
「いや。楽しみだ」
鏡花と一緒にベンチに座る。
それから俺は鏡花を見ていると鏡花はお弁当箱を開けた。
中にサツマイモがキューブ状になった何かがある。
鏡花の弁当箱にしか入ってない。
俺は「?」を浮かべてから「それは?」と鏡花に聞く。
すると鏡花はフォークを取り出した。
そして突き刺し俺に「はい。あーん」としてくる。
ニコッとしながら。
「オイ。そういう事か」
「はい。初めからこういう感じです」
「お前な...ったく」
そして俺は罠に嵌る様に鏡花の突き刺しているサツマイモを食べた。
甘露煮みたいな感じだ。
凄く甘くて上品な味がした。
今の状況も甘い気がした。
鏡花のヤツめ。




