16、フラッシュバック
優菜が俺の家に来てからこう話した。
「私が...迷惑をかける芽を全て潰したい」と。
俺は驚愕しながら優菜を見ていた。
そして優菜は水を飲みながら俺を見上げる。
「私さ。...もうこりごり。そういう系」
「優菜...」
「チェックメイトをしたくない。好きな人を裏切りたくないから」
「お前...成長したな」
「成長っていうか。ただ芽を潰して、摘み取っておこうって」
「...」
俺はお茶を飲む。
それから優菜を見ていた。
優菜は手元にある水の表面に自分の顔を映した。
そして「私は...君を裏切るくらいなら死ぬよ」と言った。
俺は「落ち着けって」と言い聞かせる。
「...だって君を、大切な人を裏切るなんて。前世もそうだけどありえない」
「気持ちは分からんでもない。だが死ぬのは無しだ。まだ解決策がある筈だからな」
「だけど君は苦しんで死んだんだよね。なら私も...」
「落ち着けって言ってんの」
それから俺は優菜の額を弾く。
優菜は><な顔をしてから俺を見る。
俺は「お前がそう言うのは分かる。そしてお前の気持ちを尊重したいのもな。だけど...死ぬのはまだ早い」と話した。
優菜は「...」という感じになってから俯く。
「私って愚かだね」
「この世界のお前は何も知らないんだからな」
「...知ったら死ぬだろうね。死にたくなるだろうね」
「それはさせない。...何故なら今のお前は何もしていないんだから」
「...」
優菜は俺の手を握る。
そして俺を見上げてから見つめてくる。
俺はその顔に「...優菜?」と話した。
優菜は「私は君が好き。だからこそ...私は後悔しない様にしたい」と言ってから俺から手を離す。
そして笑顔になった。
「...でもやっぱりしておきたい事はしておきたいから」
「分かった。協力する」
「え?いや、それは」
「俺の元妻で...優菜のお前に協力する」
「...君はおせっかいだよ。本当に」
「なんでも良い。...おせっかいでも何でも」
「泣きそう」
「泣け。泣きたいならな」
そして優菜は唇を噛みながら「ありがとう」と言った。
それは俺のセリフだ。
あくまで俺が言うべき言葉だ。
俺が...優菜を守れなかったのもあるだろうしな。
そう考えながら俺は優菜の頭を撫でた。
☆
俺達は先ず愛の住処の場所に向かう。
だがその場所は更地でありヒントは得られないままだった。
次に俺達は色々な場所を行った。
何だかデートの様な感じだ。
「...楽しいね。君と移動するの」
「そうだな」
そして俺達は探しながら歩いていると...優菜がふと立ち止まる。
それは信号機の先。
ファーストフード店だ。
俺は「優菜?」と声をかける。
優菜は「なんだか来た事が無いのに覚えがある」と優菜はファーストフード店を見つめながら言葉を発した。
「...え?」
「私、行ったよあそこ」
「...でもこの町に来るのは初めてだろ」
「いや違うよ。...前世で、じゃないかな」
「...お前...」
「私、あそこで村上風太って人に...あれ?」
「オイ?優菜?」
「何でこんなに...あれ?」
青ざめる優菜。
それからよろけてからその場で倒れる。
俺は「優菜!」となってから優菜を見る。
優菜は呼吸が心底荒くなっている。
何なんだ一体。
考えながら居ると目撃した通行人の人が「これ。そこで買ったお水です。飲ませてあげて」と慌ててくれた。
俺は「あ、ありがとうございます」とサラリーマン風のその人から水を受け取り優菜に飲ませる。
優菜は深呼吸しているが呼吸が荒い。
つまり過呼吸の様な状態だ。
「うーん...」
俺は悩んだ末にサラリーマンからアドバイスを受け救急車を呼んだ。
それから救急車に乗って俺達は病院に向かう。
優菜はぜえぜえと息を切らしていた。
俺は心配しながら優菜を見る。
緊急外来に着いた。
そして優菜は運ばれて行く。
俺はそれを見送ってから椅子に腰かけた。
どうしたんだ優菜は?
☆
そして俺は診察室前で待つ。
すると医者に呼ばれた。
俺は「その。優菜は」と聞いてみる。
医者は「彼女、過呼吸だね」と答えた。
中年ぐらいの医者、看護師が俺を見てくる。
「処置をしているから」
「あ、ありがとうございます」
「彼女、何かきっかけあった?過呼吸の原因」
「...分からないです」
「んー。何かあったんだろうけどね」
医者は診断書っぽいのを見る。
それから書類を眺めていた。
俺はその姿を見ながら「その。大丈夫なんでしょうか。優菜は」と聞いてみる。
すると医者は「ああ。中度ぐらいの過呼吸だから...治療は要るけど大丈夫だよ」と笑みを浮かべた。
そして「今日中には帰れると思うから」と診断書を書く。
俺はホッとしながら「ありがとうございます」と話す。
「...有能な彼氏さんだね」
「あ、俺は...」
「彼氏さんが早めに救急車を呼んだから彼女は重症化せずに済んだ。...良かった」
「...」
言いそびれた。
(俺は彼氏ではない)という事を。
まあ良いか。
そう考えながらまた診察室を後にしてから椅子に腰かける。
それから処置室に向かった。




