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黒の誕生

オマケです。

 手入れを怠っているのが誰の目にも明らかだった。

 彼女自身もこの場に足を運ぶのは約三年ぶりといったところだった。

 目の前の墓に手にした白い花束を投げつけるようにして置くと、彼女は昔に思いをはせるかの如く目を閉じた。

 彼女の名前はカース。この年二十歳になる。長い黒髪を後で一つに編んでいる。閉じた瞳も同じ漆黒だ。少し日に焼けた肌をして顔には少しそばかすがある。切れ長の一重の瞳と自然と色づいた唇の持ち主で、誰もが振り返る美人というわけでもないが不美人とは言われないだけの顔立ちをしている。今は薄い茶色のチュニック風上着と焦げ茶のスラックス、同色のブーツを身につけ、帯剣している。

 瞑目していたカースの四肢が瞬間緊張をはらんだ。

「珍しく殊勝だな」

 背後からの声に、緊張を解きゆっくりと目を開けると、カースは振り返った。

 カースの予想通りに後にいたのは見覚えのある青年だった。

「殊勝?」

「最も墓参りだけがお前の目的だったのなら、だけどな」

 嘲るような笑みは彼のいつもの表情だった。大きめの白いエプロンをしたままの姿が彼をごく近所の人間だと否応なく証明している。

「随分なご挨拶だこと。だけどお生憎様。いつもとは違って今日は仕事のついでじゃないわ。」

 それからカースはふっと笑った。

「だけどいくら近所だからってエプロンぐらい外してきたらどう?せっかくの男ぶりが台無しじゃない?」

 カースの言葉を証明するかのように男の顔立ちは相当人目を引く。絵になると表現できるが、彼の外見から優男と判断して痛い目を見た人間をカースはもう何人も知っている。そして一見二十代後半と見える彼の実年齢も。

「この方がいいと言う奴もいるんでね。寄って行くんだろう?」

「ええ、久々にユーリの顔も見ていくわ。ダンの料理も」

「かまわないが、金は払えよ?」

「弟子に奢るぐらい出来ないの?」

「三人前食う奴にか?ごめんだね」

 肩をすくめ先を行くダンに軽い舌打ちをカースは漏らすと、振り返った。

 凛とした表情からは先程までの冗談のようなやりとりの影は潜め、冷ややかなまでの眼差しが墓石に刻まれた名を睨み付けていた。

 刻まれた名は、セス。

 彼女を拾い、育て、技能を叩き込み、彼女の現在の道を定め、そして彼女によって人生を強制的に終了させられた、彼女の師匠の名前だった。


 黒影というのが彼女の二つ名だった。

 どこの組織にも属さない暗殺者として、高額の賞金首として、そして誰にも顔を知られない彼女の周到さも、名高かった。

 自分自身がその名で呼ばれるようになったとき、彼女は運命の皮肉に感謝したくなるほどだったが、それはまた別の話である。

 黒影の名が世に知られ始めたのは、五年前だった。その時、それはまだ彼女のものではなかった。その名が彼女のものになったのは三年前のことである。もちろん表の世界でも裏の世界でもその事情を知る者はない。その事情を知る者は現在となっては三人きり。

 一人はカース自身。

 一人はユーリ。

 一人はダン。

 その中でも最も多くの事情を知る者はダンだった。カース自身ですらも知らない事情を彼は知っている。

 あれから三年が経った今、彼女はようやくすべてを知るためにここにいる。ダンが拒んでも聞き出さなければならないという覚悟を決めてきたのだ。

 街道沿いの村は人口もさほど多くはない。この村で食堂を経営しているのがダンとユーリの若夫婦(村ではそう思われていた)だった。古くから栄える宿場町が近隣にあるため、商売として宿屋よりも食堂をダンは選んだ。街道を通る旅人が立ち寄る平和な村の食堂の一光景にしっくりととけ込む彼らの以前の職業を知る者は村人ではいなかった。

 食堂に一歩足を踏み入れたカースをユーリの笑顔が迎えた。決して口数は多くないユーリだが、絶やさぬ笑顔は評判が高い。カースですらつられて笑顔を見せた。

「久しぶり、ユーリ」

 返事はより一層の笑顔だった。

「食事は今用意する」

 そういって厨房に消えるダンの後ろ姿を見送って、カースはカウンターの椅子に腰を下ろした。お茶を運んできたユーリに純粋とは表現できかねる笑顔を向ける。

「ねえ、そろそろ覚悟を決めるべきじゃないの?あなたも。もし私がこれからダンに訊こうと思っていることをあなたが知りたくないのなら、それもあなたの選択だけど。心に残るしこりは消せもしないよね?」

「…何が言いたいの?」

 ユーリの顔から笑みは消えなかった。不断の笑顔が彼女の特技なのかもしれなかった。けれど笑顔を裏切るように冷え冷えとした声はユーリがカースと同じ世界に生きる人間だということを証明していた。

「薄々感づいてもいるんでしょうに。三年前、私たちが戦わなければならなかったか、そして…」

「あなたが彼らを殺さなければならなかった理由?そして私が片足を失わなければならなかった理由?」

「私には知ることを恐れているように見える」

「知る必要がなかったから訊かなかっただけの事よ。今現在の状況に私は満足しているわ。だから…」

「知ることによってダンと気まずくなるかもって?そのままであなたが満足ならいいけどね。私は訊くわ、そのために来たんだもの」

 笑うカースに、ユーリの顔から笑みが消えた。怜悧な瞳がカースを注視した。明確な敵意を感じてもカースはひるまなかった。ユーリがどんなに隠し通しても自分を嫌い抜いていることを知っているのだ。彼女から右足を失わせたのはカースだった。

 辺りに漂う不穏な空気に大皿を運んできたダンが訝しげな表情を見せた。

「何だ?」

「別に?」

 笑顔で皿を受け取り、カースは続けた。

「私が覚悟を決めてきたってことを言っただけよ。何故三年前私たちが…私たち七人が殺し合わねばならなかったか、その理由を聞く、ね。セスは私にそれを語らず逝ってしまったから、他の五人の師匠方も逝ってしまったから。誰に訊かなければならないかは明白よね」

 その場に硬直して立つダンに座るようカースは椅子をすすめた。

「今更だと思ってるの?」

「いや…」

 ダンはうつむいた。

「ただお前が覚悟を決めてきたように俺にも覚悟が必要なだけだ」

「ふーん」

 カースはせせら笑った。

 辺りの空気は春だというのにうすら寒い。感情的にそう感じるだけだったのかもしれなかった。

 沈黙の果てにダンはやっと口を開いた。



 それを彼らから持ちかけられたのは、今から十年前になる。

 俺は‘深紅の悪夢’という暗殺者ギルドの長だった。

 彼らはそれぞれ違うギルドの長だった。元・長と言っていい。俺が彼らに会ったときにはもう引退してからそれぞれ随分経っていた。そう…セスは確か‘東雷’。みな名のしれた人物たちだった。

 暇つぶしだよとそう言ったのが誰だったか俺は覚えてない。技能を失わせるのが惜しいからと言った奴もいる。

 彼らが俺に持ちかけてきたのは‘後継者育て’だった。

 後継者育てといったってそれぞれひとかどの暗殺者だ。随分なことになるのは目に見えている。乗り気になっている六人と…俺。俺は無理やり引き込まれた方だった。

 彼らは七年育てようと言った。俺たちの数にあわせて。

 それぞれに一人ずつ育てて、それぞれに技能を仕込んで、時折交換し合って自分たちよりすぐれた後継者を作り上げよう、それが目標だった。

 十歳の子供と決めたのは公平を狙ったからだった。七年後に誰が一番すぐれているか、決めるつもりだった。

 俺がユーリを見つけたように六人もそれぞれに弟子を見つけた。

 徹底的に仕込まねばならなかった。自分自身の自尊心やユーリの安全のためにも。

 弟子たちにはお互いの存在を知らせないようにしながらの七年は苦しかった。けれど後継者育て自体は楽しいものでもあった。

 七年間での事件はたった一つだけ。セスが育てていた弟子があまりの修行の厳しさに逃げ出したこと。

 逃げおおせたかって?無理に決まっている。…セスは許さなかった。次に彼にあったとき、俺たちは彼の弟子が変わったことを知らされた。けれど公平だろうと彼は笑った。年齢はお前らにそろえたと。仕込む年数は短いけれどそれでも最後に勝つのはこの子だからと。それはそれを始めてから三年経っていた頃だった。

 六年後には仕事を任せられるほどになっていた。俺たちは黒影という二つ名を彼らにつけた。いくつかの仕事をやらせて、世にその名が流布し始めた頃。

 そろそろ始めるか、そう言ったのは誰だったろう。誰が生き残るか、だ。そして一番優れているのは誰だったのか、だ。彼らに殺し合えと言うのか、そう訊いた俺に彼らは何を今更とせせら笑った。俺たちがここまで来るのにどれだけの死の上にいるか、そのぐらいをできない弟子を俺たちは育てたつもりはないと。

 始まりはそれから十日後に決められた。

 時間と手間と…愛情のかかったゲームだよ、そう言ったのは確かセスだった。



「それから先はお前の方が詳しいだろう、カース」

「ええ、そうね、そうかもしれないわね」

 ダンの言葉におざなりな返事を返し、カースは手を握りしめずには居られなかった。

 自分自身がゲームの駒だと、彼らのおもちゃに過ぎなかったともちろんそれまでも気付いていなかったわけではない。けれど改めてそう聞かされるとまた沸き上がる思いがあった。

 同じ状況に置かれたユーリの方を見やると、例の感情を見せない笑顔の中にもカースよりは冷静な姿を見て取れた。多分それはカースほど血塗られた状況になかったことと、ダンが懸命に言葉を選びながらセスたちとは違うということを主張していること。…それからユーリが今ここにある、その理由からなのだろう。

 しかしカースはユーリほど師匠に愛されていたわけではないのだ、いや、愛されていたとしてもその形がきっと違うのだ。そしてそれはカースが求めていたものではなかった。


 カースは孤児だった。十二歳までの年月を施設で過ごした。

 セスに拾われたのは施設を飛び出してから一年が経った頃、カースが十三歳になる頃のことだった。

 当時のカースは掏摸を生業にしていた。決して腕がよいとは自分でも思ってもいなかったが、筋はいいのかもしれないとはうぬぼれてはいた。自分自身が暮らして行くには十分な程度は稼げていた。けれどそれ以上の何かを手に入れることはできなかった。カースには確固たる目標があったのだけれど。それにはどうしても届くはずがないとわかっていた。

 裏町の片隅でカースはセスに出会った。老人と称せる年齢の男はカースに手をさしのべた。お前が望むものを手に入れさせてやる。それがセスがカースにかけた言葉だった。

 暗殺者として育てられるのだと悟ったときは小躍りしたいぐらいだった。それはカースの目標に近かったから。そして修行の中でそれが自分にとっての天職だということをカースは気付かざるを得なかった。

 修行は厳しかった。思い出したくもないほど厳しかった。カースはそれでもセスの期待以上の成果を上げ続けた。課題が困難になればなるほどカースは本領を発揮した。セスは喜んだ。そしてカースを慈しんでくれた。

 時折、古くからの友人だといって預けられるセスとそう年の変わらない男たち(一人だけは何故か若かったのだが)にもさまざまな技術を仕込まれた。

 信じていたといえば自分の甘さに嫌気もさすが、実際には信じていたという他はない。

 仕事に挑戦させられたのは十六歳になってからだった。

 初仕事が成功に終わっても修行に終わりはなかった。月に二・三度の仕事と修業の日々の一年が過ぎた。

 その日は仕事の帰りだった。仕事自体は難しかったわけではない。ごく普通にこなしてごく普通に家に帰る道すがら、初めて感じた刺すような殺気。それはほんの一瞬だった。

 振り返ると同時に短剣を飛ばして、その場から跳躍した。

 夕方の森の中でカースははじめて恐怖を覚えた。

 それまで自分がいた位置に突き刺さる矢と、周囲に溶け込んで微かにしか感じられない気配。相手に自分は見えているはずなのに、自分からは相手を確認できない。

 仕込まれたのは基本的には暗殺の技術だった。自分のほうが姿を隠しているほうが常。だからこその恐怖があった。

 気配が明確な殺気に再び姿を変えた刹那。

 飛来した影を切りつけるのにためらいはなかった。

 相手の得物はカースには届かなかった。

 致死性の毒を塗りこめていたカースの剣は相手の腹を十分に傷つけていた。

「…あっけない…死に様だな」

 ごぼりと吐き出した血の間から、自嘲の響きを持った呟きがこぼれた。

 カースの言葉ではなかった。相手の…カースとそう年の変わらない少年の口からこぼれた言葉だった。

 カースは彼に見覚えはなかった。けれど少年の持つ雰囲気やその得物には覚えがある。

「誰?」

 カースの誰何に少年はにたりと笑みを浮かべて崩れ落ちた。あとは何も語ることなく。

 ぞくりと嫌な予感にカースは眼前の少年を見下ろした。ふるえが走った。カースの記憶が確かならば彼の持つ雰囲気、その得物は彼女が師匠と仰ぐ、一人と同じものだった。

 そうそして彼がしているピアスは、カースがセスに弟子入りしたときにもらったものと全く同じだ。ふるえる手でカースはそれを取り上げた。

 一歩後ずさりをしてカースはその場を一目散に立ち去った。

 今すぐにセスに会わねばならない、その思いで。

 迎えたのは笑顔だった。けれどそれは純粋とは称しかねる。嘲るようなそして賞賛のような。

「まずは帰還おめでとうか。うっかり今日からということを忘れていてな。お前に伝えるのも忘れていた」

「…今日から?今日から何?」

「生き残れ。それだけだ。お前を含め七人の内、生き残ったものの勝ちだ」

「七人って何?それはもしかしてこれをしている七人なの?」

 カースが差し出したピアスにセスは感嘆の溜息をもらした。

「さすがに俺の弟子だ。優秀と称して間違いはない。あと五個それを手に入れてこい。すべてはそれからだ」

 逆らうことはできなかった。セスの瞳が、表情が物語る。

 けれどカースはもしそれが自分の思ったとおりの結末になるのなら覚悟を決めるつもりだった。


 手に乗せられたピアスは四つ。

 手を下したのは三人。一つ余分のピアスは一人が持っていた。

 残すはあと二つだった。けれどあれから一月が経つ今となっては、おそらく残っているのは一人だけなのだろうと、自分の状況をも考え合わせてカースは思う。

 眼前に現れていないうちの一人は、ダンの弟子のはずだった。

 カースは彼の家を目指した。

「お久しぶりです」

 そう言って入っていた家の中にいたのはダンだけだった。

 一瞬ひるんだような表情の彼をカースは見逃すことはなかった。そしていっそ残忍なほどに見える笑顔を浮かべた。

「多分、私の考えが間違ってなければ、あと残っているのはここと、ロナルド師匠の所だけなんですよね。ダン師匠のお弟子はどういう方でしょうか?早いとこ片づけないと、私、うちの師匠に聞きたいことが山積みなんで、教えてもらえます?」

 ふとカースは振り返って、呟いた。

「訊くまでのことでもないみたいですけど、帰ってきたみたいですね」

「…カース、お前はいくつ手に入れてるんだ?」

「ピアスですか?私の分を含めて五つ。あと二つ」

 カースはふっと微笑んで、ダンを見やった。

「何を怯えていらっしゃるんですか?私にこれをさせているのは師匠方でしょう?ねえ、どう考えても私は理不尽な思いしか感じてないんですけど。でも生き残ってやらなきゃいけないことがあるんで。勝つしか殺すしかその術がないんだったらいくらでもやりますよ。

でもそれでもこれだけのことをさせている覚悟ぐらい師匠方もしていただいてますよね」

 そしてダンに背を向けてカースは外に出ていったのだ。

 ユーリという名前は知らなかった。性別もまだその時は知らなかった。結局だれであってもやることは変わらない。それが事実だった。


 命乞いをしたのはユーリではなかった。カースにすらわかるユーリの自尊心の高さは生き残ることを良とすまい。

 命乞いをしたのはダンの方だった。

 自分の前に立ちふさがった青年の姿にカースは眉を一瞬ひそめて、それから思い直し、言い放った。

「今の私は多分あなたにまけることはないと思うけど」

「そうだろうな。だから争う気はない。全面的に降伏する。だからこの子の、ユーリの命は…助けてやってほしい」

「今更っ、何を!」

 それからそれでもカースは思案する表情を見せた。実際戦闘はもうユーリには不可能だ。深く傷つけられたユーリの右足はもう使い物にはならないだろう。そうして爛々と輝くユーリの復讐に燃える瞳を見てカースの決心はついた。

「…いいわ、乗るわ。だけど一度でも逆らったら叩きつぶすよ、容赦なく。それからダン、あなたにもいろいろ協力してもらうわ。何せ裏の世界に関しちゃ世間知らずだし、まだまだ仕事は続けて行くつもりだけど、今までのようには行かないから。私は利用されるのはまっぴらよ。だから許さないから」

 最後の部分は自分に言い聞かすような言葉だった。



 激情のままに動いたと言っても間違いではない。けれど後悔もしていなかった。憐れむ気持ちも惜しむ気持ちも持ち合わせてはいなかった。

 惜しむ…?まさか!

 カースはそれでも薄く笑う。だって彼らの技術はここにある。そして彼らの人脈も、カースの協力者のもとにある。協力者はダンだ。その人脈や知識はカースが黒影の名で仕事をするにあたっての事務的な処理に利用されている。

「愚の骨頂よね、自分の弟子に殺されるのも」

「ああ、そうかもしれんな。だが、押しつけられた仕事を好んでやり続けるのも愚かしいんじゃないのか?」

 カースは上目遣いにダンを睨み付けた。

「随分と言うじゃない。だけどお生憎様。元々目指していた職業なのよ、これは」

 もちろんその因縁をダンに話さなければならない理由は何一つとしてカースにはなかったから語ることはなかった。

「でもね」

 カースは立ち上がり出口に向かった。

「引退しようと思ってね。彼らに私を暗殺者として育てた明確な理由があるならそれを片づけてからと思って聞きに来たのよ。…まあ、ゲームに過ぎなかったというならすぐにやめてもいいわよね」

「引退して何をする」

「情報屋でも営むわ」

「何で?」

 ユーリの問いにカースは振り返った。

「私が暗殺者を目指した理由が消えたからよ。もう必要ないの。もう手に入れたからよ」

 何を手に入れたかをカースは言わなかった。

 だけれどダンとユーリに向けられた笑顔はらしくもなく邪気のない純粋な笑みだった。


 黒影は消えた。

 しかしその名は未だに有名だった。そして彼女にかけられた法外な賞金も、そのままだった。

 けれどそれはまた別の話である。


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