23 マサヤの遺書 ~レオナルド目線
レオナルド目線です。
~レオナルド目線
「何だと!前世でリンを殺した『マサヤ』が国王だと!?」
「ああ、あいつはリリアのことを『リン』と言った。それに、あの目付き、あの表情は『マサヤ』そのものだ」
リリアの寝室から客室に移動し、俺は『リン』と『摩周』がリリアとトーマスとしてこの世界に転生してからのこれまでと、婚約破棄の計画を詳しく聞いた。
リリアは先ほどまではひどい格好だったが、今は髪もドレスもキチンと整えている。
前世から解放されたリリアが選んだのは、どこまでも抜ける夏空のようなスカイブルーのドレスだった。
髪には俺が贈った真珠の髪飾りを付けている。
その姿は、まるでリリアの晴れ晴れとした心の中そのもののようだと思った。
「リリアは国王が『マサヤ』だと気付いていたのか?」
「いえ、でも改めてトーマスの話を聞くとそんな気もします・・・・・・だからトーマスは最初、国王の手の届かない西の隣国を逃亡先に選んだのね」
「しかし、敵対している西の隣国で暮らすというのは、かなり無理があるだろう」
「まぁな、俺はこれでも一応この国の王太子だったからな、顔も割れてる」
「それで、リリアは俺の元にいるのが一番安全と考えた訳か・・・・・・確かに、このボンディング公爵家なら国王は手が出せない。下手をすると戦争になるからな。大丈夫だリリア。安心しろ、俺がここで守ってやる」
リリアの髪を撫でながら言った俺の言葉に、ナタリーが口を挟んだ。
「安全じゃないよ、国王が本当にマサヤなら諦めないと思う」
それを聞いてトーマスが不満そうに口を尖らせて言い返す。
「ナタリー、何でそんなこと分かるんだよ?確かにマサヤは執念深い奴だったけど、今じゃ、一国の王だ。さすがに国を潰すようなことはしないと思うぞ?」
ナタリーは真剣な顔でトーマスを見つめたあと、小さく首を振った。
「あたしはね、加々美リンが殺されてから一ヶ月後に死んでこの世界に来たの。だから、あの事件の報道はイヤと言うほど見た。国民的アイドル『加々美リン』が国民的アイドルグループ『CRASHのマサヤ』にメッタ刺しにされて、そのマサヤも首を切って自殺した。世間はそりゃもう大騒ぎよ。あたしもリンたんの大ファンだったからね、毎日テレビとパソコンにかじりついてその報道を見てたわ」
「その報道で、俺たちの知らない何かが解ったのか?」
「・・・・・・マサヤはね、遺書を残してたのよ」
「遺書・・・・・・?」
「リン、俺はお前を殺すんじゃない。
これは、俺とリンが新しい世界に行くための儀式だ。
この世界でお前が俺を受け入れてくれないのなら、違う世界に行くしかないだろう?
俺はお前を追いかける。
お前が俺を受け入れてくれるまで。
次で駄目ならその次で。
何度でも、何度でも儀式を繰り返す。
リン、愛してる」
リリアの体が大きく震えた。
俺はそんなリリアの肩を強く抱き寄せて手を握る。
「マサヤが死んだ時にポケットに入ってたらしいの。どっから流出したのか、血まみれの遺書の画像がネットで出回ってた。あたしはそれを何度も読み返したからね。一字一句、間違いないわよ。」
「・・・・・・じゃあ、あいつはリリアを奪いに、ここに来る・・・・・・?」
「それは、あたしにもわからないわ。ただ、簡単には諦めないと思っただけ。そしてもう一つ、マサヤは覚醒剤の常習者だったらしいの。そのせいでおかしくなってた、という報道もあったわね。とにかく、用心に越したことはない。リリアちゃん、気をつけて」
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24 あたしは鳴海
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