第9話「告白」
「ユウ」そういって背中をトントンと、たたく。
聞こえてないかもしれないけど、呼べることが嬉しい。
《これ、大丈夫?》仕事の確認をしてもらう時は違う意味でもドキドキする。
でも、オッケーと笑顔で返されたときは愛しくて胸が苦しくなる。
一緒にいる時間はすごく長いけど、仕事以外の話をすることは少ない。
私のことを気にかけてくれてるのかなと、嬉しくなったり、沈んだりの毎日だ。
この前は一緒に帰れたけど、やっぱり偶然だったのかな…。
こんなときに、私は自分から誘ったり、積極的になれない。
どうしたらいいんだろ…
私はどうしたいのかな?
ユウと…付き合いたい…?
そんな簡単に付き合うとか、できるのかな。
普通に会話するのも大変だし、通じてるのか分からないこともあるし。
でもそのために手話覚えようって決めたんだよ。
好きな人に相手にされないのを耳が聞こえないせいにしたらダメだよね…
やっぱり私はユウのこと好きなんだよ。
もっと知りたくたて、近づきたくて、ユウに触れたくて。
「ユウ」《一緒に帰ろう》
今日は自分から誘ってみる。返事が来るまですごく長い時間が過ぎるように感じる。
ニコッと笑ってうなずいてくれる。
あぁ、良かった。
《でも、用事があるから、自転車の後ろ、乗ってくれる?》
タイミング悪い私…
《ごめん。大丈夫?先に帰る?》
本当は後ろに乗りたいけど。
《大丈夫》そして優しく笑ってくれる。
ユウの自転車の後ろ乗って、後ろから抱きつく。
とか、そんな大胆なことはできないけど、背中にちょっとおでこを当てる。
ユウの匂い。
「ユウ、好きだよ」
そっとつぶやいてみた。
私はユウが、少し後ろを向いたのに、気がつかなかった。
駅まで送ってくれたユウにお礼を言って、手を振る。
「ゆい…」
「え…?」
名前を呼ばれたよね。今。でも、それ以上は何も言わずに
ユウは笑顔で帰っていったけど、なんか不思議そうな顔をしてた。




