95:空を飛べる条件について
学校を出て空を飛んで移動し、魔法島の駅から飛行船に乗り、帝国の駅で下り、リロとエリゼは王宮を目指す。
王宮はとても大きな建物なので、駅から出て箒で空を飛ぶと、すぐにそれらしき建物を発見できた。
巨大な丸い屋根の宮殿と尖塔が見える。
(あれだね……)
あとは目的地に向かって進むだけだ。
「エリゼ。帝国で空を飛んでいる人って、あまり見かけないよね」
ゼロではないけれど、魔法島より明らかに少ない。
「そもそも、飛行媒体を扱える奴が少ない」
たしかに、カドの街では、魔法媒体で空を飛んでいる人を見かけたことはなかった。
(鳥人族以外は皆、徒歩だったり、魔法生物に乗っていたりしたっけ)
住人がほぼ獣人族だったので、徒歩率が高かった。
人間族のリロはともかく、身体能力の高い獣人族は、かなり早く移動できるのだ。
「飛行の魔法は一応、「難しい」と言われている。アヴァレラでは授業を受ければ飛ぶことができるけど、そうじゃなければ免許が必要だろ?」
飛行免許については知っている。
そういう教習所に行って、学校での飛行訓練と同じように勉強や実戦を積むのだ。
「そうだけど、免許があれば飛べるんだよね……?」
「飛行免許はそんな簡単に取れるものじゃない。アヴァレラ魔法学校に入るのが大変なのと同じようにな」
普通の、魔法の勉強に熱心でない人にとっては、ハードルが高いということらしい。
「そんなに苦労して免許を取るくらいだったら、魔法生物に運んでもらったり、魔法具の乗り物を使ったりするほうが早い。今は金さえ出せば質のいい移動魔法具が手に入る。獣人族や鳥人族なら、身一つで移動できてしまうしな。スピードはともかく、妖精族だって羽があるから飛行媒体なしでも飛べる……」
「なるほど、そうだね」
獣人族以外の移動方法は、そんな感じのようだ。
「だから帝国で空を飛んでいる奴らはほぼ、鳥人族かアヴァレラ魔法学校の卒業生か、貴族の乗る走孔雀の馬車かだ」
「エリゼ、物知りだね」
「逆になんでお前は知らないんだ。知識に偏りがありすぎるだろ」
「都会なら、皆、空を飛んでいるのかなって思っただけ」
「どこの田舎から出てきたんだ……」
「カドの街」
「……知らない名前だな」
大好きな故郷の知名度は、そんなに高くはないようだ。
(いい場所なのに)
機会があれば連れて行ってあげたい。
自然が多いし森も近いから、妖精族には合う場所だと思う。





