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77:回答が送られてきた

 その日の授業は魔法生物との対話で、リロは魔法陸獣語や魔法海獣語を駆使して、楽しい時間を過ごした。

 一緒に登校したブッチョも、ほかの魔法生物とお喋りできたみたいだ。

 リロにはわからないが、魔法生物同士で通じる何かがあるらしい。

 そうして放課後、寮に帰るとミネット宛の手紙が届いていた。


「ミネット、手紙が届いてるよ」

「あら、ありがとう、リロ……差出人は……」


 言いかけ、ミネットは言葉を止めた。彼女の顔が険しくなる。


(あ、もしかして)


 差出人は見ていないが、なんとなくミネットの実家関連の気がした。

 手紙を読み始めたミネットの機嫌が、さらに急降下している。


「なんなの、なんなのよこれ。ふざけないでほしいわ……よくもこんな手紙を送ってきたものね! 本当に、あの人は何も考えていない! 迂闊すぎるわ!」


 びっくりしたのか、リロの肩に乗っていたブッチョがブルブルと体を揺らす。

 ミネットのフロリムも長い耳を伏せ、頭に毒々しい色の花をポンと咲かせた。

 使い魔たちの様子を見たミネットが慌てて謝る。


「ごめんなさい、情緒不安定になっちゃったわ。差出人が、お母様だったから。しかも見て、この内容」


 言いながら、ミネットは机の上に手紙を広げた。


「……え、見ていいの?」


 戸惑いながら、リロはそっとミネット宛の手紙を確認する。

 そこには、びっくりするような内容が書かれてあった。



*-*-*-*-*-*-*-*-*


 ミネットちゃんへ


 本当は直接会ってお話ししたかったけれど、何故か取り次いでもらえなくて出入りできないから、手紙を送ります。

 もうすぐ試験があるわよね。

 その問題用紙と、回答の書かれた答案用紙を手に入れたので送ります。

 とある方が、専門業者に頼んで用意してくださったの。

 これを見て、今度こそ一番を取ってね。


*-*-*-*-*-*-*-*-*


「……わあ」


 内容が酷い。しかも、二枚目以降は回答が書かれた各教科の答案用紙だった。

 一年生が受ける試験――基礎魔法学、魔法歴史学、魔法生物学、魔法植物学、魔法体育学ものだ。

 ミネットは顔を真っ赤にして震えている。


「信じられない! こんなものが露見したら、私が不正を疑われてしまうじゃないの! それで、私に関するよくない噂が、魔法島だけではなく帝国中に広がることになるのよ……! そうなれば次代のドワーフ族は終わりよ! 試験前のこのクソ忙しい時期に手間を増やさないでよね!」


 ミネットの言葉が荒れている。いつもの彼女らしからぬことだ。


「……私も答えの書かれた紙を見ちゃった……先生に話しにいこう?」

「そうね。さっさと対処しなきゃ、こんなの退学ものだわ。どうしてお母様は、こんな簡単にばれるようなことをするのかしら。ここはアヴァレラ魔法学校よ? 不正な答案用紙入りの手紙がチェックされていても不思議ではないのに」


「ミネットのお母さん、訴えられたりしないかな?」

「訴えられればいいのよ。それだけのことをやったんだから……! ことあるごとに私の学校ライフを邪魔して……!」


 ミネットはものすごく怒っている。

 とりあえず、リロたちはクリストファーに知らせに行く。

 担任且つ責任者なので、報告するなら彼がいいだろう。

 最近、校長室へばかり行っているような気がしてきた。

 ただならぬ様子を感じ取ってくれたのか、すぐクリストファーに取り次いでもらえた。


「先生~……」

「わわっ、どうしたの!?」


 校長室に来たリロとミネット……ついでに、それぞれに抱っこされたブッチョとフロリムを見たクリストファーが慌てる。


「母がこれを……この手紙を見てください」


 ミネットが送られてきた手紙をクリストファーに見せた。

 手紙に目を通したクリストファーが、困ったように眉尻を下げる。


「うーん、これは……大変だったね……」


「私、こんなことでズルしたくないです。それに、業者って書いてあるから、私以外にも答案用紙を受け取っている子がいるかも」


 クリストファーは意味ありげに微笑み、リロたちへ告げた。


「心配ないよ。業者については把握済み」

「えっ……?」


「こんなこともあろうかと、うちのテストは常に厳戒態勢なんだよ~。ごくたま~にだけれど、こういうことをやらかす人がいるからねえ」

「でも、この送られてきた回答は……?」


「ああそれ、わざと業者に偽物を掴ませているの」

「わざわざ、偽物を作るんですか?」


「その年によって、対策は異なるけど、今年はこういうのやりそうな人がいそうだな~と思ったら、引っかけてみるんだ。とはいえ、僕が就任してからは初めてのことなんだけどね。以前にもやったことはあるみたい」

「……そうだったんですね」


「でも、そういった情報は極秘。ありとあらゆる手を使って、関係者を黙らせるんだ。だから、表には出ていないはずだよ」

「……ありとあらゆる」


 ちょっと怖い。どんな方法を使うのだろう。

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