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72:結果発表のあと

 総合結果で、マーガレット寮は二位だった。

 おいしい料理と壊滅的な料理の差が激しかったことが敗因だ。

 後片付けをしながら、リロとミネットは結果について話し合う。


「うーん残念。でも楽しかったし、まあまあいい結果ね。お母様のせいで大勢に身バレしちゃったんじゃないかとか、立場的に失敗はできないからしっかりしなきゃ……ってプレッシャーも感じていたんだけど、料理が楽しくて途中からそんなの忘れちゃっていたわ」


 ミネットは満足そうだった。


「うん、無事にフライ丼もできたし」


 リロも頷く。

 結果はともかく、他のマーガレット寮生も満足のいく一皿を作れたみたいだ。


「エレナとミレナ、生肉をそのまま切って出したみたいだね。血が滴っていたって……」

「妖精族は新鮮な食材を好むって言うけど、生は人を選ぶかもね……」

「あとで本人たちに聞いたんだけど、あの二人はいつも生肉を普通に食べていて、狩りもできるんだって」


 その感覚で、当たり前のように生肉を提出してしまったみたいだ。

 妖精族らしい儚そうな見た目に反し、あの双子は野性味溢れる食習慣を持っていた。


「う……いいえ、食文化は様々よね」


 想像したのか、ミネットの顔色が若干悪くなっていた。


 ※


 総合優勝はダリア寮だった。

 悔しいけれど、全体的に料理のレベルが高かったので納得の結果だ。


(私もお兄ちゃんのハンバーグは食べたかった……あと、同じ部門で一位になった一年生の芸術的なリゾットも)


 ただ、勝利を見据えてチーム編成をしていたカメリア寮の面々は不服そうだった。

 知り合いはいないけれど、なんだか厳しそうな寮だ。


 片付け中に、隣で鍋の爆発を引き起こした生徒が寮の仲間に咎められているのを目にし、複雑な気持ちになった。

 どうやら、魔法の実践が苦手な一年生で料理も経験がなく、鍋の監視作業に当たっていたが、退屈で集中力が切れ、よそ見をしていたことで爆発事故に繋がったようだ。


 指示されるまま作業するのはつまらないという気持ちはわからないでもない。

 その結果が結果なので、全面的に賛成はできないけれど。


「お前のような生徒は、カメリア寮にいらない!」


 獣人族の、三年生と思われる生徒が、一年生を断罪し始めた。


「今すぐ出て行け! 二度と寮の行事には参加させないからな!」


 見かねたミネットが「私は大丈夫だったので」と、止めに入る。

 しかし、「余所の寮のことに、口出ししないでもらおうか」と拒否されてしまった。


(あわわ、どうしよう)


 だからといって、寮から追放者が出るのを、このままにしていていいとも思えない。

 おそらくこれは、生徒の独断によるものなので。

 リロは素早く周囲を見回し、ちょうど職員のテントにいたカルボンを引っ張ってくる。

 彼はカメリア寮の寮監だし、部外者には当たらない……はずだ。


「カルボン先生、早く!」

「お? どうした?」


 引っ張ってきたカルボンは、カメリア寮生の様子を見て事情を察したようだ。


「なるほど~。おーい、カメリア寮生、全員集合ーっ!」


 そうしてリロたちの方を見て告げる。


「ありがとう、後は私に任せるといい。ここ最近、血の気の多い生徒が増えてねえ……元気なのはいいことなのだが。自分はともかく他人に厳しすぎるのはねえ」


 寮監の介入により、騒いでいた生徒も大人しくなった。

 カルボンには、彼らを統率する力があるようだ。


「もう大丈夫そうね」

「うん……」


 ミネットと頷き合い、リロたちはカメリア寮の集団がいる場所をあとにする。

 何故か、途中でダニエルが、ブルーベル寮生の生徒たちに胴上げされながら、寮の方向へと運ばれていった。


(……何があったの? 彼とブルーベル寮生にはあまり接点がなかったはずだけれど……)


 謎すぎる。

 ミネットも不思議そうに、運ばれていくダニエルを眺めていた。

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