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65:魔法ギルドについて(ロバート)

 ロバートはダリア寮の部屋の中に置かれた通信用魔法具で、実習先の代表者と連絡を取り合っていた。

 相手は魔法ギルド、魔法島本部に所属する護衛部門の責任者だ。


 魔法島には、魔法ギルドという魔法使いが助け合うための組織がある。

 所属するには年会費が必要で、ギルド内のルールを破ると罰則も適用された。

 きちんとした組織だ。


 主な役割は、情報交換、魔法使いへの仕事の斡旋や魔法使いへの仕事の依頼の仲介などだ。ギルド側は紹介料を取る。

 原材料や製品の買い取りや販売、道具の貸し出し、技術講座もあり、困りごとの相談にも乗っている。ギルド側は手数料を取る。

 決まった日に、魔法使いたちによるワークショップや製品販売が行われることもあった。


 魔法島に協力的なボウル帝国など、支部を置いている国もある。

 こちらは、ギルド側が月額で支部設置料を取っているようだ。

 つまり、そんな風にして成り立つ組織である。


 魔法ギルド内には護衛部門のほかにも、狩猟・工房・採取・探索・製薬・販売・研究などなど、二十を超える色々な部門が置かれている。

 卒業後にここに所属する生徒は多く、両親もここの工房部門と販売部門に所属していた。掛け持ちもできるのだ。


 二年生のときに、ロバートも護衛部門に入った。

 いずれは両親と同じ部門にも所属するつもりだが、まずは護衛部門で実績を積む予定だった。

 ――全ては妹を守るために。


 本来、学生として歓迎されない行動だが、寮監のシオルは文句を言いつつも、事情を理解し目を瞑ってくれている。

 厳しい部分もあるが、彼はいい教師だ。

 この先、リロの助けにもなってくれるだろう。


 ※


 今年、妹のリロがアヴァレラ魔法学校へ入学した。

 学校に入学するのがリロの長年の目標で、その先に彼女の目指すものがある。

 だから、入学自体は喜ばしい出来事だ。

 ただ、人間族である彼女の前には、数々の障害が立ち塞がるだろう。


 リオパール家でなら、リロを完全に守ってやれた。

 カドの街の人々はリロの事情をある程度知っていたし、リロの種族についてとやかく言う者はいなかった。

 いても、住人たちによって、リロに接触する前に排除されていた。


 だが、帝都や魔法島ではそうはいかない。

 人間族は思った以上に他種族から嫌われ、憎まれている。

 リロが何もしていなくても、種族名だけで判断して、攻撃的な態度を取る者も現れるかもしれない。

 そして、それはこれからずっと続くだろう。


 ロバートはリロの目的の邪魔になる全てから、彼女を守りたかった。

 そのためには、今の自分の実力だけでは足りない。

 もっと様々なことを知って、物理的にも強くならなければいけない。


 そう思い、魔法ギルドの護衛部門で、実習という名の武者修行をしていたのである。

 家族にも、リロ本人にも言っていないし、言う必要はないと思っている。


 ただ、リロがこれから、意図せず人間やほかの種族から注目されることになっていくのはわかるから、兄としてそんな妹を守りたいだけだ。

 せめて、リロが目的を達成する日まで。

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