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愛鴨  作者: 山本 宙
7章 折り箱
48/70

48話 空港から

 ヘイヘイの帰国当日。

美姫がスマートフォンでメッセージを送る。


宛先 ヘイヘイ

件名 空港でのお見送り


 ヘイヘイさん、私はいつもアイドルという肩書を背負って働いてきました。

そのため、信頼できる友人は数少ないです。その中でも私は、ヘイヘイさんと出会えてから

本当に信頼できる友人と巡り会えたと思いました。


突然の別れは寂しいです。

帰国しても藍野くん、そして私のことを忘れないでください。


ヘイヘイさんが飛行機に乗り立つ当日は会いに行きます。


美姫



 そのメッセージを読んだヘイヘイが口に手を押さえて涙をこらえた。

そう、ヘイヘイも日本に来て、周囲の人たちとの壁を感じていた。

それは言葉の壁で、なかなか思ったことを伝えるのが困難な毎日を送っていた。

懸命に日本語を勉強して、さらにはバーを経営するほどにもなった。

それでも日々の業務が忙しく、結局頼れる友人は数少なかった。

それは、美姫と同じ境遇を物語っているのかもしれない。



美姫はファンであるヘイヘイに、アイドルとして会ってくれていたのだと思った。

しかし、連絡交換をしてやり取りをする中、たまに会って話をする中で、

友人と思える仲になっていたのだ。


その二人の間には、藍野という存在がいた。


「すべて藍野さんのおかげだと思っている。美姫と繋がれたのも、そして日本で楽しく過ごせたのも・・・」

美姫の独り言は、いよいよ玄関を出て空港に向かう寸前に思わず吐露する。



ヘイヘイは空港についてエントランスまで来た。

後ろからヘイヘイの見送りとして美姫がやってきた。


「本当にお別れなのね・・・」

美姫の言葉がヘイヘイの心に突き刺さる。


「うん、本当に最後のお別れよ。美姫さん、私はあなたに出会えて本当に良かった」



二人は勢いよく近づいて抱き合った。

そして二人は大粒の涙を地面にまで垂れ落とす。


「本当に寂しいわ」

「えぇ、私も」


しばらく抱き合う二人は、周りの目など一切気にせず、まるで時間が止まったようだ。


すると、遅れて藍野がやってきた。



「ヘイヘイ・・・」


忘れもしない男性の声。

すぐに声がする方をヘイヘイが見た。


そこには藍野が立っていた。


「亮介さん・・・・」



硬直するようにヘイヘイは藍野の姿を見て立ちすくむ。


それに気づいた美姫がゆっくりと手をヘイヘイから離した。


「亮介さん、来てくれたの?」

「まさか中国に帰るなんて思ってもいなかったよ・・・」


藍野がゆっくりとヘイヘイのところに歩み寄る。

するとヘイヘイが下を向きながら言葉を発した。


「亜子ちゃんがいるのにいいの?」


「え!?どうして亜子の名を!」


ヘイヘイの口から思いもよらぬ名前が飛び出した。

藍野は動揺して目が見開く。


ヘイヘイは亜子との関わりを、藍野に打ち明ける・・・。



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