序章
風が香る。
雲が流れ、花が舞う。
小鳥の囀り、栗鼠やうさぎが柔らかい草の隙間からぴょこんと顔を覗かせる。
涼やかなせせらぎの音。
若葉が光を受け、甘い花の香りが漂う。
白い羽がひとひら、風に乗って空を舞った。
子どもが遊んでいる。一人、二人、三人……七人。
豪快な笑顔で駆け回る子。
その後を必死に追いかける子は、さらにその後ろを、小さな足で懸命に追う一番幼い子の手を取る。
一番大きな子は敷物の上で本を読み。その傍らでくるくるとした巻毛の子が小鳥を肩に乗せて笑っている。
華奢な手が花を積み、拙い手で花を編む。不格好な花輪に泣きべそをかいた。
隣に座っていた子が泣いてる子の頭を優しく撫でて、花輪を自分の頭にのせた。
その子は器用に花を編み、綺麗な花輪を泣いてる子の頭にそっとのせる。
おそろい。
いつか。
約束。
待ってる。
巡る巡る。
季節が、時が。
豪快な笑顔の子はますます大きくなった。追いかけていた少し小さな子はいつの間にか傍らに。
一番小さい子はまだ大きな子を追いかけている。
本を読んでいた子は分厚い本を。
小鳥と遊んでいた巻き毛の子は、誰とでも仲良くなれる笑顔で話している。
泣きべそをかいた子は笑顔を絶やさない。隣にはいつも同じ子の優しい瞳。
覚えてる?
約束。
会えるかな?
会える。
絶対。
待っていて。
待っている。
だから、いつか。
必ず。
額に何か柔らかいものが触れた。
ふわりと風が吹く。
舞い上がった白い羽が七人の間を巡り、見えない糸を結ぶように、そっと七人を繋いだ。
舞い上がった羽が一枚。
真っ直ぐこちらへ落ちてくる。
受け止めようと手を伸ばした瞬間――
ふわりと意識が浮上する。
眩しさに目を開けた。
見上げた先はいつもと変わらない、自分の部屋。
あれは夢。
わかっている。あれはただの夢だ。
でも──
夢だけど、夢じゃない。
十日に一度、必ず会える。
十日経てばまた夢の中で会える。
そう……十日待てば……
でも……
「会いたい……」
早く。
本当に。




