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氷の姫君  作者: ran.Dee
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クライヴ王子が下半身脳でよかった。

彼が婚約契約書の追記条項を忘れているはずがない。

忘れているならとっくの昔に婚約破棄していただろう。

前夜にフローラが本懐を遂げさせてくれたおかげで気持ちがはやったに違いない。


順番が重要だった。

断罪からの婚約破棄であれば国家反逆罪に問えない。

断罪時点では上位者のままであるのだから。

断罪し、そのまま司直の手に渡し罪の確定を待って後の婚約破棄、という手筈であったなら無実を証明して終わるだけで何も変わらなかった。

潔白となってしまったら婚約破棄しないだろう。

そのまま仮面夫婦になりフローラは愛妾としたはずだ。


婚約破棄からの断罪。

ジャクリーンは、この上ない筋運びに自らの幸運を思い震えた。


---


王都邸に帰宅してからが大変だった。

公爵家一同でお互いの報告と対策会議。

事前にかなり細部まで詰めていたつもりであったが、現実となってみれば色々足りてない。

小さな報復のたぐいは家令に一任され、バイロンの王家への養子入りと同時の立太子への準備、合わせて嫡子をジャクリーンに変更とする各種手続きで一同徹夜の作業となる。


そう、氷の姫君は自らが公爵となり王妹となる。

婚姻も自分で決められるのである。

これこそが望んだ未来。


---


バイロンはつつがなく王太子となりジャクリーンは公爵家嫡子となった。

王子取り巻き一同は処刑され、各家門は王家と公爵家に忠誠を誓うことで赦された。

フローラは調整の末、教会が引き取っていった。

ただの薄い膜とはいえ簡単に再生出来るほどの治癒魔法の使い手である。

洗脳でもして使いまわすつもりだろう。

新体制に向けて教会に恩を売るのも悪くないという判断である。

王子は塔に幽閉されたが王妃が取引を申し出、金鉱の権利と引き換え、さらに去勢を条件に王妃ともども離宮に軟禁されることで決着した。

トラブルメーカーの王子の下半身もこれにて年貢の納め時となった。

王もバイロン王太子に引き継ぎがすみ次第、譲位して離宮に移る予定である。

なんだかんだで情はあったのだった。


---


オルコット公爵家に王妃の父レイモンド侯爵が訪問していた。

親友とまではいかないが上位貴族同士通ずるものがあり、お互いに憎からず思う相手だ。


「今日は飲むぞ!」

「ああ、好きなだけ飲んでってくれ。俺も付き合うよ。しかし…残念だったな。」

「ああ俺の生涯をかけた夢だったからな。

しかし、まだ諦めたわけじゃない。第2ラウンドといこうじゃないか!」

「懲りない男だな。もう、あそこから出せないぞ?」

「もうアレはいいんだ。自業自得。器じゃなかったんだよ。

そうではなく王太子妃!まだ決まってないのだろう?」

「む?もしや心当たりでも?」

「ちょうど良いのがな。たまたま俺の孫なのだが。」

「詳しく。」


出来レースである。

上位貴族という生き物とはそういうものだ。


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