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シャングリラはそこに 3

……まあ、そりゃ、そうよね。

一国の宰相、しかも代々の男子は政治家か将軍……って、貴族のなかでも上級なお家柄だもんね。

従妹のシーシアさまのお母様は皇族のお姫様だったし。

それでも怯まず立っていられたのは、タルゴーヴィ大公家の元嫁を経験できたから、かな。


急に訪れたはずなのに、私はものすごく丁重にお客さまとして迎え入れられた。

執事さん以下、使用人さんたちに揃って挨拶された。

大きなテーブルに並んだ夕食も……どう見ても来客を想定して準備されていた。

……やっぱり、最初からそのつもりでいらしたのかな。


「わぁ!今日は豪華ですね!フィズさま、いつもはこの半分ぐらいしかお料理、並びませんよ!うれしいな。フィズさまがいらっしゃったからですね。フィズさま!毎日、いらしてくださいませんか?」


無邪気を装ってはしゃぐジランくんを、宰相も私もなま暖かく見つめた。


お料理はどれも、ものすごくおいしかった!

そして、このカピトーリでもタルゴーヴィでもガヴィアディナでも見ないお料理もあるような気がした。


「このお屋敷のお料理は、どちらのお国のご出身のかたが作ってらっしゃるのですか?」


そう尋ねると、宰相の眉毛がぴくりと動いた。


「……お口に合いませんでしたか?」


慌てて否定した。


「まさか!違います!逆です。ものすごくおいしいです。でも、これまであまり食べたことのないお料理ですので……素材も、香辛料も、お味も、私の知らないモノのような気がいたしまして。……このデザートもすばらしいですね。作り方を教えていただきたいです。」


すると、宰相はホッとしたらしく笑顔を見せてくれた。


「喜んでいただけたなら幸いです。……おっしゃる通り、もとは、この国の者ではありません。オーゼラ公国領のレアダンスモレン湖のほとりの館で腕をふるっていた料理人をお招きしました。」

「オーゼラ……。そうでしたか。」


中央図書館の書物のように、素材も、人も、集めているのだろう。


「とても素敵な湖ですよ。海ぐらい大きくて。島も温泉もあるんです。フィズさまとご一緒に遊びに行きたいな。伯父上。ね?久しぶりに行きませんか?」


ジランくんの誘いを宰相は笑った。


「ジランは幼年学校に入るのに、いつ遊びに行くつもりですか。休暇まで無理でしょう?」

「……そうでした……。」


しょんぼりするジランくんがかわいくてかわいくて……。

笑いをこらえて見ている私に、宰相が言った。


「慌ただしい行程ではありますがレアダンスモレン湖への視察に同行されますか?」

「……よろしいのですか?」



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