↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/143

噂のエル・ドラド 12

シーシアさまは、私の両手をぎゅっと握ってくださった。


「……そうでしたか……大変でしたね。とても、とても、つらい想いを重ねて……こんなに、やつれて……かわいそうに。フィズ。……かわいそうに……。」


胸が……つまった……。


……本来なら、皇帝陛下に望まれてお側にお仕えすることは、大変に名誉なことだ。

それをこんな風に嫌がり逃げてしまうのは、とてもわがままな、不道徳なことで……どんなに叱られても仕方ないことなのに……。


「……ありがとうございます。でも、こうして、大好きなシーシアさまのお側にまたいられることになって、却って、得した気分です。」


そう申し上げたら、シーシアさまは微笑んでくださった。


それだけで、私もまた笑顔になれた。



***


神宮での療養生活は、私にとって心休まる幸せな日々だった。

かつてのようなお仕事はなく、ただただシーシアさまとともに、神様にお祈りを捧げ、毎日を丁寧に送った。

すぐに私は食欲を取り戻し、心身ともに回復し始めた。


季節がめぐり、冬の寒さが厳しくなった頃。

実家の父から思いも寄らない書状が届いた。

……ウーノさまが、お亡くなりになった、と。


幼少の頃から優しく温かく導いてくださった大好きなウーノさま。

トミルお姉ちゃんのところに逝かれたのね……。


書状を読むのを中断して、涙ながらに神にお祈りした。


しばらく祈りを捧げて、ようやく涙が止まったのを待って、再び書状の続きを読んだ。

そこにはウーノさまの生前の状況が記されていた。

ウーノさまの体調がすぐれなくなってから、ご長男のシェナミさまがディーツアさまと共にしょっちゅう行き来されてお世話をされていた……。


ん?

ディーツア?

女性……よね?


あら?

シェナミさまが勝手に結婚された奥様って、そんな名前じゃなかったわよ?

確か……シズーリさまとか申し上げたような……。


ん?

んんん?


さらに読み進めると、モーリおじさまが、シェナミさまにちゃんとしたお家から後妻をお迎えして、お家の再興をするようにおっしゃってるとか……。

ウーノさまに長年お仕えしていたカナヴィも、そうなると別のお家に移るだろう……。


はあ?

どういうこと?


えーと……、シェナミさまには勝手に結婚したシズーリさま以外に、ディーツアさまという内縁の妻がいらっしゃるのに、再婚されるの?

だから、かつて関係のあったカナヴィを追い出すの?

じゃあ、シズーリさまとディーツアさまは?

離婚されるのよね?


え?

追い出されるの?

追い出さないの?

意味が分からない。


わからないけれど……ものすごく嫌悪感を覚えた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。