? とある場所にて
2021/09/28 先のお話の内容とつじつまがあわなくなったので一部改稿しました。申し訳ありません。
「いや、酷い目に遭ったよ」
ペレスがふうっと息をつく。
「どうしたんだ。仮にも神格持ちが」
「あの女に捕まっていたんだよ。妙な閉空間に閉じ込められて逃げられなくてさ。そこでみっちりと絞られたんだ。この大陸の歴史とか、神格持ちの役割とかさ」
「良かったじゃないか。その程度で済んで」
メディアはにやりと嗤い、続ける。
「最悪、神殺しの可能性もあったんだろう」
「良くないよ。わざわざ下界の学校みたいな空間に押し込められたんだよ。授業と称してみっちり2か月間さ。これでも亜神なのに」
「まあそれでも勉強になっただろう」
メディアはにやにやしたまま続ける。
「それでイアソンはなんと言っていた。今回の件について」
「特に何も」
ペレスはそう言って口をとがらせる。
「今は例の、技術者候補の方に夢中だからさ。
そう言えばあの女が言っていたよ。貴方はこの世界をどうしたいのって。どういう意味だろ、それって」
「古き者はそれがわからなくなった。故にこの世界で生まれた者を新たに神格持ちとして受け入れる事にした。そう彼女に習わなかったかな、授業で」
「言っていたよ。まさにそんな口調でさ。でも世界は在るものだろ。どうかするものじゃなくて」
「その辺が古き者、私達第一世代にはない感覚なんだよ。ペレス」
メディアは真面目な顔になった。
「私やイアソンのような第一世代にとって、この大陸は最初から在ったものじゃない。造ったものなんだ。今でもその感覚が残っている。だからこの世界を造った者として正しく管理しようとしてしまうんだ。今でもね」
軽く紅茶に口をつけて、そしてメディアは続ける。
「最初は私もイアソンと同じように管理すべきだと思っていた。かつて私達がいた世界と同じ間違いをしないように。
その辺の経緯についてはきっと、彼女はペレスに教えたのだろう。その授業でみっちりさ」
ペレスは頷く。
「うん。でも言っていた。結果としてメディアは違う道を歩くこととなった」
「そうだ」
メディアは頷く。
「私は別の考えを持つようになった。この大陸にはかつての場所とは違う形の世界の在り様があるのではないかという考えをね。
故に私は今、此処にいる訳だ」
「イアソンはそれでもかつて在った世界の永遠を実現できるか試している。彼女はそう言っていたよ。まだその試みを続けているのだろうって。
でもメディアはわからない。何かをしないようにしているのか、それともしようとしていないのか。方向性が見えないとも」
「わからない。それを認めるのも答なのさ」
メディアは軽いため息をひとつついて続ける。
「ただわからないままでいるというのも落ち着かなくてな。だからつい答を誰かに聞こうとしてしまう訳だ。私達以外の、この世界に住まう者にさ。
今度彼女に会ったらそう伝えてくれ」
「冗談はやめて欲しいな。もう沢山だよ」
ペレスは本気で嫌そうな顔をする。
それを見てメディアは薄く笑った。




