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GOGOパワーレベリング~少年魔導士は犬耳・尻尾つき。でもモフられるのは苦手です~  作者: 於田縫紀
第26話 夏休みの終わり

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90 夏の終わりのパーティ

 明日で夏休みが終わるという朝。

 久しぶりに12人編成でカペック平原方面へ。

 つまりショーン達と一緒だ。


 休み中にそこそこ稼いだので本日の討伐は金稼ぎの為じゃない。

 皆で夏休みお疲れ様というパーティ代わりだ。


「夏休みのバイトはどうだった?」

「俺っち達は平和だったなあ。せいぜい魔小猪(イベルデミボア)位でさ。専ら牙ウサギと牙ネズミ相手よ」

「本業は全然大変じゃなかったよね。本業は、だけれど」

 

 クーパーとメラニーの台詞に微妙に含みがある。


「どういう事なのかな?」

「ケイトとショーンが大変だった」

 

 料理担当と治療回復担当か。

 何となく想像がつきそうな気もする。

 でも聞いてみたい。


「狩った牙ネズミの何匹かをうちのパーティ用にショーンが調理したんです。そうしたら雇い主の一家の皆さんまで集まってきてしまって」

「何の料理を作ったの?」

「実習前の訓練でよく作っていた半身揚げなんだな」

「あれ美味しいよね、確かに」


 揚げ物は一般的な料理ではない。

 俺達もショーンが初めて作ってくれた時、なんて旨いんだと思った記憶がある。


「結局3日目からショーンの仕事に全員分の夕食調理も入ったんだよな。1回あたり小銀貨2枚(2,000円)で」

「別に数作るのはそれほど大変じゃないから良かったんだな」


 うーむ、その辺はちょい疑念がある。


「それはショーンだから大変じゃないだけよね」

「そうですね。手伝えるのもエマだけです。ショーンの手際が良すぎてついていけるのがエマだけなので」


 俺達が12人でやっていた頃はモリさんが手伝っていたが、今はエマが手伝っているのか。

 でもそういった技能があるとは知らなかった。


「エマがいてくれると助かるんだな。モリさんと同じくらい要領よく手伝ってくれるんだな」

「煎じたり蒸したり乾かしたりするのは薬草の処理と同じなので」


 なるほど。

 薬草絡みだと思えば理解できる。


「あとは1週間経って、牛がお産をした時だよな。あれでケイトの治療魔法や回復魔法がバレちゃってさ」

「逆子状態だったんです。ですのでつい、手を出してしまいました」


「以来、近所の病人だの怪我人だの調子の悪い家畜まで全部面倒見る羽目になってさ」


「おかげでお土産が増えたよね。全員の自在袋に目一杯に」

「土産用の自在袋まで貰ってしまいました」

「エマの自在袋は薬草で目一杯だったしね」

「今年の冬もお願いしますなんて言われてしまいました」


 このパーティは他のパーティと違った技能を持っている。

 その辺がかなり活用できたようだ。


「それに比べればこっちは普通の村付き冒険者だったな」

「あ、でもドワーフの里へも行ったんだよ。かなり素材を手に入れてきたし、新しい技法も見てみたからね。また皆の装備を少し改良していいかな」


「あと向こうで旨い串焼きや丸焼きがあってさ。ショーンに食べて貰って、更に旨いのが出来ないかってさ」

「水飴以上に甘いお酒も買ってきたしね。あとこの辺に無さそうな素材とかも」

「楽しみなんだな」


 そんな話をしながら歩いて行き、カペック平原手前のいつもの休憩場所へ到着。


「折り畳みの休憩セットを作っておいたんだよ。改良点があったら言ってね」


 フィンがそう言って自在袋からごそごそ出し始める。

 椅子、テーブル、巨大な布と棒のセット……


「この棒と布は何に使うんだ?」

「あの天幕と同じだよ。組み合わせて日よけにするんだ。ちょっとサイズが大きいから手伝って」

 

 フィンの指示通り組み立て、風魔法で布をかぶせて紐で固定する。

 10半時間(6分)もかからずに巨大な屋根のついた空間が出来上がった。

 天幕と違い、横方向は素通しで屋根だけある形だ。

 屋根の広さは天幕の倍以上あるし、微妙に棒と布の配置が天幕とまた違う気がするけれど。


「夏は日差しが暑いからね。天幕の改良版を応用して作ってみたんだ」

「こうなると完全に家サイズだな」


 クーパーが半ば呆れている。  

 実のところ俺もだ。

 こんな巨大なもの、作っているなんて知らなかった。

 あとテーブルや椅子なんかも。

 これじゃ完全に野外パーティ気分だ。

 街壁の外とはとても思えない。 


 一方でテンションが上がっている面々もいる。

「よし、それじゃハンス、例のものを出してくれ」

「私のもお願い」

 言わずと知れたうちの前衛コンビだ。


「わかった。まずは出来上がっている方からでいいか」

「ああ。その味をショーンに確認して貰いたいからさ」

「あと私のおつまみセットもお願い」

 はいはい。

 串焼き、丸焼き、丸揚げをごっそり出す。

 更にハニーどんぐりや濃蜜酒も。


「まだ昼飯には早いしさ。これを食べてどんな風に料理するか考えてみてくれ。材料は持ってきている」

「あとこの濃蜜酒、美味しいのよ。冷たい水で割ると最高。こっちのドングリは甘いのと塩味のと。大した味じゃない筈なんだけれど止まらなくなるの」

 前衛コンビのおすすめ品だ。


「ならこっちもなんだな」

 ショーンとエマ、ケイトが自在袋からごそごそと取り出す。

 出てきたのは鍋、鍋敷き、チーズ、野菜、串、鶏肉らしき肉など。

 ショーンとエマがささっと切ったり熱を通したりしながら並べる。


「まずは串にここの野菜とか鶏肉を刺すんだな。そうしたらこの鍋に」


 チーズとワインとジャガイモ粉を混ぜて溶かした鍋にくぐらせる。

 熱を通してホクホクの子芋にとろっとしたチーズがからまった。


「これで食べるんだな」


「何よそれ! そんなの絶対美味しいじゃないの!」

 ミリアの意見に同感だ。


「でもチーズやワインって高価じゃないのかな?」

「お土産に山ほどもらったんだな」

「病気や怪我の治療とか、家畜の治療とか、薬草のお礼とかでね」

 なるほど、現物でもらった訳か。 


 宴会が始まった。

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