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GOGOパワーレベリング~少年魔導士は犬耳・尻尾つき。でもモフられるのは苦手です~  作者: 於田縫紀
第26話 夏休みの終わり

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87 残り一週間

 いくら小さくとも山魔リスは魔獣だ。

 それを数十匹単位で討伐する仕事を夏休みの半分以上やっているとそれなりの影響は出る。


「そう言えばここに来てからレベルが3上がったけれどさ。私以外はどうなんだろ」

 夕食時にモリさんがそんな事を言った。


「僕は1だけ上がったかな」

「私はちょうど今日あがったから2つ」

「ここに来る前がいくつかおぼえていないけれどさ。多分5くらいは上がった」


「ライバーは先頭で盾持って歩いているからね。モリさんは水魔法で退治しているし、その分上がりやすかったんでしょ」


 ミリアの言う通りだろうと思う。

 でも一応つけ足しておこう。


「フィンとアンジェが上がりにくいのは元々のレベルのせいもあるだろう。特にフィンは最初からレベルがある程度あったようだから」


 俺はレベルは変わっていない。

 多分ミリアもだ。

 流石にレベル100前後だとこの程度では上がらない。

 前に飛竜を倒した時のように大物を相手をするか、さもなくば強化習得(レベリング)をする必要があるようだ。

 また帰ったら週に一度はやらないとなと思う。


「あとここで働いて貯金もちょっとだけ増えたぜ。」

「私もそうかな。使う場所あまりないものね」

 前衛2人は街だと散財してしまうようだ。

 この前のドワーフの里でも街にいる時ほどは使わなかった模様。


「僕はドワーフの里で大分使っちゃったからね。また貯めないと。とりあえず次に欲しいのは自在袋帳かな。買った素材の入れ場がなくてミリアやハンスの自在袋に入れて貰っているしね」


 フィンの台詞に思わず一言言いたくなる。


「預かったままでいいから少しは貯金しておいたら。少しは残しておかないといざという時に困るでしょ」


 ミリアの意見は常識的だ。

 俺もまさにそう思ったし。

 しかし残念なことにそれに対するフィンの返答内容も予想出来るのだ。

 

「この前のドワーフの里、あれがいざという時だよ。あんなに貴重素材を安く買える時はめったにないから。それに最悪の場合はあの素材を売りに行けばいいし。エデタニアで売ったらいい金額になると思うしね」


 やっぱりそういう考えだったか。

 予想通りだ。

 なまじ間違っていないだけに始末に負えない。


 でもフィンなら一文無しになってもどうにでもなるだろう。

 金属性魔法を自在に使えるから、高給で装備屋に雇って貰える。

 その辺本人もわかっている。

 そういう意味での余裕はある訳だ。

 少しは貯金を残しておいた方がいいとは俺も思うけれど。


「それにしてもこの仕事もあと1週間か。何かもうこのまま一生続けてもいい感じだよな。飯も美味いしさ」


 ライバーは何処でもすぐ馴染んでしまう。

 此処でもドワーフの里でも。

 その辺は得な性格だと思う。

 俺には真似できない。


「でもライバーは1人では自活出来ないでしょ。料理出来ないし、索敵も出来ないし。確かに前衛で盾役としては間違いなく優秀だけれど」

「それなんだよなあ」

 本人にも自覚はある模様。


「でもどうも魔法だの魔力だのは苦手なんだよな」

「でも身体強化魔法はひと月で使えるようになったじゃない。それに最初はライバー、モリさんより魔力もあった筈よね」

 言われてみれば確かにアンジェの言う通りだった。

 すっかり脳筋イメージが定着して忘れていたけれど。


「なら学校に戻ったらライバーの特訓ね。アンジェもよ。2人とも魔力操作の訓練をあまりやっていないようだから。差し当たってフィンが作った武器を全部取り上げてみようかしら。そうすれば少しは魔法を訓練しなきゃならなくなるわね」

 ミリアがにやにやしている。


「勘弁してくれ。それじゃ魔獣相手に正拳突きとキックで戦わなきゃならなくなる」

「ライバーならそれでも魔小猪イベルデミボアあたりは倒しそうだよな」


 確かにモリさんの言う通りだ。

 パンチ1発で魔小猪イベルデミボアを仕留めるライバーなんて場面を思い浮かべてしまう。

 他の皆さんもどうやら同じ事を想像したようだ。

 ライバー本人以外が一斉にふき出した。


「でも確かにここはいい場所だと思うわ、私も。住みやすそうだし平和だし。のんびりするならこういう所ね」


 ミリアの台詞にふと思い出してしまう。

『普人は本当何を考えているかわかりゃしない』

『本当は隙を見てやっちゃった方がいいと思うけれど』


 そんなナイワさんの台詞を。

 そんな目で俺達を見ている獣人がこの村にもいる。

 それをミリアが知ったらどう思うだろうか。

 それでも獣人が好きだというのは変わらないのだろうか。


 皆がライバーみたいに何処でも溶け込めるという訳ではない。

 俺だってつい余計な事を色々考えてしまう。


 ナイワさんのように既にもつれてしまった普人への感情はどうすれば癒えるのか。

 俺にはわからない。

 そんな普人と獣人の関係を良くするなんて方法も思いつかない。

 そしてメディアさんは俺に普人の世界に来させて何をさせようとしているのかもわからない。

 そうさせたメディアさんの正体や立場も。


 俺にはわからない事だらけだ。

 ただ此処へ来た事でその事に気づけた。

 それだけでもきっと意味はあった。

 そう思う。


「どうしたの、ハンス。何かぼーっとしているけれど」

 おっと、ミリアに気づかれてしまったか。


「何でも無い。ただちょっと貯金を使いすぎた。しばらくは稼がないとと思っただけだ」


「確かにハンスは今回大分使ったよな。小金貨16枚(160万円)分って俺じゃ絶対無理だ」

「ライバーは普段使いすぎなのよ」

 その辺のいつもの会話を見ながら思う。

 わからない事は多い。

 でも獣人だ普人だ関係なく、俺はこいつらが好きなのは確かだ。

 その辺がひょっとしたら俺の原点になるのかもしれない。

 単なる勘だけれども。 

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