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GOGOパワーレベリング~少年魔導士は犬耳・尻尾つき。でもモフられるのは苦手です~  作者: 於田縫紀
第7話 休養日の討伐作業

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22 本日の収益

「今のあの大きいの、あれオークか」

 早速モリさんに尋ねられる。

「そうだ」


「そんな危険な魔物が出るなんて危ないんじゃないの?」

「ここから逃げた方がいいか?」

 3人は心配しているようだが実はそんな事はない。


「今のははぐれオークね。だからあまり心配しなくていいわ」

 ミリアは落ち着いている。

「はぐれオークって?」

 どうやらその辺も俺とミリア以外は知らないようだ。


「オークは普通ある程度の群れを作って生きているの。でも希に群れを追い出されたりして単独行動のオークが生じることがある。それがはぐれオークよ。はぐれオークは普通は他のオークの群れから離れた場所を好むの。だから単独のオークが出たからって危険という事はないわ。むしろはぐれオークがいるという事は他のオークの群れが近くにいないという事。だから安心していいわよ。

 これくらい常識だからね」


「いや、俺達は街の外に護衛無しで出るの、このパーティ組んでからだからさ」

 確かにそれもそうだなと思う。

 もう少ししたら学校で教えるかもしれないけれど。


「それより問題はオークを倒したもう一人よ。ハンスの知り合いらしいけれど。あんな魔法の気配、私は知らないわ」

 確かにそうかもしれない。


「アルストム先輩は闇属性の魔法って言っていたな。基本四属性を全て合成して出来る属性のひとつだ」

「アルストム先輩って、うちの学校の先輩なの? そんな特殊属性を使えるのに?」

 そう言えばミリアに話すのを忘れていた。


「その辺については後ほど話す。それより今は少しでも獲物を探そう」

 先輩との距離はかなり離れている。

 でも見通せる場所であの先輩の話をする勇気は俺には無い。


「そうね。まだ小型の魔獣しか皆倒していないし。オークとは言わないけれどせめてゴブリンとの集団戦くらいは経験しない……ちょうどいいわ」

 不意にミリアがにやりとする。


「隊列を元に戻すわよ。ハンスを中心に男子3人が前、女子2人が後ろ。あとはハンス、わかるわよね」


 ミリアの言いたいことはわかる。

 明らかに魔物の反応があるのだ。 

 大きさ的におそらくゴブリン。

 数は5匹とそこそこ多い。


「わかった。この方向へ可能な限りゆっくり進めばいいんだな」

「そうそう。あとアンジェはすぐに攻撃魔法を撃てるようにしておいた方がいいわよ。それも連射できるものの方がいいわ。ライバーもモリさんも、攻撃魔法を3発くらい撃ってから武器攻撃出来るようにしておいた方がいいわよ」


「おい待てミリア、それってどういう意味だ」


 ここで一言モリさんに忠告をしておこう。


「質問より先に準備しておいた方がいい」

「そ、それって……」

「行くぞ」


 俺はゆっくりと歩き出す。

 状況を悟ったのだろう。

 モリさん達も慌てて横へとやって来た。


 今度は2匹ずつくらい左右に分担させてやろうか。

 ライバーはともかくモリさんはまだ1匹の方がいいだろうか。

 いずれにせよもう少し接近して強さを見てからだな。

 正面側の森がガサガサしはじめた。


 ◇◇◇


 今日はあの後、ゴブリンと5回ほど遭遇した。

 いずれも5~6匹の集団だ。

 ライバーとモリさんも1匹ずつ相手に出来るよう、俺とミリアで間引いてから戦って貰った。

 更に魔小猪イベルデミボアもあの後遭遇2回。

 魔茶縞蛇も3回。

 牙ウサギや牙ネズミについては何匹倒したか数えていない。


 まだ陽が高めのうちに街に戻り、学校の水場でオーク以外の獲物を解体しながら雑談をする。

 魔石取り出しはミリアとアンジェ。

 俺とモリさんで解体のメイン、ライバーは手伝いだ。


「大量大量。この収入でこれからの洋服を揃えようかな」

「でも次の休養日が天気悪いとうまく行かないでしょ。だから出来るだけ節約した方がいいと思うわよ」

 お気楽身分のアンジェにミリアが釘をさす。


 ミリアは結構お金がある筈なのに堅実だ。

 昼食も学内最底辺に近いモリさん達と同じくらい節約しているし。

 まあそれは俺も同じだが。

 先に何が起こるかわからないので、出来れば1月分くらいは貯めておきたい。


「それにしてもゴブリンやっぱり怖え。向こうも武器持っているし。あんなの3体も相手に出来るようじゃなきゃD級になれないのかよ」

 モリさんがそんな事を言う。


「3体相手に出来るというのは同時に3体と戦えるという意味じゃないわよ。今日だって接近前にまず魔法で数を減らしていたでしょ。

 あと今日はパーティで前衛が3人いたから問題無いけれどね。前衛が少ない場合はとにかく同時に何匹も相手にしないよう工夫するのよ。

 狭くてゴブリンが並べない場所まで逃げるとか、全力で走って間を空けて魔法攻撃をするとかして。いくらモリさんだってゴブリンよりは足が速いでしょ」


「瞬間的な速さはともかく何(km)も走って逃げる自信は無いぜ」

「なら毎日鍛える! 最低でも毎日試験で走ったコースを3周!」

 

「でもそうやって対処していいならゴブリン3匹、もう俺でも出来そうだな」

「ライバーはそれ以前よ! まず敵が来るのに気づく事! ゴブリンならせめて10腕(20m)の距離に近づく前に気づかないと駄目だからね」


 ミリアの台詞は厳しく聞こえるかもしれないが正しい。

 それは皆もわかっている。

 更にミリアや俺なら本来1人で狩りに出た方が効率がいいし収入が多くなるだろう事もわかっている。

 だから皆、文句は言わない。

 というかミリアに感謝している。


 それにしても数が多い。

 特に牙ネズミと牙ウサギ。

 こいつらは自在袋からいくらでも出てくる感じだ。


「それにしてもモリさん解体うまいよな。慣れているのか」

 手つきもいいし仕上げもいいし早い。

 俺以上にうまいかもしれない。


「ああ。外に出れない分、こういった仕事は結構受けていたからな。ギルドでもこの仕事は歩合制だから数が多けりゃ下手な依頼を受けるよりいい額になる。

 でもハンスは解体もうまいよな、戦闘や魔法だけじゃなくてさ」

「田舎で暮らしていたから。魔獣もそうではない獣も解体は似たようなものだ」

 実際に住んでいたのは魔の森だから魔獣だらけなのだがそれは言わない。


「これで最後よ」

 魔石を取った牙ネズミの死骸がアンジェから渡される。

 もう何匹もさばいたから手が勝手に動く。

 ナイフを通した後内臓を抜き、皮を剥いで骨を外せば完了だ。

 ライバーがせっせと水で血や汚れを落とす。

 学校共用の籠に肉と毛皮を入れ、鮮度保持のため自在袋に入れ直して事務室へ。


 休養日だけあって事務室前は結構混んでいる。

 こういった場合は番号札を取って順番を待つ事になる。

 何か以前見たような上級生もいたが、俺を見ると端の方へと消えていった。

 頭がすっきりしていて涼しそうでいい。

 俺はああいうヘアスタイルにする気は無いけれど。


 待っている人が多い割には進みは悪くない。

「受付担当が今日は多いよな」

「ギルドの方から応援が来ているんだ。ギルドの方は休日になると冒険者が少ないからさ。それにかつての俺みたいな日雇いで歩合制のバイトも多い」

 モリさんが教えてくれる。


 そんな訳でそう待たないうちに、

「23番、どうぞ」

と俺達の番になった。

 全員で行って、自在袋から籠を取り出す。

 魔石はミリアの自在袋からだ。

 更に記載済みのパーティメンバー票も一緒に提出する。


「この魔石と籠8つでいいでしょうか」

 革の籠4つと肉の籠4つ。

 それだけでも充分多いのだけれどももっととんでもないものもある。


「あともう一つ、別計算の大物があります」

「ではこの籠を一度退けますね」

 向こうにもかなり大容量の自在袋があるようだ。

 大きな籠がささっと消えて台の上が空いた。


「これは2年生のアルストム先輩と共同で狩ったものです。計算はアルストム先輩が半分、残りをうちのパーティで配分して下さい」

 そう言ってから俺はオークを取り出す。

 でかい。

 平原では単に大きいとしか思わなかったが屋内で出すと異常に大きく感じる。

 俺のベッドと同じくらいの大きさがあるこの台でもはみ出る状態だ。


「2Aのアルストム君ですね。了解しました」

 受付の方は理解してくれたようだ。


「おい、これパーティで割っていいのかよ。完全にハンス単独だろ」

 横でモリさんが小声でささやく。

「問題無い。パーティで行った時の分はパーティで割るべきだろう」


「でもいいの、本当に」

「もったいないだろ、ハンス」

 アンジェとライバーもだ。


「いいのよ。ハンスがそう言っているんだから」

 ミリアはこんな感じだ。

 彼女もその気になれば単独でもこれくらい狩れるからな。

「ああ。問題無い」

 俺ももう一度そう言っておく。


「それでは査定しますのでお待ち下さい」

 俺達が出した籠入りの自在袋とオークの死体が巨大な台車で運ばれていく。

 

「裏で何人ぐらいが作業をしているんだろ」


「今日は30人くらいじゃないか。狩り日和だし。ただ裏で働いている半分以上は下級冒険者やバイトだ。査定だけは職員がするけれど他の作業は冒険者やバイトの仕事だからな。俺もここに入学するまでの1年間はよくこのバイトをしていた。午後3時から夜7時までと短時間かつ歩合制だけれどいい金額になるんだ。特にこんな日はな」

 つまりモリさんも裏で働いていた訳か。


「それで解体があんなに上手なんだ」

「そゆこと」

 解体に関しては俺以上に場数を踏んでいる訳だな。

 モリさんは。


 6半時間(10分)程度で再び番号を呼ばれる。

「査定が完了しました。討伐報奨金とあわせて合計が小金貨3枚(30万円)正銀貨2枚(2万円)小銀貨3枚(3千円)正銅貨3枚(300円)となります。内訳はこの通りです。

 なお均等割りで1人あたりの配分は正銀貨6枚(6万円)小銀貨4枚(4千円)正銅貨6枚(600円)。余りが正銅貨3枚(300円)です。

こちらの封筒が5人分の均等割り、こちらの封筒が余りの正銅貨3枚(300円)です。確認したらそれぞれサインをお願いします」


 それぞれに封筒と計算書、そしてサインを書く領収書が渡される。

 ささっとサインをして提出し、封筒を自在袋へ。

 これで本日のお仕事完了だ。


「思った以上に儲かった。これで働かなくとも2月は遊べるぜ」

「雨の時期は稼げないから無駄遣いしないのよ。それに毎日こつこつ稼いで貯金しておかないと学校を出た時住む場所にも困るでしょ」


「それにしてもやっぱりあのオークが高いよな。本当にいいのかハンス?」

「問題無い。それで余りはミリア預けでいいか」

「それがいいと思うわ。私なんかがが預かったりしたらつい昼食で使っちゃいそうだしね」

「俺もだな」


「モリさんならもったいなくて使わないんじゃない?」

「ありうる」


「でも節約のために昼食抜きは駄目よ。そうでなくとも身体が小さいんだからね。ちゃんと食べないと。

 それじゃこの余りは私が預かって、明日以降に出た余りを足して分けるわよ」

「お願いしまーす」

 そんな感じで本日の討伐は無事終了した。


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