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GOGOパワーレベリング~少年魔導士は犬耳・尻尾つき。でもモフられるのは苦手です~  作者: 於田縫紀
第7話 休養日の討伐作業

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21 予想外の危険

 今度は速いが動きが見えやすい。

 草地の上をジャンプしているからだ。

 獲物は牙ウサギが2匹。

 タイミングさえ合わせれば楽勝の筈だが……


 ゴン! ガン!

 ぶつかった音2発。

「やったぞ!」

「2匹目!」

 よしよし、2人ともうまくやった。


「牙ウサギも1頭合計正銅貨8枚(800円)ね」

「収納しておこう」

 自在袋に仕舞う。 


「次は俺とミリア、アンジェだな。モリさんとライバーは下がっていてくれ」

 今度は大物登場だ。

 ズド、ドドドドド……

 枯れた草木の色した塊が近づいてくる。

 大きさは全長が半腕(1m)位だろうか。

 魔小猪イベルデミボアという奴だ。


「毛や肉が傷むから火属性魔法は禁止、水属性魔法か土属性魔法で攻めるわよ。水属性魔法、氷塊!」

 ミリアが指示して魔法を一発飛ばす。

「水属性魔法、ウォーターガン!」

 アンジェの水銃ウォーターガンは今ひとつ威力が低そうだ。

 この前の上級生と比べ威力はかなり劣る。


 でもこの辺はまだ練習だ。

 ミリアもあえて威力を加減しているようだ。

 つまり俺に前衛として見本を見せろという事だろう。


「モリさん、槍を貸してくれ。この場合は槍の方が向いている」

 モリさんから槍を借りると俺は構える。

 モリさん用なので俺にはやや短いが問題はない。


「ミリア、風障壁頼む。前方2腕(4m)

「了解よ」

 ミリアの腕なら信用できる。


 突進してきた魔小猪イベルデミボアは俺の前方で見えない壁にぶつかった。

 今だ! 俺はダッシュして槍を突き出す。

 魔小猪イベルデミボアの目と目の間に槍が突き刺さった。

 魔小猪イベルデミボアは静止した後、よろっと倒れる。


「勢いがある大物はこんな感じよ。これなら頭以外に傷がないから毛も肉も文句ない状態で売れるでしょ。勿論解体の仕上げにもよるけれど」


「でもこれだけの大物を風属性の障壁で止めるのってかなり難しいよね」


「その場合は水属性魔法の水圧ウォータープレスを使うのよ。そうすれば相手を完全に止められなくても勢いは遅くなる。充分遅くなった時点で魔法を解除して前衛にとどめをさして貰うの。そうすれば結果として同じでしょ。

 ただどの前衛もハンスみたいに一発で仕留められる訳じゃないわ。その場合は仕方ないから勢いが落ちた後、魔獣の目や鼻を狙って水銃ウォーターガンを使って妨害して、その隙に前衛に滅多打ちしてもらう。これなら数打って当たるしね。革の買取額が安くなっちゃうけれど」


 やはりミリア、親切だよな。

 俺にはここまで親切な説明は正直出来ない。

 どうしても獣人の体力や狩りの腕を基本に考えてしまうから。


「とりあえずこれ1頭でかなり稼げたわ。続いてじゃんじゃん行くわよ!」

「おう!」

「ええ!」

「行くぞ!」

 皆さん本当に調子がいい。

 まあ仕方ないから付き合うことにする。


 それにしても本当にこの平原は魔獣が多い。

 流石に魔小猪イベルデミボアのような大物はなかなか出あわない。

 だが牙ネズミや牙ウサギ、それにスライムはそれこそ幾らでも出てくる。

 討伐しても12半時間(5分)経たないうちに次のが出てくるような状態だ。


「ハンスに指示される前に気づくようになりなさいよ。ここは音がする分やりやすい筈だからね」 

 ミリアがそう言うので俺もある程度近づくまでは指示しないようにしている。


 何度も狩りをしているうちにモリさんはある程度わかるようになってきたようだ。

 俺が言う前に気づいて槍を構えるようになった。

 一方でライバーの方はまだまだ。

 誰でも見てわかりそうな牙ウサギさえ未だ自分で見つけられない。

 言われて慌てて探してやっと気づくような状態だ。

 

「ライバーは特訓が必要なようね。しばらく1人だけで先頭を歩いて貰うわ」

「ちょい待て、1人で先頭は怖いぞまだ」

「本当に危険になる寸前にハンスが気づくと思うわよ。多分ね」

「多分かよ!」


 ミリアの指示で隊列変更。

 ライバー1人を先頭に、俺とモリさんが少し後ろの左右、更にミリアとアンジェが後ろという形で歩いて行く。


 今のところ魔小猪イベルデミボア以外には危険な魔獣には出会っていない。

 牙ネズミや牙ウサギ、スライム程度だ。

 一撃くらっても大した怪我はしない。

 ミスって三撃くらい食らっても俺やミリアの治療魔法で何とかなる。


 他のパーティもDランクが加わっているなら問題無いだろう。

 治療魔法を使えなくとも安物ポーション4~5個あれば大丈夫だ。

 初心者の稼ぎ場兼訓練場として悪くない。

 大物でも魔小猪イベルデミボア程度なら魔法で足止め出来れば何とかなるしな。

 そう思った時だった。


 討伐中は常時発動させている俺の走査魔法にそれは引っかかった。

 反応が明らかに大きい。

 勿論人間の反応ではない。

 魔物、それも大物だ。


 場所は西側、道路を挟んで向こう側の平原の先の森。

 ちょうど5人くらいのパーティがいる辺りだ。

 見た限りまだ魔物が近づいているのに気づいていない。


 あれがせめて全員C級以上とか、1人でもB級がいれば何とかなるかもしれない。

 ミリアと2人でも何とかなるだろう。

 だがここは初心者の狩り場だ。

 それだけのレベルを期待出来ない。

 そもそも今気づいていない時点でもう危険だ。


「ミリア、3人を頼む」

「どうしたの」  

「ヤバいのが向こうに近づいている。真西4半離(500m)程度の場所だ」

 ミリアの表情が変わる。

 気づいたようだ。


「わかったわ。こっちは私1人で何とかなるから」

「行ってくる」

 俺は本気で走り出す。

 この大きさだとオークかトロルか。


 森から出てきたのが見えた。

 オーク、1匹だ。

 向こうのパーティはやっと気づいたようだ。

 逃げられないと悟って攻撃魔法を連射している。

 だが魔法の威力が致命的に足りない。

 急がねば、そう思った時だった。


 もう1人こっちへ向かっている反応がある。

 俺並みに速いがこの反応は人間だ。

 魔力も結構高い。

 どうやら俺以外にオークに気づいた腕の立つ奴がいるようだ。

 これなら楽かなと思いつつ俺も急ぐ。

 

 ぎりぎりでオークとパーティの前衛がぶつかる前に射程距離に入った。

「氷属性魔法、氷衝撃弾!」

 射程と命中率に重点を置いた固めでやや細い氷弾を連射する。

 奴がこっちを向いた。

 走りながらだが当たったようだ。


 オークが止まりこっちを向く。

 当たった衝撃弾では倒れる程の威力は無かったようだ。

 だが問題ない。

 今のは注意を引くために射程と命中率を重視した氷弾。

 そしてここまで近づけば……


「氷属性魔法、氷衝撃弾!」

 今度は威力重視で大口径の氷弾だ。

 流石に今のは効いたらしい。

 オークの足が止まる。

 苦痛を叫ぶ吠え声がする。

 よし次でとどめをさそう。

 そう思った時だった。


「闇属性魔法、安寧」

 どこかで聞いたような声がした。

 オークが声とともにふらっと倒れる。


「とどめを頼むよ。出来れば肉や革を傷つけないよう首から上を狙ってくれると助かるな。僕の魔法にはちょうどいいのが無いからさ」


 おい待てアルストム先輩。

 闇魔法なんて使える奴がそんな簡単な攻撃魔法を使えないなんて事は無いだろう。

 というのは当然の感想だがあえて俺は口には出さない。

 奴には逆らわない方がいい。


「氷魔法、氷弾!」

 貫通力に特化した超低温高速弾を連射する。

 これで脳にあたる部位が完全に破壊できた筈だ。

 ふっとオークの全身が弛緩したのが見えた。


「いやあ、ヤバいのが出たなと思って急いで来たけれど、君が間に合うなら急ぐ必要もなかったね」

「アストラム先輩も狩りでいらしていたのですか」

 何せアルストム先輩(やつ)は俺指定危険人物だ。

 こんな場所なのに普段着で荷物も小さめのショルダーバッグだけ。

 でもこの先輩ならこの装備で充分なのだろう。

 魔法でどうにでもなるから。


「友人と小遣い稼ぎにね。あと闇魔法の範囲指定即死呪文をおぼえたからその辺の魔物で試そうと思ってね。流石にオークには効かないだろうけれど」


 やっぱり先輩、危険人物に違いない。

 範囲指定即死呪文って、ほとんど禁術みたいな魔法だ。

 スライム相手ならミリアも同じような事を雷精を使ってやるけれど、精霊を介せず自分の魔力だけでそれをやるなんてヤバすぎる。


「すまんアストラム。あとそこの君。ありがとう」

 元々襲われた5人パーティがこちらにやってきて頭を下げる。

 ただ何かをかなり恐れているようだ。

 この人達にはオークよりアストラム先輩の方に恐怖を感じるかもしれない。

 俺もそれは正しいと思う。


「ロムス君達に怪我が無くて何よりだよ。ところでこのオーク、僕とハンス君とで貰っていいかな。君達も攻撃を当てていたけれど」

 名前を知っているという事は上級生なのだろう。

 確かに年齢的には俺達と同世代くらいに見える。


「どうぞどうぞ。俺達じゃオークは無理だし」

 全員がどうぞどうぞという感じだ。

 やはりアストラム先輩を恐れているように感じる。


「それじゃありがたくいただいておくよ。あとハンス君、僕の自在袋ではオークまるごとは入らないからお願いしていいかな。オークは使える部位が多いからこのまま持ち帰りたいしね。事務室にアストラムと半分分けと言って出してくれれば助かる」


「わかりました」

 即死呪文を食らったりハゲにされてはたまらないから言われた通りにする。

 なお先程のパーティは俺達に頭を下げた後、ダッシュで逃げていった。

 オークが出たからという理由ではなさそうに見えるのはきっと気のせいではない。


「それじゃ僕も元のパーティにもどるよ。じゃあね」

 先輩はふらっという感じ倒れるような感じで身体を傾け、そのまますーっと斜めに上昇し平原の向こうの方へと飛んでいった。

 何というか怪しい飛び方だけれど速いことは速い。


 俺も戻るか。

 俺達のパーティの方を確認するが特に問題は無さそうだ。

 ならそう急ぐ事も無いだろう。

 ただ歩いたり普通に走ったりする程度の速度だと何匹か魔獣に出会いそうだ。


 なら先輩にならって飛行で戻るか。

 俺は水属性の身体強化魔法を使って斜め前方に飛び上がり、更に風属性魔法を同調させる。

 あっという間にミリア達の近くに到着。


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