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勉強しない自称浪人生、転生してオレtueeeを目指す  作者: 認めろよ!ニートであることを
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逃走

今までで1番いい感じに書けたと思う。

肺が、全身が苦しい。呼吸が整わない。というか何で走れてんのってレベルでキツイ。


しかし止められない。走ることをだ。


止まることは即ち全身の骨という骨を砕かれて

から内臓をいくつか死なない程度にぶっ潰されることを意味するからだ。


おまえこの間、肉食べて幸せそうに寝てただろうって?


オレは間違いなくあのとき選択を誤った。

肉なんか食ってちゃいけなかった。眠ったりしちゃいけなかったんだ。


すべきだったことはただ一つ。

逃げる算段を整えることだけだったんだ。


そう、人の皮を被った鬼畜生から。



ーー時は半日ほど遡るーー


オレは清々しい気分で目が覚めた。

どういうわけか猿どもにやられたキズも完治している。


ふと、辺りを見回すとそこには昨夜オレを介抱してくれたオッサン、いやオッサンと間違える程の鍛え抜かれた体躯、そして歴戦を感じさせる

装備をまとったオバハンがいた。


「目が覚めたか?一郎丸。」


オバハンは尋ねた。


オバハンの名前はアレ=ヨビコール。

オレの命の恩人だ。名前は好きに呼べば良いと

言ってくれたので親しみを込めてオレは

"ヨビコおばさん"と呼ぶことにした。


というか思い返せばオレは若干動揺していたのだと思う。寝起きに昨日までオッサンだと思っていた人がオバハンだったのだから。


だからその拍子に心の中だけで呼ぼうと決めていた名前をつい口走ってしまったのだ。


「ヨビコおばさん、ありがとう。」


しかも満面の笑みというオプション付きだ。


過ちだった。

気づいたときにはオレは吹っ飛んでいた。


口の中に血の味がいっぱいに広がる。

腹のなかに入っている大事な何かがたくさん

潰れてたことを何となく理解してオレの意識は

そのまま暗転しかけた。


ガシッ、


何者かがオレの頭を掴んだ。するとどうだろう。

気を失いかけていてせっかく麻痺していた痛覚が

戻ってきたではないか。


〜〜 声にならない、できない程の痛みが全身を駆け巡った。 〜〜



いっそのこと楽になりたい。


そう思えるが気を失わないギリギリのラインだ。


ーーふと、痛みが消えた。ーー


そして体は地面に叩きつけられる。


体は依然として動かないし、口からは赤い液体が

ゴボゴボ溢れているのにだ。


そこでオレは死の淵にいるはずなのに辺りに気を配る余裕ができた。


オレは自分の頭を掴んでいた者の正体を

確かめることにした。


そこには澄んだ、まるで悟りの境地をを感じ

させる表情をしたオバハンがいた。



オバハンが口を開く。


「 貴方の痛覚を感じる脳の部分のみをたった今

破壊しました。


選びなさい。

このまま滅びるか、禊の道をとるか。」


ーー直感した。ーー


このオバハン、自分がオバハンと言われたことに

激怒している。怒りが一周回って悟ったような澄み渡った表情をするほどに。


血を流しすぎたのかもう手が上がらない。

なんとか謝罪、取り敢えずスンマセンの意思を

伝えるために崩れおちるようにオレは額を地に

つけた。



その瞬間、オレのカラダが息を吹き返し始めたのがわかった。

何者なんだ?このオバハン。

その疑問に答えるようにオバハンは言った。


「 回復魔法は初めてかい?なんだって極めれば

その辺の奴らの言う人外とか化け物みたいな領域になんか簡単に辿り着けるもんさ。」


そう言うとオバハンはまたオレの頭を掴んで体を持ち上げると絶妙に死なない程度の掌底を腹に打ち込んだ。


「オッサンはまだいい、あたしゃ女だからね。

的外れなことには怒らないもんさ。

だから昨日のお前は命拾いした。」


そして本日2度目の腹が潰れる感覚を味わって

いるオレを尻目に続けた。


「ただ、今日は言っちまったなぁ。

絶対にあたしに言っちゃあいけないセリフを。」


O★BA★HA★N


オレの脳裏にそんな言葉こだました気がした。


オバハンがまたオレの腹に手を当てる。

今度のは掌底じゃない。回復されているのだ。


瀕死の状態から回復されて喜ばない人など皆無

だとその時までは思っていた。


しかし、1日に3回も腹を潰されそうになると

話は変わってくる。


目先の痛みや恐怖に耐えられなくなるのだ。


そんなオレの様子を見かねたのかオバハンは口を開く。

「おら、逃げろ。」


そう言うと一閃、

オレの立っていた地面ごとオバハンの蹴りで吹き飛ばされる。


どうやらこれがオレをキズ付けずに追い回す

オバハンなりの工夫らしかった。

なんて事はない。拷問の趣向が少しだけ変わっただけだった。


ーー そして今に至る。ーー


オレは地面にがんめんをへばり付けて息も絶え絶え、そんな息をすることすらままならないほどの状態だった。


オバハンの足音が近づいてくる。

というか、技と足音を立ててオレの絶望感を

煽ろうとしてやがる。


もう楽にしてくれ、

そう思ったときだった。


「おいおい、ババア。久方ぶりに見たら少しも変わってねえな。」


そんな声と共に何者かが現れた。






読んでいただきありがとうございます!

感想、評価いただけると嬉しいです。

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