クラウド
「……ああ、そういうことか……ついに恐れてたことが起きたわ……」
みづほさんが顔を真っ青にしている。
「########やばい########」
「縺ゥ縺�@縺ヲ譁�ュ怜喧縺代′襍キ縺阪k縺ョ?繝舌き縺ェ縺ョ?」
「おい、なにいってんだよ!」
突如、みづほさんが奇声ともとれないような声で叫びだした。
そのあと、みづほさんは笑みを浮かべた。
「ねえ、今の聞いてた?この世界のすべてを語るメッセージなんだけど、あなたにとってはただの叫び声ね」
意味不明。僕にはただの奇声にしか聞こえなかった。
その先の記憶はなくなっていた。いや、強制的に忘れさせたという方が正しい。あの後の記憶は、およそ人知で測れるものではなかったのだ。ああ、もう思い出したくもない。
――みづほさんが、溶けた。まるで、ロウソクみたいに。炎天下に置いたチョコレートみたいに。
ああ、俺の天下は、もう終わりだ。そんな著しく独りよがりな考えも、頭をよぎった。
でも、いまはこの夢という未知の世界に、どうやって挑むのか。最大の味方がいないこの世の中にどうやって挑むのか……
――イドム?
僕は何と戦っているんだ。この世の中については全てわかった気でいた。
でも、何で俺の夢がゲンジツみたいにありきたりなんだ?夢なんだから、ハーレムエンドでもいいじゃないか。悪くないぞ?自分で考えたことを、そのまま具現化してりゃいいんだ。
自分って、何だ?何なんだ?僕とぼくと俺とおれ。4人の自分。みんな自分だよな?
おーい、聞こえてるか、俺。
おまえたちは、誰だ。
3人の人格がやってくる。
たぶん僕が、本当の自分なんだろう。
じゃあ、他は?もう3人の自分は、ナニモノナンダ?
……こいつらは、自分じゃない?
「おい、お前ら、何者なんだよっ!」
僕は叫んだ。でも聞こえてないようだ。
……薄れていく。自分という存在が、周りの空間が。
空気がない。ここはユメナンジャナイノカ?
思い出した。僕は電車に轢かれて、シンダンダッタ。
じゃあ、ここは死後の世界ってことか。おそらく地獄だね。
まさか死後の世界がホントにあるとは思わなかった。
じゃあね。
各国政府によって進められていた「ブレイン・クラウド計画」。
その第一線であった脳移植計画は、失敗に終わった。




