ハッキング
……てなわけで、僕はこの世界のいわゆる神になったというわけ。今から一ノ谷さんに告白しに行く所。
絶対成功するよ。なんでかって?それはこの世界が僕のものだからさ。
「あ、あの……言いにくいんだけど、えーっと……」
でも、いざ言うとなると緊張してしまう。
「なあに?どうしたの?」
「僕と、付き合ってくれないかな?」
ついに言ってしまった。雨に濡れながら僕は顔を隠す。
「…………いいよ」
僕は沸きあがる喜びに傘を投げてしまいそうになったが、ぐっとこらえた。
「えっ……ホントに、僕でいいの?」
「ええ。あなたのこと、私もちょっと気になってました」
うれしかったが、その時僕にいやな言葉がよぎった。
『この世界は僕の思うまま』
もしかして彼女は、僕の意志の中で踊ってるだけなんじゃないか?いや、よく考えたらそもそも現実の人じゃない?嫌だ、そんなの嫌だ。
僕はそのあとのことはほとんど覚えていなかった。
帰ってすぐに泥のように眠り、夏休みを1日寝て過ごした。夢の世界は、いつもより少しいごこちがよかった。
起きてすぐ、僕は昨日約束したデートの約束を思い出した。僕はパジャマから着替え、出かけて行った。
「ごめんごめん、待たせちゃった?」
「……ううん。大丈夫」
「じゃあ、行こうか」
もうこのことは考えない。いままでよりもっといい夏を過ごせればいいだけの話だ。
城ノ内さんの考えてくれたデートプランは最高だった。彼女を楽しませることができて、こっちもうれしい。
しかし、そんな幸せはすぐに終わるものだった。
そこに城ノ内さんが現れたのだ。といわれると、RPGの戦闘を思い出す人もいるかもしれないが、まさしくそんな感じだった。
「……こんにちは、城ノ内さん。どうしたの?」
たぶん僕の顔はひきつっていると思う。
「どうしたもこうしたもないわよっ!なんで、なんでこんなやつといっしょにいるのよっ!」
「な、なに?君が応援してくれたんじゃないか。今さら……」
「もう、最悪……」
「どういうこと?」
「あんたのことが好きなんだよっ!」
「えっ、急に?」
「でも、どうやって誘ったらいいか分かんないから仕方なく応援してやってただけ!私に一言も言わないで告白するなんて、最っ低!」
……待って、ここって僕の夢の中だよね?何でこうなるの?
「もう、もう……」
城ノ内さんは泣き崩れそうだった。
「絶対あんたたちを別れさせてやるわ。覚悟してなさい」
半泣きになった城ノ内さんは、そこを後にしていった。




