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ネムケ
僕は敗北を知った。
カッコつけてる表現かもしれないが、みんなこれを経験しているはずである。
あの、寝過した時のあの感覚だった。
時間通りに起きたのに、あの虚無感を感じてしまった。
手紙、どうしよう。
とりあえず時間がないので、学校へ行く。
「おはよ……」
「おい、ハヤト、元気ないぞ?どうしたぁ?」
その言い方やめてくれ、腹が立つ。
「いや、ちょっと寝付けなくてねえ……」
授業はあいも変わらず低レベルだ。
僕は、いまにも寝てしまいそうだ。叱られる危険より、今寝ない危険の方が大きいと感じたのだ。
いや、ダメだ。ここで寝るのはさすがにいけない。寝てしまうと、確実に成績が落ちる。
それに、あの恐ろしい夢の中に引きずり込まれるかもしれないから。