チウニビウ
7月2日。良い天気だ。
昨日はこの世界を少しだけ理解して、良い日だった。
今日はもっといい日になるといいな。
教室でかばんを片づけていると、見知らぬ女の子が話しかけてきた。
え?いたの?
どう考えてもさっきまでいなかった。
「ええっと、君、誰かな?話したこと、ないよね」
「私の名前は家守みづほです。あなた、実はすごい人なんじゃない?」
淡々と話して来て、ちょっと怖い。
「あなたから、何かとてつもない気を感じるわ。幾多の難関、修羅場をくぐってきたような……」
「だから何なんだよっ!こええよ!」
「大丈夫。安心して。私はあなたのすべてを知っている。あなた、この世界に違和感を感じてるでしょ?」
「な、なんで?」
「あなたの最近の生活見てたら、少々勘のいい人ならすぐ気付く。で、あなた、この世界に来たのって、5日ほど前でしょ」
もう全部当てられてる。
「私はあなたの敵じゃないわ。あ、そうだ。一つだけ教えてあげる。あなたがこの世界を理解した日が、この世界の終りだから」
そういうと彼女は立ち去って行った。終り?ありえない。この世界が崩れるなんて、あるわけないさ。
「あっ、おーい!ハヤトー!良いとこにいたじゃん」
城ノ内だ。
「なっ、なんだよっ!離せよっ!」
「あんた、一ノ谷のこと好きでしょ」
「ど、どうしてそれを?」
「わっかるに決まってんじゃない。あんな大げさにデレデレしてちゃ、誰でもわかるわよ」
「い、いやあ……実をいうと、そうなんですけどね……」
「ほーら、言わんこっちゃない。……なんだったら、手伝ってあげてもいいよ。あんたの恋愛ごっこ」