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終章

再び目が覚めた時僕が見えたのは、白い天井だった。

気が付いてまもなく、白衣を着ている人間が、スーツ姿の二人の男を連れてきた。

……

その二人、いや、警察からは幾つか質問をされ、聴取されてた。

そして信じがたいことを、彼らから聞かされた。

車は山の中で土砂崩れに遭い、僕だけが現場の近くで発見されたって。

車体はほぼ埋められていて、掘り出しても他の三人は見つからなかった。今は事故と見て調査を進めているらしい。

正直何を訊かされたのか、まったく覚えていない。ただしどの問題についても、僕の答えは首を軽く横に振るだけだった。

事故の状況を警察から聞いた後、頭が恍惚していて、生きてる実感すらしなかった。

あの夜のことが頭の中で沸き返る。あれが現実だったのか?それとも瀕死時の妄想?

自分ですら判断できないことを、警察に教える気もなかった。

あの二人が帰った後も、僕はずっと最後に見た光景を思い出そうとする。なぜかわからないが、話を聞いたら、あの三人はもう帰ってこないと確信した。問題なのは、何で僕だけが生き延びたか。

僕はずーっと、病室の天井を見て考え込んだ。医者が回診しに来た時も、僕は考えていた。時間など気にする余裕もなく、寝込んだまま夕日を見送って、いつの間にか夜も深くなった。

一体何時なんじになったんだろう、突如頭の中から、また金属音が響き出す。

カシャン、カシャン。カシャン、カシャン。

なぜかその音はもううるさいと思わない。

その音がどんどん大きくなるに連れて、目の前で黒と白がフラッシュバック。


照明がつき、視界が一瞬で白くなった。

僕の目の前に立っていたのは、沢山のマネキンでもないし、気持ち悪い生首でもなかった。

あれは闇。人の形をしたただの闇。

電灯から発した光はその輪郭に触れただけで飲み込まれ、まるでそこの空間を切り抜いたみたいに、人型ひとがたの闇が出来ている。

その瞬間に僕は意識した。今対面しているのは人形や幽霊、ましては死体などではなく、もっと始原的な恐怖であること。

古い記憶に封じ込められていた一番純粋なホラー。

逃げられない、勝てない、どう足掻いても無駄。

それを思った時、僕が凍り付く。

それは身体が固まっただけではなく、時間が止まったように見えた。

背筋で蔓延る寒さは瞬間で広がり、周りのすべてが冷たく感じた。

空気が氷点下なる、という恐怖を体験した人は少なかろう。

そして、闇が突進してくる。

目の前の空間が本当に凍ったみたいにそれにぶつかって飛散。反応もできないうちに僕に襲い掛かり、その細長い腕で僕の胸元をこじ開けた。

痛くない。まったく痛みを感じ取れない。でも目に映るその光景に対して、脳が叫び出す。「痛いはずだ。」

そう認識した痛みは、まるで自分の物ではなく、テレビやパソコンの画面で見たグロ映像のような、

仮想の痛み。

おかしなことだ。自分の身に起きているのに、その感覚は網膜を通して非現実的に出来ている。

その闇が自分を押し入れるように、僕の心臓に潜り込もうとする。

痛みを感じないのに、僕は叫ぼうとした。

でも、非現実的な痛みと同じ、僕の声もまた無音。

叫び出したが、音がない。

闇がまだ僕に入り切れず、その状態が続いている間に、僕は気を失った。仮想の痛みに耐えられなくて、そのまま気絶した。

それがその夜に起きた全て。

思い出したら、もう恐怖を感じれなくなった。

耳鳴りも消えて、闇の中の全てがはっきり見える。

違う病床に寝ている人の鼾、廊下を歩く人の足音、遠くからは車の轟音。

次は誰からか、どうやって招き入れようか。


夜はまだ、続く。

元々はピクシブに投稿してたものだが、タイトルを変えてこっちに移す。

シナリオ感を重視して書いたものなので、承と転の部分がやや硬いと自分も感じる。

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