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2-62 勇者病の季節

「ヤッホー、リクル」

「よお、リナ」


 何のことはない。

 リナはナタリーの整備などもあるので、ずっとバニッシュのところにいたのだ。


 例の黒い箱の件などもあったのだし。

 マイアがリナの世話をしてくれていて、大神殿が部屋を用意してくれてあった。


 というか、実はナタリーがバニッシュの優秀な助手を務めていたのだ。

 こうなると、もはや主であるリナの方がナタリーのオマケみたいなもんだな。


 ナタリーは体内に意外と情報をインプットされていて、おまけに古代技術関係の整備などに関する知識を大量に持っていた。


 物凄い力もあるし、今のバニッシュにしてみれば最高の助手といえるだろうな。

 バニッシュはもう彼女に夢中だ。


 ナタリーも主はそっちのけで、彼の助手を務めている。

 データとパワーに任せて、解析分解組み立てと何でもござれの万能助手らしい。


 ナタリーを貸し出すだけで、主のリナには結構な額のお小遣いが入る事になっている。

 おまけにナタリーが解析した事により発生した成果などの配分がもらえるようだ。


 バニッシュがナタリーのメンテも無料でやってくれるし、いい事づくめなのだ。


「あの二人は?」


「もう熱々よ~。

 朝から晩までべったりなの。

 お蔭様であたしのお宝にも報酬が出たわ。


 例の黒い箱、ナタリーが頼んでくれたから優先でやってもらえて、なんと王家から口止め料込で白金貨一枚もらえた!」


 俺はさすがにドン引いた。

 このリナだから、そんな能天気な事を言っていられるのだが、普通は思いっきりビビるもんだ。


「何だよ、そのヤバさは。

 金額を聞いただけでドン引きするわ~。

 その件に関しては、俺はお前から何も聞いていないからな~。


 アレには俺も関わっていたから超ヤベエわ。

 桑原桑原」


「あはは。

 リクルは、いつまでこっちにいるの?」


「よくわかんねえ。

 たぶん、邪神様か何かの御機嫌次第なんじゃないのかなあ……あるいはコントン・マスターである盟主とかいうお方の。

 後は邪神派なんかも出てくるかも」


「……ごめん、リクル。

 あたしも何も聞かなかった事にするから」


 もう、十六歳の年頃の男女が久しぶりに会ってする会話じゃないな。

 俺達は厄介な事に少し関わり合い過ぎたようだ。


「もう宝箱デートも無理そうだしなあ。

 今度姐御に無断であれをやったら、どうなることやら。


 また予想外のトラブル案件を沸かせたなんていったら、それこそ魔力嵐の吹きすさぶ御説教の嵐だぜ。

 それに宝箱は、聖教国の財政に回しておかないと世界がピンチかもしれん」


「うわあ。

 なんか、あれからまた凄い事になってる⁉」


「なってるみたいだけど、もう慣れちゃったよ。

 勇者リクルは退屈でござる」


「あれ、勇者の鍛練は?」


「ちょっと訳ありで中止になった。

 だいぶ、いい感じにはなってきてるんだけど、なんていうのかな。


 一種の成長病みたいなものさ。

 心身共に、俺自身が自分の急成長についていけてないんだ。


 すぐ力み過ぎちゃうっていうかさ。

 今は厳しい鍛練とかしちゃうと逆効果らしい」


「それ、とっても凄い話だと思う。

 そんな人は世界中を見渡したって滅多にいないわよー」


「まあな。

 もうこれは、ほとんど勇者病といってもいい物なのかもしれないな」


「へえ、勇者病ねえ。

 それで今日はどうするの」


「今日はどこかに出かけない?

 姐御の許可は貰って来たよ。

 今の俺は、あんまりやる事がないんだ。


 それにあの人も、聖地の責任者として今は動けない状態なのさ。

 特にこの街の異変が収まった訳でもないしな。

 かといって、あれこれ見極めもつかないからラビワンには帰るに帰れないし」


「ダンジョンは?」


「うーん。

 勝手にダンジョンへ行って、また何かあっても怒られるしな。


 何しろ魔物の出が異様に悪いし、宝箱もなあ。

 一応、俺達のお小遣い分も確保できたしね」


 かなりのお宝を沸かせて、聖教国の財政に大幅に寄与したので、今俺は報酬として白金貨を五枚もらっている。

 そのうち二枚は功労者である俺だけのボーナスだ。


 そっちはボランティアレベルだったのだが、あとラスターの素材は冒険者協会の管轄なのでまた別勘定になっていて、換金できた分だけで白金貨十枚分だ。


 山のようにある魔核などはまだ換金できていない。

 そいつは俺の小遣いでいいと姐御にも言われている。


 先輩の討伐した分のラスター素材も俺にくれた。

 あれだけ蜘蛛を沸かせたのでご褒美という事らしい。


 余っている魔核で何か装備が作れないかとバニッシュには相談している。

 彼も今は忙しいので、また今度という話なのだが興味はあるようだ。

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