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2-51 大取りを務めさせていただきます

 その他には『傾奇者のローブ』などという、派手派手なカラーリングと、まっとうな神経を持ち合わせていたら絶対に着ないだろうデザインをした、まさに先輩好みの衣装が出てきた。


 なんで、古代の人達はこんなネタ装備を作ったのだろう。

 先輩と同じ感性の変態が古代の世界にもいたのだろうか。


 そして、それは当然のように先輩に与えられた。

 他に欲しがる人もいないし、容易な事に買い手もつきそうにない代物だった。


 そして彼も珍しく文句を一つも言わずに受け取って、収納ポーチへと仕舞い込んでいた。


 先輩はアレが凄く気に入ったみたいだ。

 お蔭で道中の俺への文句が少し減った。


 それに、また正体不明の古代の遺物なんかも出てきちゃったしな。


 例の金属や、それ以外の材質のような物もあり、何に使う物なのか不明な発掘品が五個も出土した。


 またバニッシュの眉間の皺と、収納の肥やしが増えそうだ。


 残りの八個のうち、一つはまたオリハルコン製で、これまた曰くありげな物体だった。


 箱というのも躊躇われるような奇妙な代物で、明らかに中に何かが入っていそうなオブジェだ。


 オリハルコン製である事から見て、簡単に開けられては困るという事だろうな。

 何かの魔道具なのかもしれない。


 ここの宝箱、こんな物をどこから発掘してくるのだろうな。


 こういう物は迂闊に開けると、国から追い回されそうだ。

 そいつに関しては、姐御が眉を顰めながら、そっと自分の収納袋に仕舞い込んで封印していた。


 そして、一つからは貴重な太古の歴史的価値のありそうなボロイ装飾剣が出たのだったが、迂闊に俺が触ろうとして、姐御に物凄い剣幕で怒られてしまった。


「この大うつけが!

 見ればわかるだろう。

 凄まじく脆くなっておるのだから、迂闊に触れて万が一にも破損したらどうする。


 ただでさえ、外界の空気に触れて脆くなっているのだぞ。

 計り知れぬ価値のある歴史的な発見が失われてしまうではないか」


 姐御が腫れ物でも触るかのように、そーっと慎重に収納に仕舞っていた。

 今までもこの手の史物を発見した事があったのだろうか。


 くそう、宝箱め~。

 変な物を出さないでくれよ。

 俺が無駄に怒られたじゃないか。


 残りの六個は可もなく不可もなく、割合と普通の? 太古の武具や魔導具なのだが、まあ高く売れそうな物だった。


 だがエラヴィスがボヤいた。


「あたしの武器が出ないわねえ」


 ああ、エラヴィスが凄く寂しそうだ。

 あの、いつも無手の先輩や脳筋のマロウスさえも、自分向きの良い武器が手に入っていたからな。


「仕方がないから、オリハルコンでバニッシュに打ってもらおうよ。

 あれだけあれば、バニッシュと二人分は大楽勝じゃない?」


「そうね。

 でも宝箱からクリティカルにもらえるのも嬉しいものよ」


 あ、それはわかるな。

 俺なんか盟主からの物凄い勇者装備の頂き物なのだ。


 そして、今出てきた宝箱をエラヴィスに勧めてみた。


「今度はエラヴィスが開けてみなよ」

「うーん、どうなのかしらね」


 まあ、もう出て来ちゃった物は誰が開けても多分中身は一緒だからね。


 俺がエラヴィスのために湧かせた宝箱だというのなら凄い物が入っているかもしれないけど、あれは今禁止されているので。


 しかし、何故か中からは物凄い物が出てきたのだ。

 それはまさに『大取り』と呼ぶのに相応しい逸品であったのだ。


 刀身の中央部分が、しかも刃のある方が緩やかに妊婦のお腹のように出っ張った変わった形をした、あまり実用的とは思えないような剣で、見た事がないような文様が刻まれていた。


 もしかしたら、グリモワールのように魔法が直接呪文の形で刀身に刻まれているのだろうか。


 こんな武器は見た事がない。

 というか、本来はありえない形の物なのだが。


 鞘だって、いかにも収まりが悪そうなそいつを、鞘内でガタつかないように保持しておくための魔道具的な代物なのらしい。


 何故そのような形にしているものなのだろうか。

 きっと何か意味があるのに違いない。


 だって、そうでもなければ、わざわざ鞘まで魔道具にしてまで、その形にはしないだろうから。


 そいつは見るからに重心が悪そうで使いにくそうなのだが。

 剣はそういう物が非常に重要なのだ。


 特に反り刃の剣は、そのあたりの使い手との相性が微妙に難しい。


 持ち手も何か魔道具のような感じで持ちにくそうな印象だ。

 重量もかなりありそうだし。


 もっともエラヴィスならば苦も無く使いこなすと思うが、問題はその性能なのだ。


「何かしら、これ」


「ああ、多分古代に作られた特殊素材から打った魔法剣か何かじゃない?

 バニッシュが見たら大興奮だと思うよ。


 へえ、この手の代物で、まともに武器の形で出て来たのって初めてじゃないのかな。

 おめでとう~」


 彼女は姐御の方を見たが、笑顔が返ってきて安心したようだった。


「一応、バニッシュには見せてやってくれ」


「もちろんよ。

 彼も忙しいでしょうけれど、出来れば彼に弄ってもらいたいわ~」


 よかったなー。

 パーティで一人だけいい武器が貰えないなんて、エラヴィスが拗ねるに決まっているもの!


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