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2-31 お宝?

 それからは、俺達が宝箱から引っ張り出した中身についての検証だった。


 そして、それはまたこのバルバディア聖教国トップクラスの関係者を大きく呆れさせるような物ばかりだった。


「このオートマタ。

 メイドと言いつつ完全に使用目的が戦闘一本ですな。


 ラスターの群れと交戦して、傷だらけになりながらも立派に稼働しているし、自己修復機能まで備えている。


 大事な主人も見事に守り切ったようだし、たいしたものです。

 戦闘メイドの鏡のようなものですなあ」


 このナタリー、そこまで凄い物だったのか。

 あれで、あの濃ささえなければなあ。


 さすがの俺も、あれの主だけは勘弁していただきたい。

 まさに、あのリナという天然主と組むべくして出会った運命の主従だな。


「この材質は何なのでしょうね。

 古代文明の遺物でしょうからなあ。


 本来なら国家によって没収物なのですが、もう認識した主人以外の言う事など聞きはしないでしょう。

 この戦闘機械を無力化するのもまず不可能ですしね」


 ナタリーを無力化するためだけでも、あの蜘蛛の軍団並みの猛攻で攻めないと駄目だろうし、それを越えれば主のために憤死するのがオチだな。


 それにあれは、油断すると主を守るために魔力爆発で自爆くらい敢行しそうなほどの漢なのだ。


「それより、こっちの箱の方が大問題ですな。

 これは太古の記録によると、大昔の王家の機密が収められた、今では失われた技術で作られている、『我々が決して見てはいけない』物が入った特殊収納箱のようなのです。

 念のために訊いておきますが、誰もこれの中身は見ていませんね?」



 ここの冒険者協会長の神官様が、眼鏡を直しつつジロリっと俺達を眺め回した。


 しゃ、洒落にならねえ。

 なんで、このダンジョンはそんな物ばかり産出しやがるのか。


 俺のせい?

 俺のスキルのせいなの⁉


「見てない、見てない。

 だってそんな物は開けられないよ。


 どんないい物かと思って期待していたのに、がっかりだ~。

 そんな物がなんでダンジョンの宝箱から出てくるのよう」


 だが、そのリナの泣きは、あっさり受け流された。


「そんな事は我々だって知りませんよ!

 まあ、もしかしたら今の王家にだって開けられないものかもしれませんが」


「それ、隠した意味があるの⁉」


「まあ、見つけたお礼くらいは王家から出ると思いますよ」


「それが貰える時って、いつよ……」


 あの強気なリナが、碌でもない発掘品のために思いっきりへこんでいた。


「そいつの開封は、わしがチャレンジする楽しみにしておこう。

 だが、問題はリクルが見つけた、このでかぶつの方じゃのう。


 これは一体何なのじゃ。

 使用目的はおろか材質すら見当もつかぬわ。

 やたらと弄って危ない起動の仕方をしたり爆発したりしても困るしのう」


 ガーン。

 それってなんていうか、ただのお宝のお蔵入り宣告じゃないの。


 俺もリナに付き合って奈落の底にまで、一緒にへこむ事にした。


「えー、導師にもわからないの~」


「とにかく、一旦ここで調べてもらうしかあるまいよ。

 それまでそいつに関する報酬は保留じゃな。

 まあ調べてもわからんじゃろうから、返却されて倉庫の肥やしとなるのがオチじゃろう」


「うう、俺の手柄って、そういう物ばっかり……」


 そして、姐御が宣言した。


「やかましい。

 そんな事を言うのなら、もっとマシなお宝を取ってこい。

 もう帰るぞ」


 だが別れ際に、ケロっとした感じでリナが、年相応の女子らしく手を振って可愛く言ってくれる。


「ばいばい、リクル。

 また一緒に遊ぼうねー。

 今日は、すっごく楽しかったよ~」


「おおっ!

 俺もだぜ。

 じゃあリナ、またな~」


 俺は同じ年の、新しく出来た可愛いガールフレンドに笑顔で手を振って別れた。


 そして皆はそれを見て溜息を吐いた。


「こやつら、全然懲りておらんのう」


「まあ若い者など、こんなものよ。

 その辺りは我らエルフでも、そう変わらんくらいだ」


 う。

 もしや、姐御も少女時代にはやらかしていて、聖女バルバディア様(叔母)あたりに怒られまくっていたとか?


 姐御の希代の魔法の能力からみて、それはさぞかしスケールの大きな悪戯だったのだろうなあ。


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