〜イサムブランコ編〜
公園
イサム学校帰り、キノコと公園に来ていた。
小学生やちびっ子、それを見守るママ友など、たくさんだ。賑やかな公園である。
イサムとキノコは並んでブランコに乗り、漕ぐこともせずに椅子代わりにしてコンビニで買ったパンを頬張っていた。
これは俗に言う〝買い食い〟らしく、そして学校では禁止されているルールだと言う。
イサムはルールを破りながら食べるカレーパンの美味しさを覚えた。あぁ、これが大人か。
「最近、イサムくんが来てからさ」
キノコが語りだす。
「僕は陰キャラだったのに、イサムくんが人気者で、僕もなんだかメインキャラクターになったみたいで、嬉しいんだ」
「そうか」
「はじめて会った時、異世界に行きたいって話したけど、今は学生生活が楽しいよ」
「そうか」
キノコはパンを食べ終え、ブランコを漕ぎ始めた。
鉄と鉄が擦れ、一定のリズムを刻む。ぎぃ、ぎぃ。
次第にキノコは大きく動き出す。
楽しそうにブランコを漕ぐキノコの真似をして、イサムもブランコを漕ごうとする。
漕ぎ方が分からない。
創作生まれファンタジー育ちのイサムにとって、生きる上でブランコの漕ぎ方など知る由も無かったのだ。
イサムは少し恥ずかしくなり、ゴミを捨てるふりをして、ゴミ箱まで移動し、キノコの見えない所でスマホを取り出した。
ブランコ 漕ぎ方 [検索]
すぐに情報が手に入る。なるほど。
これでブランコが漕げる。
キノコはイサムが来て、学生生活が楽しくなったと言うが、イサムもまた、キノコのお陰で楽しい事が増えた。
一緒にブランコを漕いで、伝えてやろう。たまにはこういったみずくささも大切だ。
ゴミ箱を後にし、ブランコに向かう。
片方のブランコはちびっこが占領していた。




