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異世界冒犬譚  作者: さくら
少女との約束
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1話

新章を書いて見ました。宜しくお願いします


 収穫の月を迎えたダストアは多くの人で賑わいを見せている。


農業が盛んなダストアでは収穫の月にもなると親族は元より町に住む人や各地の冒険者・稼ぎ人が押し寄せ収穫を手伝う。大農家でもあるマニーズの家はその筆頭だ。広大な畑を持っているのでこの時期になると出稼ぎの人を数十人単位で雇い収穫に備える。今、マニーズの家では明日からの収穫に向けて慌ただしくなっていた


「ミルゲさん。シーツは足りますか?」


「はい、マニーズお嬢様。どうにか足りそうなのですが……食器が足りないかもしれません」


「食器? 去年の分は?」


「それが……ひびが入っている物も多かったので処分してしまったのです」


「そうだったのね。いいわ。私が買いに行ってくるわ」


「いえ! 私共でなんとかしますので……」


「いいのよ。この時期は手が空いてれば誰でも使えっていうし」


マニーズと使用人のミルゲが準備に追われている。出稼ぎに来る人には住む場所と食事を提供する。そうする事で賃金を安くしてもらうという暗黙のルールがある。マニーズの家では毎年50人ほどの人を雇うので女性達はその準備で大忙しだ


俺はというと、いつも通りラティの面倒を見ている


ここ数日は女性達は元より誰もが忙しくしているので、ラティのような子供は誰も構っていられない


「カール! 畑にいこ!」


早速、ラティからのお呼び出しが入りました


ラティの最近のブームはリアルおままごとだ。どういう事かというと畑に入り込んで農作物を盗んで調理の真似事をするのだ。自分の家の農作物盗んでいいのかよと突っ込みをいれたかったのだが、所詮は小さな女の子のおままごとなので盗む量はたかが知れている。知ってか知らずか誰からも止められることはない


俺からすれば是が非でも止めて頂きたいのだが……


正直泥団子なら食べるフリでごまかせるのだが、実際の農作物を使っているのでガチで食わせられるのだ。想像してほしい。おままごとで作られた原型がなんだか不明な料理っぽいなにかを食わせられる恐怖を


この前なんかニンジンをすり潰して水に溶かしたニンジンスープに生のニンジンを入れて煮込んだふりをしたニンジン水を満面の笑みで出され


「カールは食いしん坊さんだから一杯よそってあげたよ!」


と言いながら期待の眼差しで見つめられるのだ。食べないと泣くので仕方なく食べるのだがこれがまずい。俺が泣きたい


行きたくないのだが、かといってラティを一人にするわけにもいかず、重い腰を上げラティの後をついていった



 「お魚さん!」


おいぃぃぃぃ! 落ちるからやめとけって! この前もそれやって川の中にダイブしたろうが!


俺は身を乗り出して川を覗き込むラティのスカートの裾を引っ張る


今年で十歳になるラティの行動力は凄まじく、ついていくのも精一杯だ


興味を削がれたラティは目的地であるジャガイモ畑へと駆けだした。それを追う様に走るとふと気になる光景が目に入った。畑の端に数人の男達がなにやら話し合っているのだ


この辺りではあまり見かけない人達だが、出稼ぎの人間だろうか?


男達に気を取られ、目線をラティに戻すとかなり先に行ってしまっていたので、慌てて後を追いかけた



*********************************************



 男達は少女と犬が走っていくのを遠目から眺めていた


「あの犬か? たしかにこの辺じゃ見かけないな」


「だろ? きっと高く売れるぜ?」


「旦那のところに持っていけば金貨三枚は余裕だな」


「ガキはどうする?」


「人身は罪が重いからな。ガキは無視だ」


「だよな。いつやる?」


「旦那はいつまで滞在するかわからん。早い方がいい」


「丁度、ガキしかいねえしな」


男達は頷くと少女と犬が走っていった方へとゆっくり歩きだした



*********************************************



 ラティは蝶々に夢中になっている。変なものを食べさせられるのも嫌だが、こうして森の奥へとどんどん入っていくラティをとめるのもしんどい


虫に夢中になっているラティは周りが見えていないのか、普段入るなと言われている森の方まで来てしまっている


あとで怒られても知らないぞっと思って見ていたのだが、そろそろ止めたほうが良さそうだ


俺はラティの方へと駆け寄ろうとするが、それと同時に人の匂いに気づいた


入口を見るとどうやら先ほどの男達がこちらに来ているようだった


ラティが目当てか?


嫌な予感がした俺はラティの方へと目線をやるが、ラティは相変わらず虫に夢中のようだ。しゃがみこんで地面を触っている


威嚇すればどうにかできないだろうかと考えた俺は脇に回り込み男達に不意打ちをすることを考える。身を低くしゆっくりと近づいてくる男達の顔はにやにやと人を馬鹿にしたような顔をしていた


むかつく笑みを浮かべやがって、ラティに指一本触れさせん


男達が俺の前を横切ると同時に飛び出す。奴らはこっちに気づいていない、完全に隙ありだ!


飛び出すと同時に男達がこちらを振り返り、二人の男が俺を待ち構えた


は? うそだろ?


なにかまずいと感じた俺は急ブレーキをかける


次の瞬間網のようなものが俺の頭上に降り注ぎ、避ける間もなく網にかかる俺


うお!? まじか!? なんだこれ!?


「よし! おい! はやくしろ! ガキにみつかると面倒だ!」


「袋だせ!」


網にからまったままの俺はそのまま袋に押し込められる


「よし! さっさとずらかるぞ!」


え? え? もしかして……俺が狙いだったの!?


もがけばもがくほど袋の中で絡まっていく網と格闘しながら俺は誘拐されてしまった



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― 新着の感想 ―
[一言] 気になって調べたら、デルフィン結局精神やられたまま退場したのか…… ネリーとデルフィン、特にデルフィンは呪われた剣と亡霊の復讐の道具にされ、人殺しをさせられておまけに精神を病まされて特に再登…
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