34.剣は鞘から抜けきった
『さんふらわ』デッキ
『ありがとうございます。気を付けて下さい』
「はい」
これで中継は終わった。玉城は堪えていた頭の痛みに思わず包帯の上から手を添えた。
「大丈夫か?D」
太田がマイクを外しながら玉城に聞いた。
「ん、ああ。問題ない俺より荒木の方が問題だろ」
荒木は先程の爆発で腕を負傷し船医の所に担ぎ込まれていた。
「確かにかなり出血してはいたが腕だからな、Dの場合は頭だからさっさとしかるべき所に見てもらいたいのが本音なんだ」
「……まあ、ここから戻れれば速攻で行くよ」
それだけ玉城は言い、自分らの傍にいた名護原に声を掛けた。
「勇ちゃん」
「どうしたの?」
名護原はカメラのあちこちを確認していた。
「勇ちゃんの被害は?」
その答えを名護原は口に出す前に望遠レンズの一つを玉城に見せた。それは破片が突き刺さり素人が見ても使い物にならないと一目で解った。
「うわぁ…………」
「あの時、咄嗟にカメラを船体に当たる破片に向けたら跳ね返った奴がコッチに飛んできて気がついたらコレよ、もう少しコイツが長くて大きかったら自分が危なかった」
破片を指差しながら名護原は言った。
「こっちも怪我人出ちまったし、機関が修理できたらもう少し距離を取って続けるべきなんだろうな」
名護原が交換した望遠レンズの具合を確かめる為にあちこちにカメラを向けているのを見ながら言った。
「ま、それは」
ここまで言って名護原が黙り込んだ。カメラを一箇所に向けて何かを見ている様だった。
「…………」
その姿を黙って見て、玉城は名護原の言葉を待ったが名護原はカメラを構えたまま動かなかった。
「勇ちゃん?」
「ああ、ごめん。中国の船が何か自分の味方の船に近付いているみたいなんだけどなんとなく違和感がね」
暗闇を指差しながら名護原が言った。
「へぇ」
見える訳ではないが玉城は指差した方向を見た時、何かが爆発した様な光が見えその後、別の場所から幾つもの光と音がしていた。玉城達はそれが攻撃だと理解した時、最初の光が見えた所からもう一度光が見えたと思ったら、そこから砲撃の音も聞こえたがすぐにそれを掻き消す爆発音が響き渡った。




