33.第3者の目撃談
テレビ日本特設スタジオ
「本番いきます!!」
若いディレクターが声を張り上げていた。スタイリストが出演者の身だしなみをチェックしてセットから離れていった。
「尖閣諸島の事件の続報をお伝え致します」
町田アナのこの言葉で番組は再開した。
「先程は中継途中で映像が途切れました事をお詫び申し上げます。中継を再開したいと思いますがどうでしょうか?玉城さん、聞こえますでしょうか?」
「はい、玉城です。」
画面には包帯を頭に巻いている玉城の顔が映った。
「申し訳ありませんが先程の話を最初からやり直したいのですがよろしいでしょうか?」
「はい、先程海上自衛隊は中国艦隊に対して攻撃を止め自分らの指示に従うようにという趣旨の呼びかけを行いました。付け加えてこれ以上の攻撃が有る場合には自衛権を行使して日本人の生命を守るとも言っていました」
「その後の中国の反応をお願いします」
「その呼び掛けの後、見えますでしょうか?あの『481』と書かれている海自の艦艇に少なくても2隻が接近を試みましたが他の海自の艦艇に阻止されています。その際に海自の方から『騒音に注意』と警告が我々の乗っているこの船に対してありました。その後に周囲を奇妙な音が響き渡っていました」
「……はい、ありがとうございます。ここからはその後のお話を伺いたいのですがよろしいですか?」
「はい。先程の中継の最中にあの辺にいました。中国海軍の『526』と書かれた艦艇が自分の近くにいた海自の艦艇に攻撃を加えました」
画面は『温州』がいた場所を指差す玉城から中継が途切れる直前の映像に切り替わった。主砲と機関砲によっていくつもの水柱が上がり、ミサイルが収められていたコンテナが吹き飛ばされた時、反射的にそれをカメラが追った時、ミサイルが爆発し映像は砂嵐になった。
「攻撃を受けた海自の艦艇はどうなったのでしょうか?」
町田は自分で見た映像に目を奪われつつ仕事を続けた。
「爆発の際に衝撃でかなり揺れた後は沈黙しています」
「玉城さんの頭に包帯が巻かれていますがその時のモノでしょうか?」
「…………」
「玉城さん?」
「はい、すみません。はい、爆発の後この船にはいくつか破片が飛んできました。私は船体に当たった破片で怪我をしました。スタッフも一人腕を負傷し現在治療を受けています。こちらからは以上になります」
「ありがとうございます。気を付けてください」
「はい」
映像はスタジオに戻り町田に原稿が渡された。
「現場より玉城さんでした。この件に関して今入ってきた情報をお伝えします。先程官邸におきまして林官房長官の会見が終わりました。この中で死亡者は6名に訂正されました。現在、所持品などから身元の判明した方のお名前をお伝えします。高倉亮太さん24歳、中村千佳さん37歳、蓮見伸介さん29歳、水野翔子さん44歳、以上の4名の方が身元が判明されている方です。残りの方については判明次第お伝えしたいと思います」




