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鏡 2
「まあ。ぶっちゃけると、そうなんだけどよ」
海東が芳ばしく焼き色をつけた食パンにバターを塗る。
気持ちのいいパリパリ音を立ててかじった。
「名前は栗栖 陽音。いちお、きのう下校するとこ見てたんだけどな」
ふたたび海東が黙りこむ。
「何ですか? 時間がムダになるので、言うべきことならさっさと言ってもらえませんか?」
そう京也は急かした。
何か気を使っているのだろうか。言わなければならないことなら、間を置いてもおなじだろうに。
「落ちついて聞け」
「落ちついてるように見えませんか?」
そう返してパンにミルクジャムを塗る。
洗濯機が全自動の動作を終えたむね知らせるデジタル音を立てる。洗面所のほうから三度ほどピー、ピー、と聞こえて消えた。
「えっとな」
海東がパンを飲み下し宙を見上げる。
「腕、折れてなかった」
太い眉をよせてそうと続ける。
京也は落ちつきはらってミルクジャムをパンにていねいに塗った。
「よかったじゃないですか」
「ありえねえ。ボキッていったはずなんだ。柔道と逮捕術の練習でなんべんか経験してるから分かる」
海東が言う。
野蛮すぎて同意したくない経験談だ。
京也は顔をしかめた。




