夢の中で
〜金曜日〜
寝ている時、ドンッと背中のほうから衝撃を受けた。本当に衝撃を受けたわけじゃない。たまにみる「落ちる夢」だとすぐにわかった。
ただドキッとしたのは、衝撃を受けた次の瞬間に、目の前の一面が赤になったのだ。てんとう虫のような、唐辛子のような、鬼灯のような。
そんな赤。ハリのある、臙脂が透けそうな赤。
なぜか好きだと思った。
それと同時に、何故か、死んだとも思った。
何が起こったのか、そもそも「何か」起こったのか。何もわからなかった。夢だとはわかっている。わかっているはずなのに、背中への衝撃と鮮烈な赤は現実ではないのか、だんだん疑いだした。
本当にわたし、死んでない?
夢だと思ったことが現実で、現実の私は死んでいるんじゃないか?あの夢は私が死んだ時の走馬灯みたいなものだったのでは?あの赤は私の血で、たくさんの血を撒き散らしながら一面を赤にして死んだのでは?
きっと誰かが私の背中を滅多刺しにしたんじゃないかな。私って友達付き合い上手くないし、愛想が良い方ではない。いじめられたりはしたことないけど、クラスの端にある目立たない存在。
だからいなくなっても良いだろうと刺してきたんじゃない?誰でも良かったみたいな。
あれ、なんで私、クラスの人だって思ってるんだろ。
目をゆっくりと開けてみる。ただ暗い見慣れた天井があるだけだった。わたし仰向けで寝てたんだ。
やっぱり、ほら、夢だったじゃん。
いつも通りに体を起こし、朝食を食べ、家を出る。
あの夢はなんだったのか。
何か悪いことが起きる予兆か、ただの夢か。
どう意味付けようと私の自由だからこそ、夢の意味の真実なんて誰もわからないけど、あまりにも印象的な夢だったから、是非とも何か意味のある、出来れば悪い意味のある夢であって欲しいと思った。
その方が素敵だから。




