表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/23

夕立のあとに

ミーンミーンミンミンミー ッジジ………


メーン メーン ドー コテえ~


青い空の入道雲が声を吸い込み、どんどん膨らんできている。


僕は夕立かな?と思いながら、外で素振りを続ける。


ッジジ…… ミーンミンミンミー……


これで練習を終わりにする。みんな気をつけて帰るように!


ギシギシ……ガラガラガラ……


「おい、お前ももう帰っていいぞ。よく頑張ったな。足を怪我してんのに無理して部活に参加しなくてもいいんだぞ?顔見せにくるだけでもいいんだぞ?」

顧問の茂山の頭頂部をみる。禿げてるのを気にし始めたのだろうか?な~んて考えていると

顧問の先生の顔が曇った。僕の顔が気難しかったのだろうか?

「わかったよ。お前の好きなようにしろ。俺は応援する。おっと、夕立になりそうだなみんなを早く帰らせないと」

そういうと大声でみんなに

「おーい、わちゃわちゃすんなー速やかに帰れよー!傘持ってねーだろー?」

茂山、その苗字通りとは違うんだね。禿山先生……後ろ、やべーよ……

ミーンミ………ッジジ……


鼻先に一雫降ってきた


僕は、うんざりして大声を出した

「おーい。みんなー、夕立だぞおー!」


ポタ……ポタ……ポタ…ポタ…


青い空が急に態度を変え始めた。……僕だけ帰れないじゃないか……


部室から影が出てきた

「わっ!」

僕は反射的にムッとした。

 ショ ウ ブ

「尚武!お前、雨が降っちゃあ、帰れないな!だって、両手が塞がってるもんな!」

僕は忌々しく両手の松葉杖をみる……

          ノボル

「まあね。ていうか、昇こそ傘持ってんのかよ。それとも濡れて帰るか?」

ぶっきらぼうな態度に機嫌を損ねたのか僕を見下ろし始めた

「はっ、お前はもう剣道の大会に出れねーんだぜ?俺は三年の先輩方が抜けたら俺がエースだ。そして、お前の幼馴染もゲットするんだぜ?完璧だろ?」

なんであいつが出てくるんだ?あいつは関係ないよ。ていうか、君のことが好きなはずだから。そんなにうじうじすんなよ。

僕がイラついて黙っていると満足そうに

「何も言い返せねー見てーだな、今日は楓ちゃんと相合傘だな」

楓はいつも折り畳み傘持ってるけどね…とは言わずそわそわしている昇を無視して、階段に座り、素振りを始める


ブン……ブン……


ガラガラガラ………


ドアが放たれた瞬間、昇を纏う雰囲気が変わった

「あれ?尚武はわかるけど、昇くんなんで帰ってないの?傘、持ってきてないの?」

不思議そうに女子部員たちは見ている

昇は少し深呼吸して真面目な顔をし、楓を一直線に見ている


ザー……ザー……ポツ……ポツ……


あ、雨止むな……空気読めよ、雨

「あ、あのさ、やっぱなんでもない、尚武の話し相手になってたんだよ」

ほうら、雨が止んだから、いつもの意気地なしじゃあないか。楓は少し微笑んだ

「よかったね!本田くん!雨、上がったね!傘、持ってないんでしょ?」

楓にそう言われたからか、傘をさっと隠し、カッコつけようとしてカッコ悪い顔をしながら

「あ、ああまあね。こいつとの会話はいまいちだったからな。だって、素振り始めちまうんだぜ?じゃあな!」

早口でそういうとすぐさま帰ってた。転ばないといいけど……

女子部員もそれぞれ散り散りに帰っていく


バイバーイ! また明日ー!晴れてよかったー


一方楓の友達、日向が昇に対して毒を吐いていた

「全く、何よあいつ。楓のことが好きなの見え見えじゃないの!あんたにもチャンスがあるんじゃない?楓。ま、あたしは好まないけど」

焦ったように楓が隠す。

「ち、違うよ。別に好きっていうか……」

ヌルッと僕が会話に入る

「ま、僕も応援するよ。あいつとはクラス一緒だし、なんかよく話しかけてくるし」

日向が顔を歪める

「あんた、勝手に入ってくんじゃないわよ。行こう、楓」

「えっ、でも、日向。私たち家近いじゃん。手伝ってあげようよ」

日向が僕を睨んだ

「はあ、楓が優しいからって勘違いしないでね?」

僕たちって幼馴染だよねえ……

「わかってるって、いつもありがと、日向、楓」


僕は、地面を見た。体操着の短パンから、覗いている金属を情けなく光っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ