接触
静寂が落ちた戦場。
奏が踏み込む。
それを見た人形使いも動く。
しかし奏が速い。
人形使いの背後から人形が割り込む。
だが――
蒼真の前では全てが遅い。
横から蒼真の斬撃。
後ろから灯真の影鉄。
人形が弾ける。
完全に開いた、一本道。
「あなたを止めます」
人形使いが薄く笑う。
「止める?」
周囲の泥が僅かに揺れる。
「この数を見てまだそんなことを言うか」
泥からまた何体もの人形が現れる。
しかし人形は蒼真と灯真によって破壊される。
奏は二人を信じ、人形使いに向かって突っ込む。
人形使いの目が細まる。
「いい連携だ」
だが、人形使いも動く。
人形使いの拳が迫る。
奏は避けずに踏み込む。
一歩、もう一歩。
「……当たるぞ」
人形使いの拳が奏の肩を掠める。
それでも止まらない。
「なぜさっきから避けない…」
手を伸ばす、あと少し。
人形使いの拳が振り抜かれる。
「無駄だ」
その瞬間、冷静に攻撃を見極めていた奏が人形使いの拳を手のひらで受け止めた。
確かに手が触れた。
人形使いの表情が変わる。
「……何をした」
奏が小さく、しかし満足そうに言う。
「これでいいんです」
次の瞬間、奏の体に衝撃が走る。
拳が直撃する。
奏の体が吹き飛ぶ。
地面を転がり、叩きつけられる。
「……っ!」
動かない。
蒼真が視線だけを向ける。
「……やったな」
灯真が前に出る。
「後は僕たちだね」
人形使いがゆっくりと首を鳴らす。
「今のは……何だ?」
蒼真が前に出る。
その隣に灯真が並ぶ。
戦えるものは残り二人。
空気が変わる。
だがその答えは、まだ出ない。
泥が再び形を作り人形が立ち上がり、動き出す。
人形使いの目が細まる。
「……やはり妙だな」
腕を上げると人形が二人に向かって走り出す。
だが、体のどこかに違和感がある。
蒼真が刀を構える。
灯真の背後で黒魍が唸る。
「来るよ、備えて」
人形使いも人形と共に一歩踏み出す。
そして、自分の後ろにいた人形を自ら破壊した。




