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 ステンドグラスから差し込む光に照らされたソルの顔を見上げる。


 目が覚めるような真っ青な瞳は涙で少し潤んでいて、感極まっていた。

 きっと私も似たような顔をしているのだろう。


 プロポーズの仕切直しに、彼は本当にたくさんの準備をした。

 シチュエーション選びから、演出。自らデザインした指輪まで作って。


 母にプロポーズの許可を取っていたという話は後から聞いた。


 私が思った以上に彼はロマンチストで、私を喜ばせるための努力を惜しまない人だった。

 私の前に跪いて指輪を差し出す彼を見て、本当に王子様が迎えにきたのかとドキマギとときめいたのだから私も大概ベタなシチュエーションに弱い。


 そうしてプロポーズから今に至るまで三年。


 そう、この結婚式に至るまで三年もかかった。

 理由はソフィア様だ。


『カノンはね、アタクシの騎士なの。絶対に手放すつもりはないし、彼女にぶら下がるヒモも許したりしないから頑張りなさい』


 そんな言葉と共に、ソフィア様はソルに対して私との結婚を許可するのに条件を突きつけた。


 それがソフィア様が貴族学園を卒業する三年の間に隣国にも販路を広げておくこと。

 ソフィア様の条件に「横暴だ!」と文句を言っていたものの、なんだかんだと言われた通りに抱えたガラス工房を起点にした商店を死に物狂いで大きくして、今では隣国にも名が通る新進気鋭の商会まで育てた。

 爵位を実家から譲られるのではなく、自分の力で買うほど大きな商会長になったものだから私の方が恐縮するほどだ。


 ……などというと、彼は決まって「それを“薊の騎士”が言う?」と苦笑するのだが。


「……カノン」


 ここまで至るまでのことを思い返していると、ふとソルに名前を呼ばれた。


 彼の大きな手のひらが私の頬を覆う。

 じんわりとした温もりに胸がぎゅうっとなり、私はそっと目を閉じる。


 やがてソルの唇が降る気配がして、私の唇に柔らかく重なる。

 ゆっくりと啄むように吸いついた唇は、やがて名残惜しそうに離れ、


「……必ず君を幸せにする」


 私にだけ聞こえるような声音でそう囁いた。


 その声にゆっくりとまぶたを開けば真摯な青い瞳がそこにあった。

 その瞳に私は笑んで、こう囁き返す。


「……あなたと一緒に幸せになりたいわ」


 可愛げのない返事だっただろうか。


 彼は私の返答に虚を突かれたように軽く目を見開いて、けれどもすぐに幸せそうににっこりと笑んだ。


「そういう君だから大好きだ」

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