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仕事に戻れ、このゴミ野郎

Aはタイムリープを成功させる。新崎に叩かれて現実に戻り、面談の準備を始める。この日は中村が同行する営業の日で、Aは不安を感じながらも冷静を装っていた。営業が始まると、中村は顧客対応が非常に上手く、Aは彼がただの元工場長ではないのではないかと疑い始める。営業後、Aは中村の素性を調べるが、怪しい情報は見つからない。しかし、類似画像検索で中村が水晶玉を持つ写真を発見し、彼への疑念がさらに強まる。

Aはインターネットを駆使して調査を進め、中村について得た情報を整理していた。


中村の占い師としての経歴が少しずつ浮かび上がってきた。過去には「中村・ミネルヴァ・光球」という名前で活動しており、得意とする占いは水晶占いだった。Aは、閉鎖された中村のホームページを見つけ、そのキャッシュを掘り起こし、彼の占いのスタイルを詳しく知ることができた。


中村が使っていた占術は、古典的な水晶占いの一種だった。水晶玉をじっと見つめ、その中に現れる映像やイメージから未来や遠くの出来事を予見するというものだ。特にこの手法は、霊感を伴う視覚イメージが占い師にとって重要な要素となり、占い師は水晶に現れた景色や状況を解釈しながら相談者に助言を与える。


「ぶっちゃけ主観的で、胡散臭さを感じる。ただ、熟練者であればかなりの説得力を持ちそうだ。例えば、詐欺師顔負けの読心術を備えていれば、相手の少し先なんて想像できてしまう」


そうAは感じた。


中村もオンラインで占いを提供していたが、サイトのデザインや情報の内容からして、成功していたとは言えない。Aが確認したところ、そのホームページは閉鎖されており、今ではアクセスすらできない状態だった。


おそらく、インターネットでの占いビジネスを試みたものの、成功には至らず、無名のまま終わってしまったのだろう。サイト自体も、あまり予算をかけずに作られた簡素なデザインで、特に目を引く内容もなかった。


このことから、Aは「街角の小さな占い師からネットに進出し、失敗した人物が、今では自分の会社に入り込んでいる」と考えた。この先の未来から考えて、おそらく間違いないだろう。


Aは中村の意図に不信感を抱く。自分が失敗したリベンジとして、会社を乗っ取ろうとする陰謀を企んでいたのかもしれない。なんてやつだ。


考えを巡らせる中、Aは高山の姿を思い浮かべた。「このままだと高山が危ない」と、頭を抱えながらAは焦りを感じていた。その時、高山が突然Aの背後に現れ、彼の頭を鷲掴みにした。


「何遊んでんだよ?」高山の低い声がAの耳元で響いた。驚いたAは「待ってください!」と慌てて頭を押さえ、深呼吸をしてから話を始めた。話があるんですと言って会議室へ誘った。


「中村さんのことなんですが、実は元工場長というより、元占い師だったんです」


「はあ?」


「それで、このままだと高山さんが逮捕されて……」


「はあ…??」


「会社が乗っ取られるんです!!」


「てめえ……マジで何いってんだ、てめえ…??」


「本当なんです!!」


高山は渾身の力を振り絞って狙いを定め、岩石破壊指拳デコピンを放った。Aは不意に放たれた攻撃に意識を2億年分消失した。


「お前、忙しいんだよ。こんな馬鹿げたこと言うな。仕事に戻れ、このゴミ野郎」と、高山は吐き捨てるように言い放ち、そのままデスクへと戻っていった。


Aは倒れ込みながらも、頭を抑えて考え込んだ。高山が納得するには、もっと具体的な証拠が必要だ。しかし、単に中村の過去を探っても、彼の今後を示す証拠は見つからなかった。


中村が認められつつある今、単なる中村の悪評をばらまいただけでは今のように変な顔をされて終わる。このままじゃダメだ。Aはぐるぐると会議室を歩き回り、考えを巡らせていた。高山に「ゴミ野郎」とまで言われたが、Aはこのまま引き下がるわけにはいかない。何としても証拠を掴んで、事態を解決しなければならないのだ。


「ゴミ……野郎?」


その言葉を繰り返した瞬間、Aに一つの閃きが生まれた。Aは近くのゴミ箱を眺めると、何か悟ったかのように自分のデスクに戻っていった。

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