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何者なんだ?

前回のあらすじ

ショコラは母親の突然の死により、占い会社を相続する。彼女は強大な占い能力を持ち、未来予知や他人の心を読む力があったが、その力は彼女を孤立させ、会社経営に疎いまま成長する。やがて会社は利益優先のブラック企業へと変貌するが、ショコラは管理能力が不足していた。面接に来たAに特異なオーラを感じ、彼に助けを求め、母の力を借りて彼にタイムリープの能力を与える。しかし、危険なオーラを放つ中村が現れ、ショコラは会社の崩壊を阻止するためにAに救いを求める。

遠くでサイレンの音が聞こえた気がした。波紋のようにゆらめく音の中、誰かが自分を呼んでいる気がする。鳥の声。少女の声。いや、違う。現実へと引き戻されるように、Aはその呼び声を振り払った。


「A、面談だってば!」


背中を叩く音とともに、新崎が焦った声でAを起こす。バシバシと容赦なく背中を叩かれ、Aはようやく現実に戻り、目をこすりながらゆっくりと体を起こした。


「今日は中村さんが同行するんじゃなかったの?」Aは、まだぼんやりとしながらも状況を理解し始めた。この日は中村が営業の同行をする日だった。Aは深く息を吐き、気を引き締めた。


ズームの準備を終え、中村が隣の席に静かに腰を下ろす。オンラインでの営業、相手は画面越しだ。普段なら、こんなシチュエーションでも特に緊張はしない。


だが今日は違った。これから敵となるかもしれない中村が隣にいることで、Aの心は揺れる。しかし、顔には出さず、できる限り平静を装った。


営業が始まると、中村は真剣な表情で一心にメモを取り始めた。営業フロー、興味を引くための質問の投げ方、クロージングのタイミング。その手にはびっしりと矢印や番号が並んでいた。まるで製図マニュアルを作成しているかのような細かさだ。


「Aさんはこうおっしゃっていますが、中村さんのご意見をいただけますか?」顧客の質問に、中村は一瞬の迷いもなくスムーズに回答する。この変わり身の速さ、そしてその対応力。Aは疑念を抱き始めた。


「こいつ、本当にただの元工場長なのか?」


ただの工場長にしては、コミュニケーション能力がありすぎる。中村はまるで手品師のように、顧客の反応に瞬時に対応し、笑顔を浮かべて的確な答えを返す。うますぎるのだ、やりとりの流れが。


何かしらの心を読むような仕事、例えば営業マンや精神科医、もしくは詐欺師。それらに共通するような、相手の心を掌握する力が、中村には確実にある。



営業終わり。


自分のデスクに戻ったAは、中村について調べることにした。Aはまず、中村のフルネームを使ってSNSを検索してみた。出てきたのは、普通の家族写真や登山の写真ばかり。特に怪しいところは見当たらない。


次にAは、Googleの検索窓に「中村 スペース 逮捕」「中村 スペース 犯罪」といったキーワードを打ち込んでみた。しかし、いくら検索しても、中村の悪い過去を示すような情報は出てこなかった。Aは少しホッとしつつ、やはりただの思い過ごしかと納得しようとした。


だが、その時、検索結果の画像欄が目に入った。「もしかして……」Aは直感的に、中村の顔写真をクリックし、類似画像を検索してみることにした。


すると――


「これは……?」


Aの目に飛び込んできたのは、水晶玉をさすりながら笑顔でこちらを見つめる中村の写真だった。彼の背後にはフォトショップのフラッシュがきらめき、まるで過去を見透かすかのような眼差しでこちらを見ていた。


「中村……何者なんだ?」


Aは再び疑念を強めた。この男は、普通の人間ではない。


「中村が会社に来たのは偶然じゃないのか……」


Aは自分の直感に従い、中村の過去を掘り下げることにした。

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