第47話 イオ第2学園に入学・2
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「ハヤトちゃん、リアンちゃん!筆記用具に受験票は持った?」
俺とリアンは本日イオ第2学園の入試を受けに行くのだが、心配性のメニルお母様が出発前に声を掛けてきた。試験は王都から南西に20キロほど離れているイオ第2学園で実施される。
試験内容は筆記試験と実技試験がある。筆記は一般教養と魔法学の二つで、実技試験は魔力測定と体力測定と模擬戦闘の三つある。
「イオ第2学園って結構遠いけど二人だけで本当に大丈夫?」
「忘れ物も無いし移動も大丈夫だよ。俺だけ先に行って、転移でリアンを運ぶから」
「魔素は大丈夫?あんなに遠いのに転移なんかで移動して試験に影響出ない?」
本来なら20キロも離れた場所に転移で移動など考えられないほど魔素が必要とされるが、限定解除すればその問題は解決するんだよね。
「それも平気だからそんなに心配しなくていいよ。じゃあ行ってきます」
俺に合わせてリアンも「行ってきます!」と元気よく発する。でも残念ながらリアンは少しお留守番だ。
「俺が先に行って転移先を確認して戻って来るからリアンはまだ出発しなくていいよ?」
「え!?……あ、そっか……そうだよね」
リアンは少し恥ずかしそうな顔をする。一緒に暮らしてわかった事だが、リアンは少しドジっ子なのだ。
「じゃあ今度こそ行ってきます」
俺は1人で外に出る。20キロか……転移なら限定解除が必要なところだけど、ただの移動ならこれでいいかな。
俺は移動によく使う魔法を唱える。
「飛行」
読んで字のごとく、空を飛ぶ魔法だ。ただ浮くだけならばそこまで難しい魔法では無いのだけれど、移動するとなると風の制御がそれなりに難しい魔法として部類される。
特に俺は飛行の併用魔法として加速も使用するのでかなり難しい魔法と化している。
さてさて南西20キロか。15分くらいかな?全力なら直線だし5分くらいで着きそうだけど……無駄に魔素を使う事も無い。じゃあ向かうか。
俺はイオ第2学園に向けて移動を開始した。真っ直ぐ南西に向けてしばらく移動していると、王都と比べても遜色無い大きな街が見えてくる。
あれがイオ第2学園が建てられた魔法研究都市と呼ばれる『ラーシス』か……
初めて来る街だけど、なんていうか都会ってイメージになる。建物は奇抜なデザインも多く、日本にあったマンションのような建物まで見えるな。
それでイオ第2学園は……あそこか。街の正門から3キロほど街の中心に向かって進んだ辺りに、かなり大きな建物と敷地がある。
確か1学年6クラスもあって、1クラスが40人ほどらしい。それで3学年あるから生徒数は700人ちょっとか。
俺はイオ第2学園の敷地近くで転移をしても周りに驚かれる事が無い場所を見付けてから限定解除を使用する。そのままリアンを迎えに転移で家の庭に戻った。
「ただいま」
「え?ハヤトちゃん何か忘れ物でもしたの?」
帰って来た俺にメニルお母様がそんな事を聞く。
「いや、イオ第2学園の確認して来たから戻って来たんだよ」
「え!?もう!?……ハヤトちゃんってば、本当に凄いのね〜。そういえば貫禄みたいなのを感じるし……ハヤトちゃんはどんどん凄くなってくわね〜」
その貫禄は多分、限定解除で増えた魔素をなんとなく感知してるからだろうな。
「今度こそちゃんと行ってくるよ。リアン、準備は大丈夫だよね?」
俺はリアンの方を向いて問い掛ける。リアンは その問いに頷いて俺の手を握る。
「じゃあ行って来ます」
「行って来ます!」
「行ってらっしゃ〜い。頑張ってね〜」
メニルお母様に挨拶をしてから転移を唱えて、俺とリアンはラーシスのイオ第2学園近くに転移した。
「ふわぁ……凄いねハヤトくん!王都でもこんなに変わった建物無いよ!」
試験まではまだ時間があるので俺とリアンは少しラーシスの街を見て回っている。今リアンが指を指している建物はドーム型の野球場くらいある建物だ。
「中は見えないけど何をする所なんだろうな?」
「わかんないけど、これだけ大きいなら色んな事出来そうだよね!」
二人で歩きながら話していると視線を感じた。視線の先を見ると同い年くらいの男の子が少し離れた所からこちらを見ている。一体なんだろうか?
「…………」
「どうしたの?」
俺が何かを見ている事に気付いたリアンが問い掛けながら、俺の視線の先を追う。そしてリアンは俺の視線の先にいる男の子を発見して目を見開いた。
「タニスト……お兄様……」
あれがリアンの双子の兄か……双子の割には雰囲気や目付きが大分違うな。
リアンの視線に気付いた双子の兄であるタニスト・ガナエリは、一度不愉快そうにリアンを睨み付けてから去って行った。
そういえばリアンを引き取った時にガナエリ家当主のガウルが、タニストはイオ第2学園に通う予定だと言ってたな。
リアンを見るとついさっきとは打って変わって暗い表情になっていた。前に少し話を聞いたのだが、リアンはタニストに度々イジメられていたらしい。
魔眼を持たないタニストは、自分よりも無能なリアンに魔眼がある事を気に入らなかったのだと思う。
俺はリアンの頭に手を乗せて撫でてあげる。
「気にするな。今はもうリアンは俺の家族だろう?」
リアンは俺の顔を見て答えた。
「……うん!」
その返事をした時には、既にいつもの笑顔がとても似合う可愛いリアンに戻っていた。
「じゃあそろそろ時間だし、イオ第2学園に行こうか」
「うん!頑張ろうね!」
俺とリアンはイオ第2学園に向かって歩く。既に校門で入学希望者の受け付けが始まっており、列が出来ているので俺とリアンは一緒に並んだ。
やがて列は進んで俺とリアンの番が来る。
「はい受験票預かりますね〜……ハヤトくんにリアンちゃんですね!…………え?ハヤト……くん?え、男の子?」
受け付けをしているお姉さんがそんな言葉を口にする。もうね、慣れたよ。俺は可愛いもんな。女の子にしか見えないもんな。でもしっかり否定しなければならない。
「俺は正真正銘の男ですよ」
受け付けのお姉さんは目を見開いて受験票と俺を交互に何度も見る。そして納得したのか、いや……してないような顔をしながら話を進め始める。
「ええと……試験の説明をしますね?受験者の方はまずイオ第2学園の校舎、この正門を真っ直ぐに進んだ所にある1番大きな建物に入ってもらって、校舎の入口に受験番号ごとに割り振られた筆記試験をする教室を掲示板に張り出しているので、その教室に入ってください。そして教室の黒板に受験者がどの席かも貼り出されているので、その指示に従って試験開始時間までには着席して待機しててくださいね?」
「「わかりました」」
「その後は先生の指示があるので、それに従ってください。では試験頑張ってね!」
俺とリアンは指示に従ってイオ第2学園の校舎に入る。入口の横には聞いた通りに受験番号と、それに合わせた教室が書かれている紙が掲示板に張り出されている。その横には校舎の地図もあった。
「えっと……俺は1A教室か。リアンはどこだった?」
「私は2C教室だった」
「じゃあとりあえずここでいったん別行動だな。余裕だと思うけど、緊張して名前書き忘れたりするなよ?」
俺はリアンをからかうようにそんな事を言う。
「だ、大丈夫だよ!私そんなにドジじゃないもんっ!」
ドジな自覚が無いとは……リアンは天然ドジっ子だな。天然ドジっ子って意地悪すると可愛いよなぁ……ていうかリアンが可愛いよなぁ……
「まあなんにせよ、頑張れよ?」
「うん!ハヤトくんもね!」
こうして俺とリアンはそれぞれの教室へと向かった。
明日は19時頃更新予定となります。
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