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第42話 王都に帰還する・11

R15作品です。


Twitter始めました!

@akira_kouno0918


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お金の話しになってからガナエリ家当主であるガウルとの話し合いはスムーズに進んだ。



リアンの引き取り手は師匠なので、途中からは師匠との念話も交えて交渉した。



ガウルは魔眼を持っているので師匠との念話を交えたやり取りには特に不便を感じなかったね。



『じゃあそういう事で、書類上の事はとりあえず後回しでリアンちゃんをこのまま引き取るという事で問題ありませんね?』


「構わぬよ」


『それで構わないだそうです』


『そう…じゃあ後はハヤトくんに任せるわ』



最後に『じゃあよろしくね』と言ってから師匠は念話を切った。


「……という事です。特に他に何かありませんよね?」


「無いな…………いや、小僧……君は今いくつかね?」


「8歳です」


「そうか……12歳になったら王都の騎士養成学園に入るのか?」



ヨガル兄が通っている学園が騎士養成学園だけど…俺はどうなるんだろう?


気持ち的にはイオ国立第2魔法学園なんだよな。



でもペンドラ騎士団の団長であるユーエ・スフィアの弟子だし。


普通に考えて周りからすると騎士養成学園に入るのが当たり前だよな。



う〜むまだわからん。


「気持ち的にはイオ第2学園ですけど、まだわかりませんね」


曖昧に俺は答える。


その答えが予想外だったのか、ガウルは少し意外そうな顔をした。



「なるほど。タニストはイオ国立第2魔法学園に入学させる予定なんだが…小僧と同い年だから何か縁があるかもな」


ふーん。


リアンの双子の兄か。


まあ特に何も知らない相手だから何とも言えないな。



後でリアンにタニストがどんな人間か聞いてみるか。


「時間を取らせたな…今日はご苦労だった、帰って良いぞ」


なんていうか、ここまでずっと上から目線だとむしろ清々しいな。


貴族の当主が8歳の子供に丁寧な対応をするなんて事を期待していたわけではないけどさ。



まあ帰って良いと言われてるし帰るか。


「では失礼します」


そう言って俺は頭を下げてからリアンの手を握る。


ガウルはこの会談で終始リアンを見なかった。


本当に……くそったれな野郎だよ。




俺は最後にガウルを一瞥してから魔法を唱えた。


「転移」



俺とリアンは屋敷の門前に転移する。


すると門番が俺達に気付いて話し掛けてきた。



「お疲れ様です……それで…どうなりましたか?リアン様がご一緒という事は、話し合いが上手く行ったのですか?」



この門番はリアンの心配を少なからずしていたのだろう。



俺は屋敷内の出来事を掻い摘んで説明した。


「そうですか……リアン様が…………リアン様、いえリアンちゃん」


門番は俺の横に居るリアンを真剣な顔で見ながら名を呼んだ。



リアンは呼ばれると思ってなかったのか、一瞬ビクりと身体を震わせてから門番の顔を見る。



「リアンちゃん……俺は何もしてあげられなかったけれど…幸せになるんだよ?」


リアンはその言葉を聞いて俺の顔をちらりと見る。


そして顔を綻ばせながら口を開いた。


「はい…」



なんか少し恥ずかしいな。


俺もリアンもまだ小さいから問題無いけど、まるで結婚を祝われてるみたいな雰囲気だ。


気恥ずかしくなった俺は早くこの場を去りたくなって門番に告げる。


「じゃあそろそろ俺達はこれで」


「ああ……リアンちゃんを救ってくれてありがとう。そしてよろしく頼みます」


門番はそう言って俺に頭を下げた。



この人は本当にリアンを心配していたんだな。


俺は顔を上げるように言ってから別れを告げて歩き出した。



さて、今は薄っすらと暗くなり始めた時間か。


これからどうしようかな。


リアンはこのまま師匠の所に送る方がいいよな。



グギュルルー



俺が考え事をしていると、横からそんな音が鳴った。


見るとリアンが頬を赤く染めて俯いている。



「…………ご飯食べるか?」


そう言うとリアンは耳まで真っ赤にしながら答えた。


「あの……その…………うん……」



何か言い訳を必死に考えたけれど思い付かなかったのかな?


まあ何にせよ俺もそこそこお腹が空いてるし、ご飯にするか。



「何か食べたい物とかあるか?と言っても俺はこの街の店を全然知らないからリアンに店を選んでもらう事になるけど」


「私も知らない…それになんでもいい」



なんでもいいか。


なら俺の食べたい物にしよう。



「よし、じゃあ寿司を食べに行くぞ!」


お昼に食べたあの味を俺はまだ忘れられないのだ。



「寿司?食べた事無い」


「アクアラに住んでるのに無いのか?」


「うん。名前は知ってるけど、お店でしかなかなか食べれない物だから」



なるほど。


あの家に住んでいたのだからリアンには外食の経験がほとんど無いのかもしれない。


「よし、じゃあ今日が寿司デビューだな!」



そう言うとリアンは期待に目を輝かせて元気に「うん!」と答える。



師匠も誘った方がいいかな?


リアンの紹介もまだしていないし。



そういえば昨日の誘拐事件でリアンは師匠と会ったりしているのだろうか?


「そういえばリアンは昨日俺の師匠と会ったりはしたのか?」


リアンは首を横に振りながら答える。


「会ってないよ?でもペンドラ騎士団の団長様は有名だから見た事はあるよ」


ふむ。


じゃあやっぱり師匠を誘おう。



リアンとの初顔合わせだ。


「じゃあ師匠もご飯に誘うけどいいよな?」


それを聞いてリアンが少し緊張に包まれた顔をするが、直ぐに首を縦に振ってくれた。



じゃあさっそく師匠に念話だ。


『師匠、今大丈夫ですか?』


『大丈夫だけどまた何かあった?』



『いえ、話しは無事に終わって今からリアンと一緒にお昼に食べたお寿司屋さんに行くんですが、師匠もどうですか?せめてものお礼で奢りますし』


『ああ〜そうね〜リアンちゃんともお話したいし』


『じゃあお店の前に転移して待ってますね』


『わかったわ〜私は少しやる事あるから10分くらい待ってなさいな』


『わかりました』


そのまま俺は念話を切ってリアンを見る。


「じゃあ行こうか?」


そう言うとリアンは頷いて俺の手を握る。


リアンも転移に慣れて来たのだろう。



俺は転移を唱えてリアンと一緒にお寿司屋さんの前に移動した。



これから師匠とリアンの初顔合わせだ。



お寿司屋さんの前で俺とリアンは寿司について話しながら師匠を待った。


主に俺が寿司の素晴らしさをリアンに熱く語っていただけだけどな。



そうして待つ事十分くらい。


師匠も転移で移動してくる。



「お待たせ〜この子がリアンちゃんね?」


師匠は目をキラキラさせながらリアンを見ている。



あ、なんか既視感あるなこれ。


俺との初対面の時も師匠は目がキラキラしてたような気がする。


「は…初めまして…リアンです」



そうリアンが答えた瞬間。


師匠の姿が目の前から消えた。


この感覚……俺が師匠と初めて試合して気絶させられた時の感じだ!



俺は直ぐ様自分の背後を振り返る。


すると俺の背後ではなくリアンの背後に師匠は居た。



そして師匠はなんと……リアンを後ろから抱き締めて頬ずりを始めてしまった。



「なにこの子超可愛いいぃぃ!!!」



…………やっぱりこの師匠は少し残念だよな。


リアンは驚きのあまり涙目になりながら必死に俺を見ている。



まあ……悪い人では無いし、そのくらいは我慢してくれ。


俺は心の中で合掌する。



さて、そんな事よりも寿司だ。


俺は早く寿司が食べたい。



「師匠、そろそろ中に入りましょう」


俺は寿司を食べたいという欲求を我慢出来ずに、まだ頬ずりしている師匠にそう声をかける。



「そうね〜じゃあ入りましょうか」


やっと頬ずりが終わるのかとリアンは安堵したのか、とても安らかな顔をしていた。



さあ寿司を食べるぞ〜。

明日も19時更新となります。


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