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第37話 王都に帰還する・6

R15作品です。

Twitter始めました!


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アクアラの入口に転移した俺は誘拐犯を引き渡す為に駐屯兵を待っていた。



誘拐犯はまだ気絶したままである。



それにしても限定解除リミットブレイクは思ったよりもかなり魔素量が増えるんだな。


体感で言うなら少女を置いて来た場所の魔素の分だけであと3回は往復出来そうだ。


通常時ならおよそ2キロが限界だろう。


此処からアクアラまでおよそ7〜8キロ…そしてそれを更に3往復だから…40キロ以上ある



そう考えると限定解除リミットブレイクは通常時の20倍以上の魔素くらいはあるのか?



改めて思うけど限定解除リミットブレイクはちょっと反則だよな。




今度新たに限定解除リミットブレイク中に使える魔法の開発でもしようかな。


普段の俺じゃあ絶対使えないような魔法も使えるようになるかもしれない。




新魔法の構築に関して考えに耽っていると少し遠くから駐屯兵と、見覚えのある獣人がこちらに向かって歩いて来るのが見える。


「ハヤトくん待たせたね」



駐屯兵に同行している獣人はペンドラ騎士団副団長のガイアス副団長だった。



「いえ大丈夫です、俺は保護した少女を迎えに行きますので誘拐犯をお願いしてもよろしいですか?」


そう言うとガイアス副団長と駐屯兵の面々がズタボロになって気絶している誘拐犯を見る。



ガイアス副団長以外は明らかに引き攣った顔をしているね。



「ハヤトくん…これは生きては…いるのですよね?」


ガイアス副団長も若干引き攣った顔をしながら聞いてくる。


「引き摺って走っただけなので大丈夫なはずですよ」



うん。

生きてるはずである。


「了解しました。こちらは気にせずに保護した少女を迎えに行ってあげてください。此処に駐屯兵を1人残しておくので此処に転移してきてくださいね?」


事情聴取とか色々あるだろうしこれは当たり前だろうな。


「了解です。じゃあよろしくお願いします」



じゃあこのまま魔眼の少女の居る場所まで戻るか。


限定解除リミットブレイクを新たにする必要も無いし。



「転移」



俺は魔眼の少女の居る地下室前まで転移した。



魔眼の少女は地下室で大人しく待っていたようだ。




「お待たせ…じゃあアクアラに戻るけど、駐屯兵の方に色々と事情を聞かれると思うからそれは我慢してね?」


「うん………あの…」


「ん?」



何やら少女はモジモジしながら何かを言おうとしている。


なんだろうか?


「……まぇ…」


「?」


「なまえ…何て言うの…?」



ああ俺の名前を知りたかったのか。


「ハヤトだよ、ハヤト・ヴァーチ」



「……ハヤト………」


少女は小さな声で独り言のようにハヤトという名前を何度か口に出して確認する。


そして俺の顔を見て首を傾けた。



「ハヤトちゃん?」



はい。


そうですね。

見た目女の子な俺が男っぽい名前だとそうなりますよねわかります。


「こう見えても男だからね?」


俺は魔眼の少女にそう伝える。


一瞬びっくりした顔をした後に申し訳なさそうに魔眼の少女は謝ってきた。



「ごめんなさい…」


「いや慣れてるからいいよ。ところで君の名前はなんて言うの?」


こちらが名前を答えたのに相手の名前を知らないのも何か違和感を感じるので聞いてみる。



「私はリアン…リアン・ガナエリです」


リアン・ガナエリ…家名があるって事は貴族かそれに準じた家の子供なのかな。



「じゃあリアン、そろそろアクアラに戻るよ」


「……うん」


リアンは少し俯いてから返事をしたが、頬が少し赤い。


流石にいきなり呼び捨ては馴れ馴れしいし、恥ずかしいのだろうか?



まあ何にせよアクアラに戻らなければ。

俺は転移する為にリアンの手を握る。



さっき気付いたのだが、複数人の転移は身体の何処かが繋がってると簡単なのである。



リアンは顔が真っ赤になるけど俺は気にせずに魔法を唱えた。


「転移」



アクアラの入口に転移で戻ると駐屯兵が俺達に気付く。



そして俺の横ではリアンが「凄い…」と口から漏らしている。



魔眼がどんな物なのか詳しく知らないけど、今の転移でもリアンには何かが見えてたのかもしれないな。



とりあえず駐屯兵に報告と引き継ぎをしなきゃいけない。


「お待たせしました。こちらの少女が保護したリアン・ガナエリさんです」


そう報告すると駐屯兵が明らかにオロオロしている。


「ガナエリ家のお嬢さんが……いえ…あの、ありがとうございます」


それを見ていたリアンは暗い顔をして俯いてしまった。



リアンの家は何か訳ありなのだろうか?



まあ家庭の事情に俺が口出し出来る事なんて無いだろうし、考えるだけ無意味か。



「とりあえず自分は師匠…ペンドラ騎士団の団長に報告するので、後はお任せしても大丈夫ですか?」



「はい大丈夫です」


「ではよろしくお願いします」



駐屯兵がリアンを連れて行こうとする。


だがリアンは一度立ち止まってこちらに振り返った。



「ハヤト…っくん!助けてくれてありがとう!また会おうね!」


満開の笑顔でそう言ったリアンを見ると、少しは報われた気になってくる。


「ああ!気を付けて帰れよ!」


俺はそう言って手を振る。



そしてもう一度笑顔を作ってリアンも手を振ってから前を向く。



だけど。


お礼を言い終わって再度歩き出す前に見えた横顔にはもう笑顔など見えなかった。




むしろ…まるでこれから先に待つ自分の未来に絶望しているかのような…どうしてリアンはあんな顔をしているのだろうか。



俺はリアンが見えなくなるまでその場で考えていた。



まあ考えても仕方が無いか。


師匠に報告しよう。


報告の為に俺は念話を使った。



『師匠、今保護した少女を駐屯兵に引き渡しました』


『お!了解!とりあえず後はこっちでやっとくから、ハヤトくんはこの後もう好きにしてて構わないわよ!』


そういえば結局ご飯も食べてないな。


『わかりました』


『それと、今日はお疲れ様。明日のお昼にでも話を聞きたいから駐屯所に顔を出してちょうだい。そのままお昼も一緒に食べましょうか』



『了解です。じゃあお疲れ様でした』


『うん!また明日!』



明日の昼は師匠とご飯か。


その時にでもリアンの家の事を少し聞いてみようかな。



ぎゅるるる〜



うん。


考えるのはとりあえず後でいいや。


直ぐにご飯を食べよう。



俺は入口近くで目に付いた飲食店に入って、存分に海鮮料理を堪能する事にした。



ちなみにお刺身が食べれるとは思ってなく、少し感動したのだった。

明日も19時更新です。




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