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第36話 王都に帰還する・5

R15作品です。


面白い!気になる!と思って下さる方は良ければブックマークよろしくお願いします。


5月18日誤字修正しました



俺は誘拐犯から保護した少女を土魔法で作った地下室に置いてから誘拐犯を捜し始めた。



逃げた方向は魔の領域から離れる形だったな。



俺ならば走ればまだ直ぐに見付けられるだろうか?


誘拐犯は虎型の魔物から逃げる程度の実力しか無く、追跡してる時にわかった事だけど俺は多分一般的な実力者と比べてもかなり移動速度も速いと思う。



加速(アクセラレーション)を使えば追い付けるだろう。



「加速(アクセラレーション)」


唱えると追い風が勢いよく吹いてくる。


前方の空気も空になり、追い風が吸い込まれるように加速する。



そのまま俺は誘拐犯が逃げた方向に走り出す。



あの野郎は子供を囮として置き去りにした。


…ちょっと許せない。

誘拐する事自体も許せないんだけど、魔物を前にして自分が助かる為に子供を……なんか考えてたらムカつき過ぎて殺したくなってきた。



そんな事を考えながら走り続けて数分。


誘拐犯を見付けた。

前方100メートルくらいだろうか。



殺しはしない。

師匠に生かして捕らえろと言われているし。


何より俺はまだ人を殺した事も無い。


人を殺めるという事が少し怖いという気持ちもある。


だけどあの野郎を許せる物ではないよな。


…よし、少し懲らしめよう。



「転移」


俺は誘拐犯の前方に立ち塞がる形で転移した。



誘拐犯は突然現れた俺を見て驚きに顔を染めて立ち止まる。


しかし俺が子供のプリティーキュートな女の子だと思ったのか、直ぐにニヤニヤして口を開いた。



「へへ…せっかくの商品が魔物の所為で諦めるしか無かったが…お嬢ちゃんのおかげで何とかなりそうだぜぇ」


ああ…なんかもうこのおじさんがゴミに見えてきた。


同じ人間なのだろうか?


喋るのも嫌だな。



誘拐犯はニヤニヤしたまま荷物からロープを取り出す。


あれでさっきの子みたいに縛る気なのだろうか?



俺が転移して来た事を忘れてないかこいつ。


転移が出来るってだけで普通なら警戒しそうなものだが…もういいや。


懲らしめてさっさと戻ろう。



俺は久しぶりの魔法を唱える。


「バインド」


「な…ぐぎゃぁぁああっっ!!足がぁぁぁっっっ!!」


誘拐犯の足の下から生えた刺々しい岩が足の甲を突き破る。


そのまま足首に絡み付き、誘拐犯はそのまま地面に倒れて足を抑えながら蹲る。



そういえばこいつ、さっき俺が居れば何とかなりそうとか言ってたよな。


つまりあの子じゃなくて、俺を攫っても問題無いという事か?



どういう事だろうか。



「おいお前、攫う相手は俺でも問題無さそうな口振りだったが…どういう事だ?」


「ぐっ……誰が答えるかよ糞ガキがぁっ!」


誘拐犯は痛みに耐えながらもそんな言葉を投げかける。


う〜ん…こういうのはプロに任せればいっか。



それよりもどうやって懲らしめよう。


そうだ。


俺は転生する前に読んだ事がある少し古い不良漫画を思い出した。


「バインド」


「がぁぁぁっっ!!いでぇぇぇっっ!!」



今度は両腕を背中側で縛るように刺々しい岩が絡み付く。


よし。

これであとは腕に誘拐犯が持ってたロープを繋げて…っと。


準備オーケーだ。


「な…なにをする気だ……!?」


誘拐犯が痛みに顔を歪めつつも、何か恐ろしい想像をしたのか問いかけてくる。



「これからアクアラに戻る」


もちろん移動はロープを引っ張りながら加速(アクセラレーション)でね。



俺は土魔法で地面と繋がったままのバインドを縛ったままの状態で地面から切り離す。



さあ、出発だ。



「ひ…ひぎゃぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」



数分走って保護した少女の元に戻る頃には誘拐犯は痛みのあまり失神していた。


もちろん身体はズタボロである。



さて、誘拐犯を放置して少女を地下室から出してあげる。


少女は誘拐犯の姿を見て若干…いや、かなり引いていた。



このままアクアラに戻るわけだが…子供には結構きつい距離なのではないだろうか?


担いで行く事も出来るとは思うが…相手は女の子だしな。



とりあえず先に師匠に報告するか。


『師匠、誘拐犯を捕縛しました』


直ぐに返事が返ってくる。


『流石私の弟子ね?仕事が早いじゃない』


『まあ魔物から逃げる程度の奴でしたし…そんな事よりも結構距離あるんですけど、誘拐犯はともかく保護した子をどうやって連れて行けばいいですかね』


『そんなの転移すればいいんじゃない?』



転移は流石に無理じゃないか?


あれは距離が伸びれば伸びる程に必要な魔素が増えていく。


俺の魔素なら多分2キロくらいが限度だと思う。


今居る場所はアクアラから7〜8キロは離れてるはずだ。


『流石に距離あり過ぎて無理だと思いますが』


『あれ使えばいいじゃない?周囲の魔素をごっそり使うやつ』



………あ。


なるほど。


限定解除(リミットブレイク)なら確かに行けるかも。


慣れてきたのか、丁寧にやれば肉体的ダメージもそこまで無いし。


でも他の人を連れて転移した事無いから少し不安だな。



ん〜…どうしようか。


そうだ、先に誘拐犯だけ連れて転移すれば問題無いか。


こんなゴミ人間なら最悪転移事故に巻き込んでもそんなに気にしなくて済むし。


転移先で新たに限定解除(リミットブレイク)を使えば魔素も補充出来るし。


『わかりました。とりあえず転移での事故が怖いんで先に誘拐犯だけ連れて戻ります』


『了解したわ。アクアラの入口に駐屯兵を向かわせるからそこに転移しなさい』


『了解』


「という事でまた少しここで待っててくれるかな?」



少女が念話を魔眼で視ていたと判断して俺は話し掛ける。


「うん。大丈夫」


「じゃあまた直ぐに戻るから、一応地下室で待ってて」


「うん」



魔眼の少女を地下室に保護してから気絶したままの誘拐犯の元に行く。



さて、では転移しますかね。


「限定解除(リミットブレイク)」



周囲の魔素が俺の身体に集まる。


よし、問題無さそうなくらいには魔素の量があるな。



初めての複数人での転移だ。


俺は普段よりも集中して明確にイメージする。



「転移」


誘拐犯を連れてアクアラの入口へと俺は転移した。

明日も19時更新です。


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