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第32話 王都に帰還する・1

R15作品です。


今回はほのぼの会ですね。


良ければブックマークお願いします!



「う……………」


「う?」


「海だぁぁぁぁああ!!」



俺は転生してから初めて海を見た。


それにやっと魔物の間引きから解放されるという嬉しさも相まって思わず叫んだ。



ここまでの道程は長かった……最初は体力が足りなくてギリギリ付いていけてた。


力加減を覚えてからはロボットのように何も考えずに魔物を殺して進んだ。


魔物を殺す事に疑問を覚えて悩んでも、家族を守る為に戦うっていうとりあえずの理由も見付けた。



そして…魔人と一人で戦って俺は勝った。




そこから海までの魔物の間引きは特に苦労する事も無く達成された。




まさに地獄の遠征だったな。



感傷に浸っていると、師匠が声をかけてくる。


「じゃあこれからペンドラ騎士団と合流するわよ?まだ海には辿り着いてないはずだけど、辿り着くまでは合流地点でバカンスでもしてましょうか」



やっと纏まった休憩が取れるのか。


本当に……ほんっっとうに休みが全然無かったのだ。



夜遅くまで魔物を狩って、朝からまた魔物を狩りながら移動する。


そこそこ休めたのは俺が魔物を殺す事に疑問を持った時と、魔人と戦った後しか無い。



その休みの他は寝てる時以外ほぼずっと移動と戦闘だ。




「早く行きましょう!」


俺はそう言って海沿いからインラ帝国方面である南に走り出す。



師匠もやれやれといった感じではあるが、しっかり走って付いてきてくれる。




途中海付近の魔物が襲って来たが、特に何事もなく処理される。



「合流地点はこの辺りよ」



2、3時間は走った辺りだろうか。


かなりの速さで走っていたので結構な距離を走ったと思う。



ペンドラ騎士団はまだ到着してないようだ。


「よっしゃぁ!!」


俺はバカンスが嬉しくて思わずガッツポーズをする。



俺はせっせと土魔法で地下室を作って、直ぐに休み始めた。


師匠は周りの様子を確認したり、海の幸の確保に向かったようだ。



地下室に入って直ぐに俺は眠ってしまう。


よっぽど疲れていたんだと自分でも思う。



まだ日が高いのにそのまま俺は翌日の朝まで眠っていた。




日付けが変わっても俺は朝からごろごろして休んでいると、近くに生物の気配を感じ始めた。



地獄の遠征中にこういう感覚は大分鋭くなったと思う。


師匠が動かないって事はペンドラ騎士団がもう近くまで来ているのだろう。



魔物ならば直ぐ動くはずだし。



「十分に休めた?」


師匠が俺を見てそういう。


「もうバッチリ疲れも取れましたね」


若いって素晴らしいな。


俺は肉体的疲れも精神的疲労も大分回復していた。



「そう。じゃあ合流しましょうか」


俺と師匠は地下室から出てペンドラ騎士団の居る方向に歩き始めた。



先にペンドラ騎士団で編成された斥候チームの面々とすれ違い、師匠は軽く報告を聞く。


どうやら今回の遠征では一人の死者も出さずに済んだという話らしい。



という事はちょくちょく死者が出る遠征なのだろう。



本当に地獄の遠征だな。



師匠の指示で斥候チームが部隊に戻って、全部隊に合流するよう報告をして回る事になってから2時間ほど。



近くの広い砂浜でペンドラ騎士団全メンバーが整列する。



どうやら師匠が演説するようだ。



「まずは皆お疲れ様!一人の死者も出さずにここまで来れた事を私は誇りに思う!良くやったわ!これから一日ここで休んでからインラ帝国に戻るわけだけど…喜びなさい!」



ペンドラ騎士団の面々が疑問符を浮かべる。



「時間に余裕があったから海の幸を大量に捕獲しといたわ!今夜は海鮮バーベキューよ!」



「「「「「「うおぉぉぉぉお!」」」」」」



その為に師匠は海の幸を探してたのか。


「それともう一つ!なんと私達は吸血鬼の魔人と遭遇したわ!!」



その一言で皆がざわざわし始める。


「でもなんと!私の弟子であるハヤトくんが一人で撃退してみせたわ!!」



その師匠の発言でざわざわしていたはずのこの一帯から一瞬音が消えた。



そして……



「「「「「「「「うおぉぉおおお!!!!!!」」」」」」」」


地面が揺れる程の大喝采が巻き起こった。



そんなに凄い事だったのだろうか?


この大喝采を見て俺は少し誇らしくなった。



「各自今から自由行動で2時間後にバーベキューの準備よ!では解散!」



こうして演説は終わったのだが、そこからが俺は大変だった。


ペンドラ騎士団のメンバーが俺の元に何人も押し掛けて質問責めをしてくるのだ。



大まかな質問は大体この3つ。


師匠との行動はどんな物だったか?


魔人との戦闘はどんな物だったか?


魔物の間引きはどんな物だったか?



俺は一人一人に答えるのが面倒になって、大声で叫ぶように説明した。



「師匠に付いていくのが最初はキツかったけど数日で慣れました!吸血鬼との戦闘は武器も魔法も無効化されて、身体強化をして殴って倒したけど逃げられました!魔物の間引きは朝から夜遅くまで移動しながらほぼ止まらずにずっと戦い続けていました!!」



そう答えるとペンドラ騎士団の面々は引き攣った笑顔のまま固まった。


そして立ち直った面々が俺の話した内容が事実なのか師匠に確認しに行って俺は解放される。



そのまま一人で休んでいると師匠が大声をあげる。


「2時間経ったぞ〜!!お前達、バーベキューだぁぁ!!」



ペンドラ騎士団の面々はそれぞれに歓声をあげてバーベキューの準備に取り掛かり始めた。



俺も何かした方がいいのだろうか?


そんな事を思いながらウロウロしているとガイアス副団長が声を掛けてくる。



「ハヤトくんお疲れ様でした。あとは帰還するだけですが、遠征はどうでしたか?」



「お疲れ様です。正直本当に地獄の遠征でしたね」



ガイアス副団長は俺の返答を聞いて苦笑している。



「私も何年も前に団長に連れられましてね…その時は死ぬかと思いましたよ」


笑いながら話しているが、おそらく冗談ではなく本当に死にそうな目に遭ったのだろう。


目線が遠くを見ている。



俺も今回の遠征を思い出していると自然に遠くを見てしまうからわかる。



「でも君は乗り越えた。きっとこれから何があっても君は何とか出来ると思います」


「そうですかね」


「ええ。私のこれまでの人生で一番困難だったのが団長と二人での遠征ですからね」



それほどの困難にあの師匠は8歳の子供である俺を連れ出したのか。


というかそれを許したペンドラ騎士団の人達も相当だよな。



あれ?


このペンドラ騎士団ってまともな人が居ないのか?



「あ、どうやらバーベキューの準備が終わったようですね。ではハヤトくん、行きましょうか」



そう言ってガイアス副団長が立ち上がる。



俺も立ち上がって皆の元に向かった。



それから海鮮バーベキューを楽しんでペンドラ騎士団が野営をしっかり設置し、見張りを除いてほとんどの人が眠りに就いた。



明日から3週間ほどの予定で帰還か。


俺も今回の遠征と、ミレニーや家族を思い出しながら気付いたら眠っていた。



明日も19時更新となります。


面白いと思ってくださる方は最新話のページ下部に感想・評価・レビューがありますので良ければ励みになりますのでよろしくお願いします!


なかなか評価やレビューがされて貰えずモチベーション的にそろそろ毎日更新が辛いです。

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